2018-2-15
祭詞・献花を行う上田輝久代表取締役社長
(株)島津製作所は,2018年2月9日(金),同社大ホール(京都市中京区)において「第95回レントゲン祭・記念講演」を開催した。同社は,レントゲン博士がX線を発見した偉業を讃えるレントゲン祭を,レントゲン博士が亡くなった翌年より毎年行っており,今年で95回となる。
式典でははじめに,同社常務執行役員医用機器事業部長の伊藤邦昌氏が式辞を述べた。伊藤氏は,現在のX線装置はFPDにより撮影と透視が統合された形で画像診断が行われており,これと同時に高度な画像処理により読影に適した検査画像が迅速に提供できるようになっていると述べた。また,“Flex-APS”や“SCORE Chase”など,高度な血管内治療を支援するさまざまな画像処理技術を搭載した最新の血管撮影装置「Trinias」シリーズ「unity edition」を2017年の成果として紹介するとともに,デジタル式回診用X線撮影装置「MobileDaRt Evolution MX8 Version」について説明した。MobileDaRt Evolution MX8 Versionは,国内メーカーの回診車としてはじめてX線管の支柱に伸縮機構を投入した回診用X線撮影装置で,静かで軽い操作性で50kgあるX線管の上下方向のセッティングを可能とした。コンパクトかつスリム化されたことにより装置前方の視界も大幅に改善され,小柄な操作者であっても安心して操作が可能で,利便性も向上したと紹介した。さらに,さまざまな学会でAIやディープラーニングが放射線診療に大きな変革をもたらす可能性が示唆されている現状について,同社でも画像診断領域での応用や患者向け再来受付機において問診形式での診療科の推論に用いるなど,AIの医学応用の取り組みを進めていくと今後の展望を語った。
続いて,代表取締役社長の上田輝久氏による祭詞・献花が行われた。
献花の後は,慶應義塾大学医学部放射線科学教室(診断)教授の陣崎雅弘氏による「放射線医学の現状と今後」と題した記念講演が行われた。陣崎氏は,人体をいかに可視化できるかを研究する学問である放射線医学が,X線の発見からどのような歴史を歩んできたか,また,画像診断の進歩が検査の効率化と低侵襲化にいかに寄与してきたかを解説した。今後の画像診断の方向性として,形状診断の延長として末梢神経やリンパ系の可視化が進んでいくのではないかとの展望を示すとともに,高齢化社会を迎えるに当たり健康寿命の延伸が重要になるとし,現在慶應義塾大学で研究が進められている立位CTなどにより機能情報を得るような方向へも広がっていくのではないかと述べた。さらに,このような画像を得るにはこれまで以上に情報量が増えるため,人工知能による読影支援は必須となっていくのではないかと示唆した。最後に,島津製作所が国立長寿医療研究センターと開発した質量分析システムを用いたアルツハイマー病血液バイオマーカーについて,スクリーニング検査を変革する画期的な発明であり,今後このような質量分析と統合した形で放射線医学が進歩していくことを期待するとして,講演を締めくくった。
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