2017-5-30
受賞コメントを述べる阿部 駿氏
(株)AZEは2017年5月27日(土),キヤノンSタワー キヤノンホールS(東京都港区)にて「AZE展2017ー全国医用画像コンペティションー」の最終選考会を開催した。一次審査を通過した入賞者15名によるプレゼンテーションが行われ,審査員により最優秀賞と各部門賞(CT部門,MR部門,昨2016年に新設されたニューカマー部門の3部門),特別賞が選出された。また,審査とは別に,AZE展の発展に寄与した人物に贈られるAZE賞が新設され,今回2名が表彰された。
応募総数は昨年から増えて70作品(CT作品:50点,MR作品:10点,CT・MRのフュージョン作品:10点。このうち初応募の14施設・17作品がニューカマー部門に該当)が全国から集まった。
冒頭に,(株)AZE代表取締役社長の奥野太郎氏が挨拶に立った。奥野氏は,「今回で8回目となるAZE展は,医用画像の撮影や解析に携わる先生方の日頃の成果を発表し,腕を競ってもらう場として,また情報交換の場として提供することで,臨床的により有用性の高い画像の撮影・解析に取り組んでいただくためのサポートをできればと考えている。東芝メディカルシステムズのキヤノングループ入りが決まったこともあり,今後は同社とのコラボレーションも通じてよりよい製品をお届けしたい」との思いを述べた。
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最終選考は,ニューカマー部門,CT部門,MR部門の順に,各部門5作品,計15作品のプレゼンテーションが行われた。審査員長の似鳥俊明氏(杏林大学医学部最先端画像医学研究講座)をはじめ7名の審査員による最終審査の結果,最優秀賞には,阿部 駿氏(JA秋田厚生連秋田厚生医療センター放射線科)の「頭部外傷CTでのsurfaceMIPの有用性」が選ばれた。ニューカマー部門賞には,坂本和翔氏(医療法人社団高邦会福岡山王病院放射線室)の「下肢静脈疾患に対する外科的治療SEPSと内科的治療EVTへの手術支援画像」が,CT部門賞には,福島啓太氏(杏林大学医学部付属病院放射線部)の「CTラングサブトラクション法がカテーテル治療に際し有用であった慢性血栓塞栓性肺高血圧症の1例」が,MR部門賞には,重永 裕氏(兵庫県立がんセンター放射線部)の「造影3D Phase Contrast法による脳腫瘍術前シミュレーションー腫瘍内血管の描出−」が選ばれた。また,特別賞には,CT部門の清水美季氏(日本赤十字社小川赤十字病院放射線科部)の「血痰・喀血原因精査を目的とした,気管支動脈,肺動静脈分離撮影」が選出された。
また,新設されたAZE賞には,岩野晃明氏(徳島健生病院放射線科)と藤本 勤氏(函館脳神経外科病院放射線科)が選出された。岩野氏は大腸解析,藤本氏は頭部におけるフュージョンやマルチボリュームの有用性について,継続的にAZE展に応募し,AZEのワークステーション向上への多くの示唆を与えたとして表彰された。
最後に登壇した似鳥氏は,「最優秀賞は,汎用のソフトウエアを用いて頭部の骨折線を明瞭に描出しており,非常に独創性に富んだ作品であると審査員一同の高い評価を得た。AZE展では,このような独創性を評価していきたい」と講評するとともに,「臨床現場では,なくてはならないものになっているワークステーションが,本当に市民権を得ているのかをいま一度考える時期に来ている。近年,モニタについては画像診断への適不適が厳しく決められているが,ワークステーションについても法制度的に見て医療に用いるのに適正なものであるかを改めて考え,現場もメーカー側もきちんと対応できるようにしなけければならないだろう。日本の画像診断は,診療放射線技師の方々の熱心な取り組みにより技術が高められ,世界的に見て最も優秀な領域の一つとなっている。医師が診療放射線技師から学ぶことも多く,技師の方々にはワークステーションで高度な画像解析を行っていることに誇りに持ち,いっそう修練を積み重ねてほしい」と,今後の展望と期待を述べた。
<入賞作品プレゼンテーション>
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<AZE賞>
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なお,最終選考のプレゼンテーション後には,企業講演が3題行われた。1題目として,AZE開発部の堀内哲也氏が「ワークステーション搭載型画像ノイズリダクション機能(iNoir)及び高分解能3D Volume Rendering機能の開発」を,2題目にキヤノンマーケティングジャパン(株)医療ソリューション開発部の鷲足猛志氏が「バーチャルプレイスのクラウド活用事例」,3題目にマテリアライズジャパン(株)メディカルチームアカウントマネージャの米田 晋氏が「3Dプリンタの医療における活用とソフトウェア」を講演した。
<企業講演>
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●問い合わせ先
株式会社AZE
TEL 03-6719-7027
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