2015-12-22
文部科学省では平成24年度から,手術・放射線療法・化学療法その他のがん医療に携わるがん専門医療人を養成する大学の取り組みを支援することを目的として,「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」(がんプロ)を実施している。全国15大学(連携大学80以上)が選定され,各々の特色や得意分野を生かしつつ連携して,さまざまな取り組みが行われてきた。(全国がんプロ協議会:http://ganpro-z.jp )
なかでも,申請大学:東京女子医科大学,連携大学:帝京大学,杏林大学,駒澤大学の4大学は,「都市型がん医療連携を担う人材の実践的教育」プログラムを 連携して行い,都市型がん地域医療を担うことのできる次世代のがん医療人リーダーの養成を目指して活動している(Webサイトhttp://top-g4.jp 参照)。
2015年12月20日(日)14時より,この連携4大学によるがんプロのイベントとして,小学生・中学生とその家族など,一般の方達を対象にした市民公 開シンポジウム「がんってどんな病気か知ってる? 子ども達に知ってほしい“がん”のこと」が駒澤大学記念講堂にて開催された。子ども達に,わが国の死因 第1位の疾患“がん”に対する正しい知識や,予防,検診の大切さを知ってもらうことを意図して企画された。
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シンポジウムは,江口研二氏(帝京大学医学部難治疾患支援学講座特任教授)と田中美惠子氏(東京女子医科大学看護学部精神看護学教授)が司会を務め,駒澤大学学長の廣瀬良弘氏によるオープニングリマークで始まった。
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まず最初に,渡邊清高氏(帝京大学医学部内科学講座<腫瘍内科>准教授)が「がんって…なに?」と題し,現在2人に1人が罹患し,年間35万人死亡しているがんの定義や病態,治療法,予防策などを概説した。
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次に,「がんの実態を知る」をテーマに6名の演者が講演した。奥山康男氏(駒澤大学医療健康科学研究科教授)が「がんを見つける医療機器」,吉川宏起氏(駒澤大学医療健康科学研究科教授)が「画像で見つける」,佐野圭二氏(帝京大学医学部外科学講座教授)が「手術で治す」,古瀬純司氏(杏林大学腫瘍内科学教授)が「薬で治す」,唐澤久美子氏(東京女子医科大学放射線腫瘍学講座教授)が「放射線で治す」,有賀悦子氏(帝京大学医学部緩和医療学講座教授)が「痛みや辛さを和らげる」と題し,画像診断によるがんの早期発見と集学的治療,そして緩和ケアなどの現状をわかりやすく解説した。
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続いて,「がんの予防策を知る」をテーマに,タバコのおそろしさ,肥満のこわさ,運動の大切さ,がんと感染症について,飯岡由紀子氏(東京女子医科大学看護学部成人看護学教授)が講演。がんの約15%はC型肝炎,ヒトパピローマウイルス,ヘリコバクターピロリ菌の感染が原因であり感染予防が重要なこと,禁煙・節酒など5つの健康習慣の実践でがんになるリスクが半減することなどを解説した。
最後に「がん検診の大切さを知る」をテーマに,林和彦氏(東京女子医科大学化学療法・緩和ケア科教授)が「がんを予防するワクチン」,中島恵美子氏(杏林大学保健学部看護学科教授)が「お父さん,お母さんに教えてあげよう がん検診の大切さ」と題して講演した。20代から急増する子宮頸がんに有効な予防ワクチンは,わが国では副作用の発生が問題視され現在は任意接種となっている。林氏はワクチンを受けない決断をした場合は,検診による早期発見に努めてほしいと述べた。
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クロージングリマークとして桑田禮彰氏(駒澤大学副学長)が登壇し,がんの予防と検診による早期発見を改めて訴えて,今回の連携4大学合同市民公開シンポジウムは終了した。
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