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キヤノンメディカルシステムズ,「CT・MR Advanced Imaging Seminar 2018」を開催

2018-2-13

メイン会場の様子

メイン会場の様子

キヤノンメディカルシステムズ(株)は2018年2月10日(土),JPタワー ホール&カンファレンス(東京都千代田区)をメイン会場に,「CT・MR Advanced Imaging Seminar 2018」を開催した。「超高精細/高精度CT・MRイメージングが切り拓く新しい診断」をテーマに,ITEM 2017で発表された世界初の超高精細CT「Aquilion Precision」の性能評価や臨床応用,また,開発中のMR技術について,10名の演者が講演した。なお,セミナーの様子は札幌,仙台,大阪,那覇のサテライト会場にも中継された。

開会にあたり同社代表取締役社長の瀧口登志夫氏は,「2018年1月に東芝メディカルシステムズからキヤノンメディカルシステムズに社名変更したが,“診断に必要な画像をより高解像度で提供することによる臨床的な価値の向上”に向けた技術開発をこれまでと同様,さらに追究していく。技術は臨床現場で評価してもらうことで,初めて使っていただけるものへと昇華すると考えており,引き続きのご支援をいただきたい」と挨拶した。

瀧口登志夫 氏(代表取締役社長)

瀧口登志夫 氏
(代表取締役社長)

   

 

セミナー前半の「Session1:MR」では,座長を青木茂樹氏(順天堂大学医学部・大学院医学研究科放射線医学教室放射線診断学講座)が務め,3題の講演が行われた。はじめに同社MRI事業部の山下裕市氏が,「高速化イメージングの最新動向」を報告した。高速化と高画質化の両立をめざし,現在開発を進めている新しいパラレルイメージング“MeAS(Multi sensitivity map to Auto calibrating SPEEDER)”と,MeASにcompressed sensingを融合した“MeACS”(ともにW.I.P.)について解説した。
続いて,北島美香氏(熊本大学大学院生命科学研究部放射線診断学分野)が「Deep Learning Reconstructionについて」と題して,Deep Learningを用いたSNR向上再構成技術“Deep Learning Reconstruction(DLR)”を紹介した。DLRでは,ノイズ部分だけの分離により基本的な信号値やコントラストを担保できるため,短時間で高精細画像を得られるとし,高分解能T2強調画像での検討結果や,DWI,DTIなどへの応用の可能性について述べた。
3題目に,Thomas Tourdias氏(Bordeaux Hospital University Center, France)が「Initial experience with the high gradient system “GALAN ZGO” - From research to clinical use」と題して報告した。キヤノンメディカルシステムズとボルドー大学は,2017年11月より超高分解能技術を搭載した3T MRI〔GALAN ZGO(ジージーオー)と仮称:W.I.P.〕の共同研究を行っている。Tourdias氏は,脳神経疾患と認知・記憶障害を研究テーマの一つとしており,講演ではGALAN ZGOで撮像した視床と海馬の高分解能画像ついて,初期経験と臨床応用への展望について紹介した。

Session1座長:青木茂樹 氏(順天堂大学・大学院)

Session1座長:
青木茂樹 氏
(順天堂大学・大学院)

   
     
山下裕市 氏(MRI事業部)

山下裕市 氏
(MRI事業部)

北島美香 氏(熊本大学大学院)

北島美香 氏
(熊本大学大学院)

Thomas Tourdias 氏(Bordeaux Hospital University Center)

Thomas Tourdias 氏
(Bordeaux Hospital University Center)

 

