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富士通の電子カルテフォーラム「利用の達人」が第16回総会を開催

2019-7-10

第16回総会の会場

第16回総会の会場

富士通の電子カルテシステムのユーザー会である電子カルテフォーラム「利用の達人」の第16回総会が,2019年7月6日(土)に富士通(株)本社ビル汐留シティセンター(東京都港区)にて開催された。利用の達人は,富士通の電子カルテシステムのユーザーが,イベントや会員専用Webページを通じて情報の提供・交換・検討を行い,電子カルテの運用法やデータ利活用の共有,システムのレベルアップにつなげていく活動に取り組んでおり,2019年で発足から15年目を迎えた。今回の総会では,世話人体制の変更についての議案が諮られるとともに,活動報告や今後の活動計画の報告,表彰,特別講演,富士通からの報告が行われた。

議案として提出された新世話人体制については,役員として副代表世話人が追加されるとともに,会長,代表世話人の選出,副代表世話人,新世話人の推薦が行われ,すべて承認された。新会長には一般財団法人竹田健康財団理事長の竹田 秀氏が,新代表世話人には名古屋第二赤十字病院医療情報管理センター情報システム室長の岸 真司氏が選出された。新設された副代表世話人には,竹田綜合病院副院長の輿石直樹氏,国立病院機構長崎川棚医療センター統括診療部長の木村博典氏,千葉県済生会習志野病院事務部長の兵藤敏美氏の3名が着任した。また,国立病院機構名古屋医療センター医療情報管理部長の佐藤智太郎氏と福井県立病院健康診断センター長の服部昌和氏が世話人に新任された。
挨拶に立った竹田会長は,「ノンカスタマイズ電子カルテのスムーズな導入や進化といった当初の目標は達成している今,AI(人工知能)やビッグデータ,医療環境の変化といった新たな課題が出てきている。新しいヘルスケアシステムの構築に,世話人会をはじめ皆様と取り組んでいきたい」と述べた。また,岸代表世話人は,「当院が,他社から富士通の電子カルテにリプレイスした当初は不安もあったが,利用の達人のおかげで安定稼働し,電子カルテの重要性を全職員に認知してもらえるようになった。現在はどの病院も経営的に厳しいなど重要な局面に来ているが,皆様にサポートをいただいて粘り強く取り組んでいきたい」と意気込みを語った。

会長:竹田 秀 氏(竹田健康財団)

会長:竹田 秀 氏
(竹田健康財団)

代表世話人:岸 真司 氏(名古屋第二赤十字病院)

代表世話人:
岸 真司 氏
(名古屋第二赤十字病院)

 
     
世話人(新任):佐藤智太郎 氏(名古屋医療センター)

世話人(新任):
佐藤智太郎 氏
(名古屋医療センター)

世話人(新任):服部昌和 氏(福井県立病院)

世話人(新任):
服部昌和 氏
(福井県立病院)

 

 

総会の司会進行は,世話人の八尾市立病院事務局参事・小枝伸行氏と,事務局の東京医科歯科大学医学部附属病院薬剤部長・高橋弘充氏が務めた。
総会でははじめに,高橋氏が利用の達人のこれまでの歩みと活動について紹介した。利用の達人は,2003年に電子カルテシステム「EGMAIN-FX」が発売されたことを受け,2004年にユーザー会として設立。「導入/運用関連フォーラム」「利用法レベルアップフォーラム」「情報管理/活用フォーラム」の3つを柱に活動を行っている。高橋氏は,2008年の「EGMAIN-GX」発売を機にユーザーが増加・多様化し,システムのレベルアップなどを試行錯誤してきたことを説明した。また,2007年にスタートした「導入/運用ノウハウ事例発表会」や会員専用Webページのコンテンツバングなどを紹介した。設立から15年を迎えユーザー数は465施設まで増加し,レベルアップ項目は約1500項目をリリース,事例発表会の参加施設も年々増加するなど,成長し続けてきたと述べた高橋氏は,「これからもユーザーと富士通が一緒になって,よりよい電子カルテづくりに取り組んでいく」と述べた。

司会:小枝伸行 氏(八尾市立病院)

