2018-4-20
会見会場でのフォトセッション
(左から東京医科歯科大学・渡辺理事,吉澤学長,
日立製作所・渡部CEO,長我部信行CSO兼CTO)
国立大学法人東京医科歯科大学と(株)日立製作所は,2018年4月19日付けで「TMDUオープンイノベーション制度」に基づく連携協定を締結し,同日,東京医科歯科大学M&Dタワー(東京都文京区)にて記者会見を行った。記者会見には,東京医科歯科大学学長の吉澤靖之氏,日立製作所執行役常務ヘルスケアビジネスユニットCEOの渡部眞也氏,東京医科歯科大学産学官連携・研究展開担当理事・副学長の渡辺 守氏,同大学統合研究機構産学連携研究センター長の飯田香緒里氏が出席した。
本連携は戦略的な目標に,「難病診断支援技術の体系化により医療の高度化・効率化をめざす」を掲げている。具体的には,診断・治療が難しく一般的な疾患に紛れ込んでしまうような,一定数以上の患者が存在する難病(潰瘍性大腸炎などの炎症性内臓疾患,膠原病やリウマチなどの免疫性全身疾患,パーキンソン病などの神経変性疾患:“コモン難病”と呼称)に焦点を当て,臨床的知見や検査情報をAIやICTを活用して体系化し,一般的な疾患から鑑別するシステム・仕組みを構築していく。コモン難病患者は全国に50万人規模いると見られ,診断がつけられないことにより,必要以上の検査や,効果が期待できない投薬・治療が行われている可能性があると考えられる。こういった患者の疾患を早期に,的確に診断することで,医療の効率化に貢献していく。
記者会見では,吉澤学長と渡部CEOが挨拶した。吉澤学長は,同大学は2017年4月に統合研究機構を立ち上げ,オープンイノベーションを推進していることを説明し,「臨床部門を有する医療系総合大学大学院の特色を生かして,従来の共同研究の枠を越え,より組織的・戦略的に企業と連携するため,TMDUオープンイノベーション制度を創設した。今回の日立製作所との連携が第1号であり,研究開発だけでなく,新たなビジネスのヒントとなることや,社内人材の教育・育成にも貢献できると期待している」と述べた。
続いて,渡部CEOが挨拶を述べた。日立と東京医科歯科大学は,連携の可能性を2017年5月から議論してきたことを明かし,その中で1)戦略的・包括的なアプローチの必要性,2)互いに強みを持つ分野で世界トップクラスの研究をめざす,3)社会実装に向けた出口戦略を明確にする,という3つの認識を共有できたと述べ,「連携のテーマである難病診断支援の研究は,診断技術やAIなど日立の強みを生かせるものであり,全国50万人規模の患者さんが対象となるもので,社会的に貢献できると考える。今回の連携をきっかけに,新しい医療イノベーションに取り組んでいく」と意気込みを語った。
なお,今回の連携の基盤となるのが,2018年4月1日に新設された東京医科歯科大学の「TMDUオープンイノベーション制度」である。これは,同大学と企業が共通のビジョン・目標の下で実施する戦略的・本格的・組織的な連携を推進・増強するための制度で,同大学のリソース(研究力,医学的知見,臨床力,教育力,医療ネットワークなど)を連携企業へ開放し,産学一体型の研究開発を展開していく。連携内容によって,オープンイノベーションプログラム,オープンイノベーションサービス,アフィリエイテッドプログラムの3つが用意されている。
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●問い合わせ先
東京医科歯科大学
統合研究機構 産学連携研究センター
TEL 03-5803-5346
FAX 03-5803-0286
morita.tlo@tmd.ac.jp
(株)日立製作所
ヘルスケアビジネスユニット 経営戦略室
TEL 03-6284-3724(直通)