2018-2-19
セミナー会場の様子
「NEC医療セミナー2018東京」が,2018年2月16日(金),NEC本社ビル(東京都港区)で開催された。医療をめぐる最新の3つのトピックスを取り上げた講演会とNECと関連企業によるシステム展示が行われた。講演会では,“次世代医療基盤法”“看護マネジメント”“病院経営・運営”とICTの利活用の視点から,3名の演者が登壇した。システム展示では,「MegaOakHR」「MegaOak/iS」などの電子カルテシステムのほか,NECが持つ顔認証技術を生かした“顔認証印刷ソリューション”や“生体認証と連携した院内フィジカルセキュリティソリューション”などを展示した。
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最初に挨拶した医療ソリューション事業部事業部長の中家章雄氏はNECの取り組みを紹介し,「医療ソリューション事業部はNECの7つの事業領域の中で“Quality of Life”を担う部門として,超高齢社会におけるさまざまな課題をICTでいかに解決するかに取り組んでいる」と述べ,1) 医療現場の安心・安全,2) 医療従事者の業務支援,3) 健康・医療・介護情報の連携の取り組みについて説明した。業務支援では,AIを活用した不穏検知や退院支援の開発事例を紹介し,ユーザーが持つ豊富な知見とNECの最新のAI技術を合わせることで業務の効率化を実現し働き方改革にも貢献できると述べた。さらに,中家氏は医療,介護,福祉などの領域でQuality of Lifeを高めるために今後もユーザーとともに発展していきたいと述べた。
最初の講演は,内閣官房健康・医療戦略室企画官の堀内直哉氏による「次世代医療基盤法と医療ICTの未来」。堀内氏は,2017年5月に公布され2018年5月の施行が予定されている「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律」,いわゆる“次世代医療基盤法”について,そのねらいと運用の概要について説明した。次世代医療基盤法では,新たに“匿名加工医療情報”を設けることで,医療機関や製薬企業などによる医療情報の利活用を促進し,健康寿命延伸や健康長寿社会の実現をめざすもの。堀内氏は,次世代医療基盤法で扱う医療データの範囲や認定匿名加工医療情報作成事業者の認定など運用の仕組みについて概説した。
続いて,前済生会横浜市東部病院副院長兼看護部長(現同院顧問)の熊谷雅美氏が,「医療サービスにおける看護マネジメント」を講演した。熊谷氏は,超高齢・少子社会の到来,医療提供体制の変化,働き方改革などさまざまな課題の中で,看護管理の視点から人材育成や今後の看護職のあり方について自身の経験を基にこれまでの取り組みを紹介した。横浜市東部病院では,高度急性病院としての地域包括ケアの推進の中で,訪問看護ステーションサテライト相談室(病院内の相談窓口の設置),周術期支援センター(入院前からの退院支援),地域看護連携(病院から地域への看護師の出向)などを行っており,これからは病院の中だけでなく地域との連携,情報共有を進めるための視点が看護職にも求められると述べた。
最後に,社会福祉法人聖隷福祉事業団総合病院聖隷三方原病院事務局長の山本功二氏が「病院経営・病院運営から見たICTと期待する人材」と題して講演した。聖隷福祉事業団は1都8県で153施設・324事業を展開する日本最大規模の社会福祉法人で,静岡県浜松市の聖隷三方原病院は法人の中核的な役割を担う施設の1つである。山本氏は同院の概要を,人材の確保・育成,働きがいのある組織作りといった視点から説明し,経営における満足優先度は職員満足(ES)が重要で,職員の満足度を上げることが利用者満足につながり,ひいては経営にも寄与すると述べた。今後,ますます厳しさを増す医療環境の中で,ICTは医療政策の変化に対応するため,また地域の中での役割を果たすためにも必要不可欠であり,ICTを扱うスタッフに求められる資質と同院における研修体系など人材育成の取り組みなどを紹介した。
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●問い合わせ先
NEC 医療ソリューション事業部
TEL 03-3798-6756
http://www.nec.co.jp/medsq/