司会:小枝伸行 氏
(八尾市立病院)

司会:高橋弘充 氏(東京医科歯科大学医学部附属病院)

司会:高橋弘充 氏
(東京医科歯科大学医学部附属病院)

 

 

総会の後半には,2018年度の活動報告と,2019年度の活動計画が報告された。
2018年度の活動報告では,副代表世話人の木村氏が登壇した。2018年は,導入/運用ノウハウ事例発表会を9月に関西システムラボラトリ(大阪市)をメイン会場に開催。台風の影響で2日目が中止になったものの,168施設396名が参加した。これを受けて,2日目のプログラムを中心に名古屋で事例発表会を開催(2019年1月)し,73施設132名が参加した。また,事例発表会の参加者は初参加が約半数で,職種としては情報システム,看護師を中心に多職種が参加していることを紹介。事例発表会は電子カルテの現場活用の情報交換ができ,同じシステムを使用するユーザー同士がつながることができる場であると述べた。また,会員専用Webページ(コンテンツバンク,掲示板)の利用状況や,電子カルテのレベルアップ内容などについて説明した上で,今後のレベルアップが時代に即して変わっていくことに期待を示した。

木村博典 氏(長崎川棚医療センター)

木村博典 氏
(長崎川棚医療センター)

   

 

また,2019年度の活動計画では,3名が登壇して今後の予定について説明した。はじめに,世話人(運用関連担当)の岡崎市民病院医療情報室医療システム係長・中元雅江氏が,導入/運用ノウハウ事例発表会について説明した。2019年度は,10月5日(土),6日(日)にホテルフクラシア晴海(東京都中央区)にて開催予定で,現在,業務改善や医療安全,医師事務作業補助者などをテーマに演題を募集している。なお,利用の達人ホームページでの参加申し込みは,7月下旬より開始する予定。
続いて,副代表世話人の兵藤氏より,2020年2月1日(土)にデータ利活用に焦点を当てた新しいイベント「データ利活用フェス(仮称)」が汐留シティセンターで開催されることが報告された。データ利活用に興味がある人であれば,誰でも参加可能で,講演やパネルディスカッション,事例発表,ハンズオンセミナーを予定しており,一通りのデータ利活用体験ができることをめざして準備が進められている。
最後に世話人(運用関連担当)の小枝氏が,利用の達人の活動の再定義と見直しのための「在り方WG」活動について説明した。地域包括ケアシステムやAIなどについて検討を行っていく機能を利用の達人に加えるなど,環境の変化に伴い求められる活動とはなにかを継続して検討していく方針を説明した。

中元雅江 氏(岡崎市民病院)

中元雅江 氏
(岡崎市民病院)

兵藤敏美 氏(千葉県済生会習志野病院)

兵藤敏美 氏
(千葉県済生会習志野病院)

 

 

このほか,特別講演では,一般社団法人日本病院会副会長・済生会福岡医療福祉センター総長/済生会福岡総合病院名誉院長の岡留健一郎氏が,「医師の働き方改革検討会のこれからの見直しと働き方改革に必要なICTへの助言」と題して講演を行った。岡留氏は,厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」での検討状況や,四病協等で行った実態調査の結果を報告した上で,医師への時間外労働上限規制が適用される2024年4月に向けて医療機関が取り組むべきことについて解説した。また,済生会福岡総合病院の医師の労働時間短縮に向けた取り組みについて紹介するとともに,改革のためにはAIや遠隔医療,カルテの地域での共有が必要になると述べた。
2018年度表彰では,発表を通じて事例発表会の盛会に貢献したとして,福井県立病院診療録管理室主任の宇都宮まなみ氏をはじめとした7名が表彰された。また,富士通からは,電子カルテレベルアップ決定プロセスについて,より広く意見を収集するための変更点が報告された。

特別講演:岡留健一郎 氏(済生会福岡総合病院)

特別講演:岡留健一郎 氏
(済生会福岡総合病院)

   

 

●問い合わせ先
電子カルテフォーラム「利用の達人」事務局
富士通株式会社プロモーション推進部内
TEL 03-6252-2521
https://www.r-tatsujin.com