2018-9-14
第31回学術大会大会長の西村恭昌 氏(近畿大学)
日本放射線腫瘍学会第31回学術大会は,2018年10月11日(木)〜13日(土)の3日間,国立京都国際会館(京都府京都市)で開催される。JASTROは,学術大会の開催に先立ち,学術大会のハイライトと日本放射線腫瘍学会の活動を紹介するプレスカンファレンスを9月13日(木)に都内で開催した。
最初に理事長の茂松直之氏(慶應義塾大学)が挨拶し,放射線治療の進歩と日本における治療の現状,およびJASTROの活動について紹介した。
続いて,第31回学術大会のハイライトについて大会長を務める西村恭昌氏(近畿大学)が登壇し,テーマやプログラムを中心に説明を行った。今大会のメインテーマは「時間と空間の最適化(Best time, Best space)」。西村氏は,照射期間と線量を決める“時間”と,照射野を正確に求める“空間”が最適な治療効果を得るための放射線治療の基本であり,それをテーマとして次世代の放射線治療を展望したいと述べた。さらに,今回はサブテーマとして「守破離」を掲げた。守破離は茶道や武道における師弟関係のあり方の一つだが,西村氏は放射線治療への取り組みにも通ずるとして,千利休の和歌『規矩作法守りつくして破るとも離るるとても本(もと)を忘るな』を紹介し,「この本となるのが放射線治療では“時間と空間”である」と述べた。
主なプログラムとしては,会長講演,理事長講演,ASTRO/ESTRO Presidential Lectureのほか,特別企画として「放射線治療の裾野を拡げる」「Under40セッション:現状を打ち破る試み」が行われる。また,特別講演には医師で作家の久坂部羊氏が登壇し「医療の進歩がもたらす葛藤」を講演する。そのほか,市民公開講座として10月12日に「放射線治療が得意ながん」,13日に「医師が『がん』に罹ったら」が行われる。
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次に広報委員会委員長の古平毅氏(愛知がんセンター中央病院)が「放射線治療の現状と課題 放射線治療の普及へ日本放射線腫瘍学会の取り組み」を報告し,放射線治療に携わるスタッフ数など現状とJASTROの普及啓発や標準化に対する事業を紹介した。
続いて,粒子線治療委員会委員長の櫻井英幸氏(筑波大学)が「粒子線治療の現状と将来」を講演した。日本の粒子線治療施設は2016年12月で陽子線11,炭素線5施設となっている。2018年度の診療報酬改定で,小児がん,骨軟部腫瘍,頭頸部腫瘍,前立腺がんに適用部位が拡大された。JASTROでは各疾患のシステマチックレビューや多施設研究などを行い,各施設の質を担保しつつ評価できる体制を構築していることを報告した。
最後に,健保委員会委員長の大西 洋氏(山梨大学)が「放射線治療関連診療報酬の現状と課題」を講演した。放射線治療の医療費は右肩上がりで伸びているが,2015年の概算医科診療費30.6兆円のうち,放射線治療料は1224億円で0.4%に過ぎない現状を説明。一方で,放射線治療関係の技術が診療報酬改定において評価(収載)される数は増えており,超高齢社会を迎え低侵襲な治療法として今後も増加していくことは間違いない状況にあると大西氏は述べた。その上で,安全・高精度な放射線治療のためには専門スタッフの充実が不可欠であると今後を展望した。
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●問い合わせ先
公益社団法人日本放射線腫瘍学会 事務局
TEL 03-3527-9971
https://www.jastro.or.jp/medicalpersonnel/
第31回学術大会 http://www.congre.co.jp/jastro2018/