2017-10-24
AIを活用した診療支援に取り組むNECの山田昭雄氏(左),
KNIの北原茂実氏(中央),NECの中俣 力氏(左)
北原国際病院などを運営する医療法人社団KNIとNECは2017年10月23日(月),人工知能(AI)を活用した診療支援に関して協業すると発表した。KNIでは,超高齢社会や労働力人口減少が進む2030年を見据えて,ITによる診療支援や病院経営改善を行う,“デジタルホスピタル”の実現を進めている。この取り組みの一つとしてAIを活用することとしており,これまでもNECと協力して実証実験などを行ってきた。
その一つが,医療従事者の負担軽減になると期待されるAIによる不穏検知である。これは,生体情報を解析して機械学習を用いることで,不穏の特徴パターンから徘徊や柵越えなど患者の不穏行動を事前に予測する。NECのAI技術群である“NEC the WISE”により,自律神経の乱れを示す特徴量を安定的に収集し,不穏パターンを高精度に識別することが可能である。実証実験では不穏行動の予兆のある患者を71%という高精度で,平均40分前に検知できたという。これにより,不穏行動に対応するスタッフの負担を軽減した。また,不穏行動する患者は,ほかの患者に比べ退院遅延の発生も多いが,その低減も図れたという。
さらに,KNIとNECは退院支援へのAI活用にも取り組んでいる。自宅や回復期病院などの退院先について,最も可能性の高いものを電子カルテの情報から予測する。実証実験では,84%の精度で退院先を予測することができた。この結果,治療後の調整待ちをなくし,患者が早期に自宅へ戻れるようになったほか,病床の稼働率が改善して救急患者を速やかに受け入れられるようになった。
この実証実験の結果を受けて,KNIでは2017年12月に開院する予定の北原リハビリテーション病院新棟でも,AIを導入する。
同日行われた記者発表会には,KNIの理事長である北原茂実氏,NEC執行役員常務の中俣 力氏,同データサイエンス研究所所長の山田昭雄氏が出席。北原氏は,新しい北原リハビリテーション病院でヒーリングファシリティとデジタルホスピタルを実践すると説明したほか,医療だけでなく,健康・介護なども含め,医療機関が支援するトータルライフサポートシステムとそれを利用するための「デジタルリビングウィル」のコンセプトを示した。なお,NECでは今後製品化に向けて,さらにAIの高精度化を進めるとしている。
|
|
|
●問い合わせ先
NEC
医療ソリューション事業部
E-mail dh_press@med.jp.nec.com
http://jpn.nec.com