2016-8-23
全国5会場にも中継された。
東芝メディカルシステムズの「Global Standard CT Symposium 2016」が,2016年8月20日(土),ANAインターコンチネンタルホテル東京(東京都港区)をメイン会場に開催された。同社のフラッグシップCTであるAquilion ONEシリーズの最新の技術や臨床報告を行うイベントで,講演の模様は札幌,名古屋,大阪,福岡,沖縄のサテライト会場にもネット配信された。
開催に当たって挨拶した同社取締役専務の鷲尾信宏氏は,キヤノングループへの参画が順調に進んでいること,2011年から続けている国内CT被ばく半減プロジェクトの進捗状況などを報告した上で,「今回のシンポジウムでは,“Aquilion ONEを超えるAquilion ONE”として4月に発売した,Aquilion ONE/GENESIS Editionの最新の臨床応用について,最前線で活躍中の先生方から報告していただく」と述べた。
続いて,同社CT開発部の尾崎公紀氏が,「Aquilion ONE/GENESIS Editionの開発」について報告した。尾崎氏は,Aquilion ONE/GENESIS Editionの開発のポイントとして,1) pureViSION detectorやFIRSTなど新技術による低被ばく,高画質化,2) エリアファインダや高速並列処理によるユーザビリティ,3) コンパクトなガントリと広い開口径,最小設置面積19m2などによるデザイン性の高さを挙げ,それぞれの技術や開発のテーマについて概説した。
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講演は2つのセッションが設けられた。Session1は小林泰之氏 (聖マリアンナ医科大学先端生体画像情報研究講座)を座長として,3題の講演が行われた。
最初に,青木崇祐氏(北九州総合病院放射線科)が,「GENESISの撮影技術」として講演した。青木氏は,同院で今年5月から稼働したAquilion ONE/GENESIS Editionの新機能の中から,“エリアファインダによる撮影”,“スキャノ画像からの寝台連動機能”について紹介した。エリアファインダは,上肢の手・手関節や小児頭部撮影で使用しており,体位変換が容易であり,迅速な撮影が可能になっていることを紹介した。スキャノ連動機能では,心臓から肺野を連続して撮影する際にもセッティングを変えることなく,スキャノ画像から撮影範囲を変更することでベッドが連動して移動してそのまま撮影が可能になることを動画を交えて説明した。
続いて,檜垣 徹氏(広島大学大学院医歯薬保健学研究院放射線診断学)が「FIRSTの画質特性について」を紹介した。檜垣氏は,最初に逐次近似再構成の原理について順投影,逆投影,IRといった基礎的な部分から解説した上で,FIRSTが採用する“Model-based IR”がノイズやアーチファクトを低減する原理を明らかにした。さらに,FIRSTの画質特性について,ファントムによる検証と臨床例を示し,空間分解能が高く微細な構造物の描出が可能になっていると述べた。また,近く搭載予定の頭部用のFIRSTであるBeam Hardeningモデルについてもファントムでの検証結果や,急性期脳梗塞,CTAの臨床画像を含めて紹介した。
セッション1の最後の演題は,堀 雅敏氏(大阪大学大学院医学系研究科放射線医学教室)による「GENESISの臨床応用(腹部領域)」。堀氏は,Aquilion ONE/GENESIS Editionは新しいX線光学系技術の“pureViSION Optics”によって,FIRSTを使用しなくても従来のAquilion ONE(第一世代機)と比べて,被ばく線量を約6割に低減されていることを報告した。さらに,腹部領域でのFIRSTの有用性について,さらなる低被ばくが期待されること,CTAでは空間分解能の向上によって末梢血管まで良好に描出できると述べた。
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Session2は,粟井和夫氏(広島大学大学院)を座長として4つの演題が用意された。
最初に,井上政則氏(慶應義塾大学)が「Aquilion ONEを用いたEndoleak診断」を講演した。井上氏は,大動脈瘤ステントグラフト留置術(EVAR/TEVAR)でのエンドリークの診断に4D-CTによる動態観察がtype分類に果たす役割を動画を示して紹介した。
続いて,前田恵理子氏(東京大学)が「超低線量による小児体幹部診断」について,80kVスカウト背面曝射やSurekV,Organ Effective Modulation(OEM)などのテクニックを含めて解説し,pureViSION detectorやFIRSTなど検出器の感度向上や画像再構成の進化によって,小児検査において理想に近い線量低減が可能になっていると述べた。
続いて登壇した横山健一氏(杏林大学)は「Aquilion ONEを用いた胸部画像診断(肺サブトラクション)」をテーマに講演した。横山氏は,Aquilion ONEの“Lung subtraction”機能を用いて,肺血流シンチグラフィ(プラナー像)様の画像を作成し,肺血管CTA画像とフュージョンして治療や効果判定に利用していることを紹介した。
最後に,吉満研吾氏(福岡大学)が,「Aquilion ONEを用いた腹部画像診断〜腹部サブトラクション:平衡相への応用〈W.I.P.〉」を講演した。吉満氏は,腹部での単純と造影データのサブトラクションから造影成分を可視化する“sureSubtraction Iodine Mapping”についての検証結果と,肝線維化診断,膵病変,胆道などへの臨床応用への期待を述べた。
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