2018-6-6
奥野社長から表彰を受ける坂本和翔氏
(株)AZEは2018年6月2日(土),キヤノンSタワー キヤノンホールS(東京都港区)にて「AZE展2018—全国医用画像コンペティション—」の最終選考会を開催した。AZE展は,ワークステーションを使用した画像(かかる画像の解析技術を含む)の臨床的有用性を高め,最良の画像を生み出すことを目的に,同社ユーザーに限らず広く作品を募るコンペティションで,今回で9回目となる。
AZE展2018の応募総数は,昨年より約30%増の90作品(82施設)に上った。最終選考会では,ブラインド審査により一次選考を通過した作品についてプレゼンテーションが行われ,最優秀賞,部門賞,特別賞が決定した。昨年まで,CTとMRIのモダリティ別の部門が設けられていたが,今回は,AZE展に過去に応募したことがある人を対象としたマスター部門と,初応募者を対象としたニューカマー部門の2部門での募集が行われ,最終選考会には計15作品(マスター部門:10作品,ニューカマー部門:5作品)が進んだ。
開会の挨拶に立った(株)AZE代表取締役社長の奥野太郎氏は,「AZE展は,日頃,より有用性の高い画像を作るための工夫,努力をしている先生方が,その取り組みを発表し,共有する場を提供するということを一貫したコンセプトとして継続している。このような場を提供することが,少しでも画像診断の発展に役立ち,ひいては医療に貢献できると考えている」と,AZE展に込める思いを述べた。
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審査員は,審査員長の似鳥俊明氏(杏林大学医学部最先端画像医学研究講座教授)ほか7名の画像診断・画像解析のエキスパートが務めた。最終選考の結果,最優秀賞は,坂本和翔氏(医療法人社団高邦会福岡山王病院放射線室)の「難治性てんかん手術におけるマルチモダリティを用いた支援画像」が受賞した。マスター部門賞は阿部 駿氏(JA秋田厚生連秋田厚生医療センター放射線科)の「VRフィルターによるデプスキューイング機能の追加」,ニューカマー部門賞は鳴海 樹氏(半田市立半田病院放射線技術科)の「微小血管減圧術(MVD)術前~シミュレーション用骨作成からMRI Fusionまで~」,特別賞は小林 匡氏(市立函館病院中央放射線部技術科)の「手動位置合わせによる大動脈弁4D画像」が選ばれた。
また,昨年新設されたAZE賞(応募者の中から,AZE展ならびにワークステーションの発展に継続的に寄与している人物をAZEが選出)には,菅野朋史氏(福島県立医科大学会津医療センター中央放射線部)が,腹部領域での継続的な応募,ならびに大腸領域における数々の助言があったとして選出された。
表彰後,似鳥氏が総評を述べ,次のようにメッセージを送った。
「今回の最終選考会は,いずれの発表も非常に質が高かった。先程の表彰で『診療放射線技師は患者さんに直接かかわることがなく……』といった受賞コメントもあったが,そのような遠慮を口にする必要はまったくない時代になったということを放射線科医もほかの診療科医も実感している。診療放射線技師の皆さんの努力により,患者さんがどれほどのベネフィットを受けていることか。日本ほど,医師,看護師,技師から,医療機器メーカーまでが一緒になって,患者のためのチーム医療を実践しているところはなく,それが実を結んできていると実感している。これが今後も続いていくことが医療の質を高め,患者のためになるという自覚を,さらに強くしてもらいたい」
<入賞作品プレゼンテーション>
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なお,入賞作品のプレゼンテーション後,企業講演2題が行われた。はじめに,キヤノンITソリューションズ(株)ITインフラセキュリティ事業部の武田典道氏が「医療現場におけるセキュリティの在り方〜ESETが大事な医用画像を守ります〜」と題し,医療機関におけるサイバーセキュリティの実際と,同社のウイルス対策ソフトウエア「ESET」の性能,優位性について紹介した。2題目に,キヤノンメディカルシステムズ(株)ヘルスケアICT営業部の網代啓志氏が「Automated Insights —— 放射線部門の課題解決への機械学習の貢献」をテーマに発表。医療情報ソリューション「Abierto」シリーズについて説明するとともに,集約されたデータを利活用するAI技術を用いたアプリケーションや,同社のAI研究の最新状況について紹介した。
<企業講演>
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