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CareTEX 2018(1)—介護システム編:介護業界の働き方改革を後押しする介護システムに注目

2018-3-23

NDソフトウェアの音声入力支援システムVoice funのプレゼンテーション

NDソフトウェアの音声入力支援システム
Voice funのプレゼンテーション

わが国では,2025年に団塊の世代が75歳以上になるなど超高齢社会が進んでいるが,一方で少子化によって今後労働力人口の減少が予測されている。このような現状を踏まえ,国を挙げて,各産業での労働生産性の向上を図る働き方改革が進められている。医療や介護分野においても,働き方改革はキーワードとなっており,2018年度の診療報酬改定,介護報酬改定でも,医療・介護従事者の負担軽減の視点から加算の新設などが行われている。

働き方改革が進む中で,介護現場でもICTを活用して業務の効率化を図り,働きやすい環境を築こうという動きが広がっている。2018年3月14日(水)〜16日(金)の3日間,東京ビッグサイトで開催された介護業界向け最大級の展示会であるCareTEX 2018では,従来の介護システムの機能を強化や,他システム・見守り機器との接続により,介護職員の負担を軽減するソリューションが注目を集めた。

事業の内容に合わせてシステム構築が可能な介護システム「ほのぼのNEXT」を展開するNDソフトウェア(株)は今回,記録業務の効率化,省力化を可能にするシステム,ソフトウエアをPRした。同社が一押しのシステムとしてプレゼンテーションを行った音声入力支援システム「Voice fun」は,キーボードの代わりに音声で記録ができる。介護向けの辞書を搭載しており,専門用語の入力も容易。学習機能やテンプレート機能によって,キーボード入力よりも大幅なスピードアップを図れる。同社は,このほかにも,NISSHA(株)の見守り機器「ケアワン」と連携して入居者の見守りを効率化するソリューションを紹介した。

NDソフトウェアのほのぼのNEXTと連携する見守り機器「ケアワン」

NDソフトウェアのほのぼのNEXTと連携する見守り機器「ケアワン」

 

(株)富士データシステムの「CAREKARTE」は,全国約5000事業所での導入実績を有する記録と介護請求機能を搭載した介護システムであるが,CareTEXでは他社システムや見守り機器と連携できる拡張性・親和性の高さをアピールしていた。アイホン(株)や(株)ケアコムといった大手のナースコール,(株)eWeLLの訪問看護支援サービス「iBow」との連携などにより,介護職員の業務負担を軽減する。ブース内では,入居者の腕に装着したウエアラブルデバイスからバイタルデータを取得してCAREKARTEで管理するデモンストレーションも行っていた。

富士データシステムは「CAREKARTE」と連携するシステム・サービスを紹介

富士データシステムは「CAREKARTE」と連携するシステム・サービスを紹介

 

また,地域包括ケアシステムでの多職種連携を効率化するソリューションにも,各社が力を入れている。(株)カナミックネットワークではクラウドベースの情報共有システムを提供し,千葉県柏市など全国616地域が導入している(2017年9月時点)。スマートフォンやタブレットでも利用でき,医師,訪問看護師,ケアマネジャーなどの多職種での情報共有を支援する。

カナミックネットワークはスマートフォン,タブレットで利用できる利便性もPR

カナミックネットワークはスマートフォン,タブレットで利用できる利便性もPR

 

スマートフォン・タブレットの利用が進む状況を受けて,介護経営支援システム「カイポケ」を手がける(株)エス・エム・エスは,ユーザー向けに,スマートフォンレンタルと通話・データ通信などの料金をセットにしたモバイルサービスを開始した。通話かけ放題,データ通信料7GBで,1台あたり月額2500円(税別)で提供する。2017年5月に出された厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第5版」において個人所有の端末の業務利用(BYOD:Bring Your Own Device)を行わないよう示されており,今後このようなサービスが広がっていくと思われる。

スマートフォンのレンタルを開始したエス・エム・エス

スマートフォンのレンタルを開始したエス・エム・エス

 

このほか,介護現場の働き方改革にロボットを活用するという動きが出てきたことから,介護システムベンダーがユーザー向けにコミュニケーションロボットを提供するという動きもある。介護・福祉総合ITソリューション「MELFARE」を提供している(株)三菱電機ビジネスシステムは,介護向けのコミュニケーションロボットをPRしていた。このロボットは,ヴイストン(株)が開発した「Sota」で,NTT東日本のロボット用クラウドサービス「ロボコネクト」として提供される。会話やカメラ撮影,見守りのほか,オプションでレクリエーション機能を利用でき,介護従事者の負担を軽減する。

三菱電機ビジネスシステムのブースで紹介されたSota

三菱電機ビジネスシステムのブースで紹介されたSota

 

人手不足が進む中,今後も従来の介護システムに新機能・サービスなどが付加され,業務の効率化,省力化を図れるようになるだろう。

 

●CareTEX 2018(2)—見守りシステム編
●CareTEX 2018(3)—訪問看護・地域包括ケア編

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