後半の「Session2:CT」は,技術解説や性能評価などに関する「Session2−1」と,領域ごとの臨床応用報告「Session2−2」の構成で行われた。
Session2−1は,横山健一氏(杏林大学医学部放射線医学教室)が座長を務め,3題が報告された。1題目は,同社CT事業部CT開発部の信藤康孝氏が「Aquilion Precision技術紹介」と題し,0.25mmスライス,0.15mm分解能を可能にしたAquilion Precisionの検出器,X線管,寝台,画像再構成ユニットについて技術解説を行った。なお,Aquilion Precisionは,2017年12月時点で国内13施設に納入されている。
2題目に,石原敏裕氏(国立がん研究センター中央病院放射線技術部放射線診断技術室)が,「Aquilion Precisionの性能と物理特性」と題して発表した。同院で行ったAquilion Precisionの性能評価,物理評価の結果を供覧し,0.25mm,1792ch収集により解像度特性の向上や,それに伴う低コントラスト検出能の向上といった画質改善効果が認められるとし,特性を正しく把握し活用することの重要性を述べた。
3題目として,千葉工弥氏(岩手医科大学附属病院循環器医療センター中央放射線部)が「超高精細CTの臨床展開」を報告した。千葉氏は,Aquilion Precisionのスキャンモード〔NR(通常モード:0.5mm×896ch)とSHR(高精細モード:0.25mm×1792ch)〕による見え方の違いについて,ファントム検討の結果や臨床画像を提示し,SHRにより狭窄率評価や細い血管の描出能が向上することを説明した。

Session2−1座長:横山健一 氏(杏林大学)

Session2−1座長:
横山健一 氏
(杏林大学)

   
     
信藤康孝 氏(CT事業部CT開発部)

信藤康孝 氏
(CT事業部CT開発部)

石原敏裕 氏(国立がん研究センター中央病院)

石原敏裕 氏
(国立がん研究センター
中央病院)

千葉工弥 氏(岩手医科大学附属病院循環器医療センター)

千葉工弥 氏
(岩手医科大学附属病院
循環器医療センター)

 

Session2−2では,座長を新本 弘氏(防衛医科大学校放射線医学講座)が務め,Aquilion Precisionの領域別の臨床応用が報告された。
最初に,久保貴俊氏(国立がん研究センター中央病院放射線診断科)が「超高精細CTによる肝胆膵領域の描出〜診断から治療まで〜」と題して,Aquilion Precisionの腹部領域への適用について初期経験を報告した。解像度の向上により,胆膵領域での微小構造評価やTACE術前シミュレーションにおいて,従来見えにくかったものが見やすくなると述べ,今後は患者アウトカムと関連する臨床評価を行っていく必要があると展望した。
次に,高木英誠氏(岩手医科大学附属病院循環器医療センター放射線科)が「冠動脈CTの現状と超高精細CTの可能性」を発表した。高木氏は同院における冠動脈CTの状況や,Aquilion PrecisionとAquilion ONEの臨床運用について紹介した上で,Aquilion Precisionの高い空間分解能により,冠動脈狭窄の診断精度や定量性が向上し,ステント内狭窄やプラーク性状を評価できる可能性があると述べた。
続いて,山城恒雄氏(琉球大学大学院医学研究科放射線診断治療学講座)が「Aquilion Precisionだけが写すもの(中内耳・胸部)」と題して,同院での初期経験を報告した。中内耳については,Aquilion Precisionでは従来は観察不可能だったあぶみ骨や卵円窓といった微細な構造も描出可能であること,また,胸部については,512マトリックス・5mm厚の画像でも従来CTより微細病変の視認性が改善していることなどを臨床画像を示して説明し,Aquilion Precisionによりさまざまな分野で新たな画像診断が可能になると締めくくった。
最後に,村山和宏氏(藤田保健衛生大学医学部放射線医学教室)が「脳神経領域の画像診断にPrecisionがもたらすもの」を発表した。村山氏は,Aquilion PrecisionとAquilion ONEの症例画像を多数供覧し,Aquilion Precisionにより微細な構造を観察可能になったことは脳神経領域においても非常に重要であり,術前シミュレーションや細血管評価,術後評価などに有用であると述べた。

Session2−2座長:新本 弘 氏(防衛医科大学校)

Session2−2座長:
新本 弘 氏
(防衛医科大学校)

   
     
久保貴俊 氏(国立がん研究センター中央病院)

久保貴俊 氏
(国立がん研究センター
中央病院)

高木英誠 氏(岩手医科大学附属病院循環器医療センター)

高木英誠 氏
(岩手医科大学附属病院
循環器医療センター)

村山和宏 氏(藤田保健衛生大学)

村山和宏 氏
(藤田保健衛生大学)

 

●問い合わせ先
キヤノンメディカルシステムズ(株)
国内営業本部CT営業部
TEL 03-6369-9642
国内営業本部MRI営業部
TEL 03-6369-9644
https://jp.medical.canon/