2015-3-25
医療分野でのiOSデバイスの
ニーズの高さが伝わる会場
一般社団法人iOSコンソーシアムは2015年3月15日(日),Apple Store銀座(東京都中央区)において,「メディカルiOSフォーラム2015」を開催した。同コンソーシアムは,「ビジネスにiOSデバイスを」という合い言葉の下,アップル社のiPhone,iPadといったiOSデバイスの法人市場におけるニーズの活性化を図るために活動を行っている。今回は「医療現場でもっと役立つiPadの活用方法」をテーマに,クリニックにおける導入事例などが紹介された。
まず,同コンソーシアムの医療ワーキンググループリーダーの名和輝明氏が,「医療現場におけるiOS端末活用について」と題して講演した。名和氏は,2012年に設立された同フォーラムの概況を報告した上で,医療分野におけるiPhone,iPadの利用状況について,医療ワーキンググループが2013年に行ったアンケート結果を紹介した。このアンケートでは,91%の回答者がiPhone,iPadを業務に利用したいと考えていることがわかった。一方,回答者の使用状況では,施設全体で利用しているケースは11%で,31%が個人の所有しているものを持ち込んでいるという結果が出た。また,名和氏はiOSの“Health”など新たなアプリケーションなども説明。その上で,ハードウエア・ソフトウエアとも技術進歩が速いだけに,現実策として可能なことから始める“small start”で導入することを考えるべきとの見方を示した。
次いで,「クリニックにおけるiPad活用術」をテーマに,医療法人社団NICO習志野台整形外科内科の院長である宮川一郎氏が講演した。宮川氏は,超高齢社会が進む日本の医療の状況について説明した上で,今後の診療体制として患者参加型のチーム医療が求められると述べた。また,現状の診療において患者満足度を下げる要因に,医療者とのコミュニケーション不足と長い待ち時間があると説明した。これらを踏まえて宮川氏は,iPadでの問診票入力など患者自らが医療に積極的に参加できる仕組みを構築し,待ち時間にiPadを貸し出しするといった同クリニックの活用事例を解説した。さらに,宮川氏は,医療関係者向けのアプリケーションソフトウエアも紹介したほか,iPadを使った遠隔での電子カルテシステムへのアクセスのデモンストレーション,患者の行動変容を促す仕組みづくりの説明などを行った。
この後,ヤマハ(株)の馬場大介氏が,「医療でITを使いこなすための無線LAN構築」と題したプレゼンテーションを行った。馬場氏は施設内での効率的なネットワークの構成を解説したほか,電波干渉対策についても説明し,iPhoneやiPadを使用するためのネットワーク構成を示した。
当日は,立ち見が出るほど参加者が来場し,医療分野におけるiOSデバイスの ニーズが高いことを改めて感じさせた。 同コンソーシアムでは,今後も医療現場でのiOSデバイスの普及に向けた活動を行っていくとしている。
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●問い合わせ先
一般社団法人iOSコンソーシアム
https://ios.or.jp
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