2018-7-5
発表会の様子
(株)HIROTSUバイオサイエンスと(株)日立製作所は2018年7月4日(水),TKP赤坂駅カンファレンスセンターにて線虫によるがん検査法「N-NOSE」の実用化に向けた共同実験室開設に関する発表会を行った。発表会には,HIROTSUバイオサイエンス代表取締役の広津崇亮氏,日立製作所研究開発グループ基礎研究センタ長の山田真治氏,日立製作所研究開発グループ基礎研究センタの久野範人氏が出席し,N-NOSE臨床研究の最新状況や,新たに開発された高スループット検体自動撮像装置について紹介した。
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N-NOSEは,線虫が尿中のがんの匂いに反応することを利用して,がんの有無を判定する検査法で,現在,国内の医療機関17施設と共同研究が進められている。N-NOSEは簡便で侵襲性はなく,安価に実施できることに加え,18種類以上のがん種の検出,さらにはステージ0,1のような早期がんも高感度に検出できることが特長で,世界初の一次スクリーニング検査としての活用が期待されている。また,検体数は少ないが,再発がんの検知にも有効性が認められるという。HIROTSUバイオサイエンスと日立製作所は,2017年4月にN-NOSEの共同研究を開始しており,今回新しく,日立製作所研究開発グループ基礎研究センタ(埼玉県比企郡鳩山町)内に共同実験室を開設することで,実用化に向けて臨床研究を加速させる。
発表会では,尿検体の自動撮像装置を高スループット化した試作2号機についても紹介した。検体と線虫を配置する走行性試験容器のマルチ化(容器あたりの試験数:1試験→4試験)と,自動ローディング機構を備えた連続自動撮像装置により,検査スループットが試作1号機の20倍に向上し,1日あたり100検体以上の解析が実現可能となる。
高精度と低コストを両立できるN-NOSEは,将来的には毎年の健康診断でだれもが受けられるがん検査となることが期待されるが,まずは導入の先行予約に興味を持つ健保組合や,トライアルに前向きな自治体を対象に,2020年の実用化をめざす。
現在は日本国内の検体を中心に研究が進められているが,アジアや欧米などほかの地域への展開も予定しており,オーストラリアに臨床研究拠点を置き欧米データを用いた研究が進められている。また,検出が困難とされる早期膵がんの検出や,がん種の特定が可能な遺伝子組換え線虫の研究を進めるとともに,生物診断研究会の発足,各企業とのアライアンスに取り組んでいくとしている。
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