2015-6-15
Hitachi IR Day 2015会場
(株)日立製作所は2015年6月11日(木),東お茶の水ビルの日立製作所大会議室(東京都千代田区)で,「Hitachi IR Day 2015」を開催し,ヘルスケア事業において2018年度の売上高6000億円をめざすと発表した。同社は現在,「2015中期経営計画」に基づいた事業展開を進めているが,この目標達成に向けたコスト構造改革とヘルスケアや情報・通信システムなどの7事業の成長戦略を同日,報道発表している。Hitachi IR Day 2015では,この発表に基づいて,各事業の戦略が報道関係者や機関投資家,アナリスト向けに説明された。
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ヘルスケア事業の売上高は,2014年度が3379億円で,今年度は3600億円を見込んでいる(いずれも米国会計基準)。そして,2018年度はこの数字を大きく伸ばし,6000億円をめざすとしている(国際財務報告基準)。
具体的には,「診断・臨床」「検査・試薬」「インフォマティクス」をコア領域として,それぞれの事業の成長を図る。
「診断・臨床」では,超音波診断装置の世界シェア1位,MRIの世界シェア上位3位以内,粒子線治療システムの世界シェア1位をめざす。超音波診断装置については,今年度中に手術室向けコンパクト機とポイント・オブ・ケア向けの装置を発表するとし,MRIは診療科ごとのアプリケーションを強化する。粒子線治療システムは,今年度メイヨークリニックとセントジュード小児研究病院で稼働するほか,大阪府などから新規受注した。これらにより,2014年度1466億円の売上高を今年度1600億円に伸ばす。「検査・試薬」では,生化学・免疫検査事業において,新型検体検査自動化システムとモジュール方式自動分析装置のパッケージ化,臨床検査トータルエンジニアリングを手がけ,細菌・遺伝子検査事業において製品開発を強化することで,2014年度1266億円の売上高を今年度1300億円に引き上げる。「インフォマティクス」については,英国NHSの「糖尿病予防指導サービス」といったアナリティクスを強化するほか,自治体向けのクラウドソリューションによる地域包括ケア支援,データプラットフォームの強化に取り組む。これらにより,2014年度647億円だった売上高を今年度700億円にするという。
さらに,ケアサイクルイノベーションとして,重点診療領域にも注力する。具体的には,国内でも実績のあるインテリジェント手術室のグローバル展開を進め,北米での納入をめざす。また,アナリティクスによるがん治療計画支援にも取り組む。加えて,再生医療も強化し,グループ全体で細胞製造ソリューションを提供する。
Hitachi IR Day 2015では,今後ヘルスケア事業を進めていく上で重要となるグローバル展開についても発表があった。今年度は北米,中国,APEC地域での投資を増やし,売上高2200億円を見通している。さらに,2018年度の売上高の目標額を4000億円に設定した。これに伴い,ヘルスケア社,(株)日立ハイテクノロジーズ,情報・通信システム社がグローバル4地域のグループ会社などと連携し,現地のニーズに合った事業に取り組む。特に,中国,インドでは,国内での実績を生かしたビジネスを行っていく。以上の取り組みにより,2018年度の海外売上高比率は67%を見込んでいる。
Hitachi IR Day 2015では,上記の戦略を4月に就任した同社執行役常務ヘルスケアグループ長兼ヘルスケア社社長の渡部眞也氏が説明した。
●問い合わせ先
(株)日立製作所
ブランド・コミュニケーション本部
TEL 03-5208-9324
http://www.hitachi.co.jp