2019-2-15
音声・入力機能など多機能化で人手不足を
カバーする介護システムが多数登場
介護分野の人手不足が深刻化する中,ICTやIoT,ロボット,センサーなどの最新技術を活用して業務を省力化し,生産性の向上を図る動きが進んでいる。2019年2月6日(水)〜8日(金)の3日間,東京ビッグサイト東1〜3ホール(東京都江東区)を会場に開催された介護・福祉分野の製品・サービスの総合展示会である東京ケアウィーク2019においても,多くの企業が音声入力機能を搭載したり,バイタル機器,見守りセンサーと連携したりするなど多機能化を図り,働き方改革を支援する介護システムを展示した。
介護システム「ほのぼのNEXT」を手がけるNDソフトウェアでは,音声入力システム「Voice fun」をPRした。Voice funは,ほのぼのNEXTなどのほのぼのシリーズだけでなく,マイクロソフトのWordといった一般的なソフトウエアにも音声で文字を入力できる。学習機能やテンプレート機能を有しており,入力作業を大幅に効率化。時間短縮を図れる。また,同社ブースでは,スマートフォンを活用したデジタルインカム「ほのぼのTALK++」が関心を集めた。会話の内容が音声だけでなくテキストで入力されて,iPhoneなどのスマートフォンやタブレットで画面を確認しながら作業を行える。会話は録音されており,後から再生することも可能である。さらに,同社は,ほのぼのNEXTの通所スケジュールと連携して,送迎業務をサポートする福祉送迎業務支援システム「ほのぼのnavi」を出展した。送迎ルートや利用者が乗車する車両を自動的に設定する。このほか,体温計など日本精密測器(NISSEI)のバイタル機器と連携し,体温,血圧,脈拍,SpO2の自動入力が可能になる「Care Palette」なども参加者の注目を浴びていた。
導入実績が3500事業所以上という実績を持つビーシステムの介護システム「ファーストケア」もNISSEIのバイタル機器との連携を来場者にアピールした。iPad版で使用できる「ファーストケア・ポータブル」との組み合わせで,入力作業の負担を軽減。業務時間の短縮にもつながる。ファーストケア・ポータブルは,バイタルだけでなく,食事や入浴,排せつ,経過記録の入力を音声で行うことも可能である。
「ケアカルテ」を展開する富士データシステムは,見守りセンサーとの連携を紹介していた。パラマウントベッドの「眠りSCAN」と組み合わせて,効率的に入所者の安全を確保できる。ナースコールに加え,見守りセンサーとも連携できるようになったことで,さらにスタッフの負担軽減に寄与すると期待される。また,同社はユーザー会を開催し,ケアカルテによる業務の効率化などの情報を共有できる場を提供している。ユーザー会での発表内容や意見は,ケアカルテの機能強化にも生かされているという。ブース内では,インスタグラムによる介護ICTフォトコンテストの応募作品を紹介しており,ケアカルテにより,楽しい介護現場が実現することをPRしていた。
また,在宅医療においては,ケアマネジャーや医師,訪問看護師との情報共有が重要であるが,カナミックネットワークでは,コミュニケーションを円滑にする「在宅医療向けテレビ会議システム」を紹介した。従来,カンファレンスは,一堂に会して行われていたが,テレビ会議にすることで時間や場所の制約を受けずに効率的な多職種間連携が可能となる。今後は,同社の「カナミッククラウドサービス」から,会議のスケジューリングなどが行えるようになるという。
このほか,介護システムとの連携するシステムとして,ノアコンツェルが服薬支援システム「服やっくん」を紹介した。服やっくんは,スマートフォンで薬袋,利用者,スタッフのQRコードを読み取り,人違いや日付,時間間違えなどを防ぐことが可能である。チェックの結果は自動的に記録され,薬の飲み忘れがあった場合はPCやスマートフォンで確認できるほか,お知らせメールの配信もする。介護システムとの連携も可能で,入力作業の負担を軽減する。
人手不足が深刻化する中,外国人労働者の受け入れといった対策以外にも,これらの最新技術などの設備投資を行うことが,これからの介護施設経営には必要になってくるだろう。