2017-9-20
3社協業で開発した「ORBEYE」。
左からオリンパス・田口氏,SOMED・津末氏,
ソニー・勝本氏
ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ(株)(SOMED),ソニー イメージングプロダクツ&ソリューションズ(株),オリンパス(株)は,3社協業によって開発した4K 3D手術用顕微鏡システム「ORBEYE(オーブアイ)」を2017年10月上旬に発売する。それに先立ち,2017年9月19日(火)に都内で新製品発表会が開かれた。会見では,ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ副社長の勝本 徹氏,ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ代表取締役社長の津末陽一氏,オリンパス取締役専務執行役員の田口晶弘氏が登壇し,ORBEYEについて製品概要と販売戦略を説明すると同時に,実機の展示が行われた。
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最初に登壇した勝本氏は,2013年にソニーとオリンパスの合弁会社(JV)として誕生したSOMEDについて,「今回,2015年の4K外科手術用内視鏡システムに続いて新製品を発売することができた。医療機器としては短いスパンでの開発が実現できており,JVとしての体制の進化と成熟を実感している」と述べた。その上で,ソニーとオリンパスが持つ映像・ビデオ技術を結集し医療分野に新しい価値を提供するのが今回のORBEYEであるとした。ORBEYEには,両社協業の成果であることを示すシンボルとして“Innovation by Sony & Olympus”のロゴが入ることも紹介した。
続いてORBEYEを構成する新技術について,ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ代表取締役社長の津末氏が解説した。津末氏は,ORBEYEは4K 3D(より鮮明な視界の提供),小型化(簡単なセットアップ),ディスプレイ(術野の共有)によってまったく新しいユーザビリティを提供し,現在の光学式手術用顕微鏡の課題を解消する製品だとして新技術のポイントを紹介した。
ORBEYEがクリアする課題の一つが,“接眼レンズからの解放”である。従来のマイクロサージェリーでは,術中には光学顕微鏡の接眼レンズをのぞき続けることが必要で,長時間同じ姿勢を続けることによる術者のリスクや,助手や手術室スタッフが手術画像を共有しにくいというデメリットがあった。ORBEYEでは,術野の画像を4K 3Dの映像として大型モニタに表示し,術者は3Dグラスを装着してモニタを観察しながら手技を行える。大型モニタでの観察に耐えられる高画質と没入感を実現するため,4K 3Dの高精細デジタル画像を採用して高精細で広色域(16軸色調整)の表示を可能にし,高速な画像データ処理によって画像の遅延を抑えた。顕微鏡部は,接眼レンズがなくなること,一眼レフに使われるEDレンズなどの採用によって,従来の光学顕微鏡に比べて体積で95%まで小型化。顕微鏡ヘッドを支えるアームについてもインナーケーブル化や光伝送技術の採用などによって細径化し,75%のサイズ減を実現した。アームの6軸稼働とあわせて広い術野の確保とフレキシブルなアプローチが可能になるほか,装置がシンプルになったことでドレープなどが簡略にでき,手術のセットアップ時間の短縮などの効果も期待できる。また,術野の映像は4K 3Dに対応した55型の大型モニタに表示するが,フットスイッチで移動や拡大,映像モードの切り替えなどが行える。手術室スタッフは3Dグラスを装着することで術者と同じ映像を見ながら作業できることもメリットとなる。
津末氏は,ORBEYEはソニーの持つイメージセンサーや画像処理の技術,オリンパスの光学式手術用顕微鏡の事業ノウハウや販売・サービス体制など,両社の事業・技術資産を活用して新しい価値を創出した製品であるとし,「SOMEDの使命は,ソニーやオリンパスではできない,とがった製品を創出することにある。今回のORBEYEはその大きな成果であり,今後も医療業界に貢献していきたい」と述べた。
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最後に田口氏が,手術用顕微鏡の市場環境とORBEYEの販売戦略について説明した。オリンパスの手術用顕微鏡(光学式)は日本国内のみで事業を展開しておりシェアも数%にとどまっている。今後,高齢化と同時に治療手段の多様化と低侵襲化が進むことが予想されることから,手術イメージングの領域でも従来よりも繊細で付加価値の高い機能や技術が必要とされてくるとした。その中で,4K 3Dデジタル技術を生かして新しいスタイルでの手術を可能にするORBEYEの投入によって,従来の手術室が抱える課題を解決することでマイクロサージェリーの領域でマーケットシェアの拡大をめざしたいと意気込みを語った。
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ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ株式会社
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