2015-5-25
当番世話人の山本修司 氏による開会挨拶
第10回消化管CT技術研究会が2015年5月23日(土),新宿明治安田生命ホール(東京都新宿区)にて開催された。消化管CT技術研究会は,CT Colonography(CTC)について議論し,専門知識と撮影技術の向上を図ることを目的に,2010年に設立された。代表世話人を平野雄士氏(小樽掖済会病院)が務め,診療放射線技師有志が中心となって年2回の研究会を実施している。今回は,山本修司氏(国立がん研究センターがん予防・検診研究センター外来研究員)が当番世話人となり,「To the Future of CTC」のテーマの下,講演,パネルディスカッション,タブレットを使った参加型企画,一般演題など,充実したプログラムが企画された。総合司会は吉川秀司氏(大阪医科大学附属病院)が務めた。
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山本氏による開会挨拶の後,最初のプログラムとして,鈴木雅裕氏(国立がん研究センター中央病院)が司会を務め,船津大輔氏(東京メディカルクリニック)による講演「大腸CT,導入から3年間の軌跡」〔共催:GEヘルスケア・ジャパン(株)〕が行われた。事務総長を務める船津氏は,同クリニックにおけるCTC導入の経緯を紹介し,多職種がかかわるCTCを実施するための院内周知や院内に対する営業の重要性,経営的な視点でのCTCの位置づけについて説明した。
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続いて一般演題1として,4題の口演が行われた。座長は,松井大樹氏(北福島医療センター)が務めた。演題は発表順に,鳥本温子氏(小樽掖済会病院)の「CT colonographyにおける表面型腫瘍の描出能の検討」,平野氏の「CTCにおいて検出できない表面型病変の形状」,岡島美佳氏(群馬県立県民健康科学大学診療放射線学部)の「CTCの読影における注視点調査」,村田浩毅氏(医療法人尚豊会みたき総合病院)の「CTCにおける読影能力向上を目的とした技師教育の現状」。
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この後,ランチョンセミナーが行われ,三原嵩大氏(東京メディカルクリニック)が司会を務め,坂本 崇氏(済生会熊本病院)が「大腸CT用模擬腫瘤ファン トムを用いたポリープ自動計測の精度向上に関する検討」と題して共同研究報告を行った。共催は,ザイオソフト(株),富士フイルムメディカル(株),伏見 製薬(株)。
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午後のプログラムは,一般演題2からスタートした。座長を松田勝彦氏(済生会熊本病院予防医療センター)が務め,5題が発表された。発表順に,恒川明和氏(大垣市民病院)の「当院におけるCTコロノグラフィーの導入から現状について」,平野智之氏(川崎市立多摩病院)の「大腸炭酸ガス拡張による動脈血管径への影響」,神場紀仁氏(医療法人社団日高会日高病院)の「当院の大腸CTと被験者にやさしいCO2自動注入器の至適条件」,岩野晃明氏(徳島健生病院)の「炭酸ガス低速注入法における4種類の注入圧変動パターン」,秋田裕介氏(亀田総合病院)の「腸管内残液が送気停止前後の腸管拡張変化にもたらす影響」。
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続いて,特別企画として「腸管拡張を考える」をテーマにパネルディスカッションが行われた〔共催:堀井薬品工業(株),エーディア(株)〕。司会を山﨑通尋氏(山下病院)と坂本氏が務め,3名のパネリストによる発表の後,ディスカッションが行われた。はじめに,世話人代表として三原氏が「当院における炭酸ガス自動注入器を用いた送気の手技について」を発表し,東京メディカルクリニックにおけるガス送気と撮影の手順や,拡張不良時の対策などについて述べた。次いで,堀井薬品代表として安田貴明氏(上五島病院)が,大腸CT専用自動炭酸ガス送気装置「エニマCO2」(堀井薬品工業販売)を使った腸管拡張について,拡張時のコツや装置の特徴,有用性について報告した。最後にエーディア代表として松田氏が登壇し,炭酸ガス送気装置「プロトCO2L」(エーディア販売)を使った腸管拡張について紹介。鎮痙剤の使用の有無で比較した腸管拡張の視覚的評価の検討などを報告した
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次いで,タブレットとアンサーパッドを使った全員参加型企画「みんなで解析CTC!」が行われた〔共催:東芝メディカルシステムズ(株),アミン(株),企画協力:ザイオソフト(株)〕。このタブレットを使った参加型企画は,第7回の研究会ではじめて行われ,ブラッシュアップしながら毎回恒例の企画として定着している。司会を,小倉敏裕氏(群馬県立県民健康科学大学)と鈴木氏が務めた。本企画用のCTC解析アプリケーションと症例データが入ったタブレットが配布され,出題に沿って病変のチェックや,部位,肉眼型分類などをアンサーパッドで回答するという方法で進行し,参加者は大腸解析を体験した。
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プログラムの最後には,エーザイ/エーディアセッションとして2題の講演が行われた〔共催:エーザイ(株),エーディア(株)〕。1題目は山本氏が司会を務め,仁木 登氏(徳島大学大学院)が「胸腹部CT検診のコンピュータ支援診断」と題して講演した。仁木氏は,肺や消化管のがん診断システムなどの研究開発を行っており,講演では,CT画像とゲノム情報を併せた肺スクリーニング,高解像度CTを使った肺のミクロ構造,体幹部の原発がん・二次がんの解析について紹介した。2題目は,平野氏の司会の下,本田徹郎氏(長崎みなとメディカルセンター市民病院)が「大腸CTをどのように活用していくか? 〜地域医療で活躍する大腸CTの紹介〜」を講演した。本田氏は,前任の上五島病院での経験を基に,CTCは患者の負担が少なく,再現性が高く,診療放射線技師が中心となって行える検査であるとして,高齢化が進み,医師が少ない離島医療における有用性を述べた。
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最後に閉会の挨拶に立った平野氏は,「5年前の研究会設立の頃と比べて技術や機器開発が進み,大腸CTは“過信はできないがあなどれない検査”になっていると感じている。今後も,大腸CTが優れた検査としての地位を確立するように,他学会・研究会と連携しながら推し進めていきたい」と述べた。次回の第11回から,平野氏に代わり坂本氏が代表世話人を務める。
また,ホワイエではメーカー12社によるCTCに関する機器展示が行われた。
次回の第11回消化管CT技術研究会は,2015年10月17日(土)に北海道自治労会館(札幌市)で開催の予定で,当番世話人を三原氏が務める。
*なお,第10回消化管CT技術研究会については,インナービジョン10月号(9月25日発行予定)にて特別企画として誌上報告を掲載します。詳しくは10月号をご覧ください。
【共催】
GEヘルスケア・ジャパン(株),ザイオソフト(株),富士フイルムメディカル(株),伏見製薬(株),堀井薬品工業(株),東芝メディカルシステムズ(株),アミン(株),エーザイ(株)/エーディア(株)
【メーカー展示(12社)】
東芝メディカルシステムズ(株),GEヘルスケア・ジャパン(株),富士フイルムメディカル(株),(株)日立メディコ,伏見製薬(株),アミン(株),(株)AZE,エーディア(株),日本メドラッド(株),(株)根本杏林堂,堀井薬品工業(株),(株)京都科学
●問い合わせ先
消化管CT技術研究会ホームページ
http://gict-tec.com