2019-3-11
シンポジウム「医療分野のAIとIoT」の
パネルディスカッション
公益社団法人日本医師会は2019年3月2日(土),3日(日)の2日間,文京シビックセンター(東京都文京区)において,「平成30年度日本医師会医療情報システム協議会」を開催した。日本医師会では,2005(平成17)年に同協議会を発足させ,以降定期的に開催してきた。今回は,茨城県医師会が担当県となり,メインテーマには「明日の医療を彩るICT」が掲げられた。
初日には,日本医師会会長の横倉義武氏が挨拶を行った。横倉会長は,2016年にIT化に関する日本医師会の考えを示した「日医IT化宣言2016」やその中で示した「全国保健医療情報ネットワーク」などに言及。さらに,今回の協議会では,次世代医療基盤法,オンライン診療,人工知能(AI),IoT,ロボットなど昨今話題となっているテーマを取り上げることを説明した。また,横倉氏に続き,協議会の運営委員会委員長を務める茨城県医師会長の諸岡信裕氏が挨拶した。
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横倉会長の挨拶にもあったとおり,初日にはメインホールにおいて,「オンライン診療の現状と将来展望」とシンポジウム「医療分野のAIとIoT」が行われた。オンライン診療のセッションでは,総務省の実証事業としてオンライン診療を行ったたろうクリニック院長の内田直樹氏が有用性について報告。また,慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任准教授の佐藤雅明氏が,超高精細カメラを用いた“Hospital in the home”技術による遠隔在宅診療システムの実証実験について紹介した。一方,AIとIoTのシンポジウムでは,東洋大学情報連携学部(INIAD)学部長の坂村 健氏が,「AI+IoTで変わる社会と医療」をテーマに講演を行った。坂村氏は,医療分野でのAI技術開発・普及の課題として,電子カルテシステムの標準化などが進んでおらず,データを有効活用できていないと指摘。オープンイノベーションの重要性を説いた。このほか,東京大学医科学研究所国際先端医療社会連携研究部門特任准教授の湯地晃一郎氏が,日本アイ・ビー・エム(株)の「IBM Watson for Genomics」を用いたがんゲノム医療について発表した。2日目には,スカイホールにおいて,「サイボーグ型ロボット『HAL』について」と題したセッションが設けられた。このセッションでは,筑波大学医学医療系整形外科教授の山崎正志氏が臨床での使用経験を報告したほか,参加者の装着体験が行われた。
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このほかにも,日本医師会の進める医師資格証の活用に関するセッションなどが設けられ,2日間にわたる協議会は,盛況のうちに幕を閉じた。
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