2014-12-25
記者発表会に望む富士通と各医療研究機関の代表者
(左から田中氏,橋本氏,合田氏,山本氏,堀田氏,鳥羽氏)
富士通は2014年12月24日(水),国立がん研究センターなど,わが国の高度医療研究機関4施設との間で,ITを活用した共同研究に関する協定を締結したと発表した。同社の持つスーパーコンピュータやビッグデータ解析,セキュリティ技術などを活用して,国民の健康増進,重症化予防,疾患の早期発見,新薬創出,個別化医療など,医療モデルの構築と普及をめざす。今回,同社が協定を締結したのは,国立がん研究センター,国立循環器病研究センター,国立長寿医療研究センターの国立高度専門医療センター3施設と東京医科歯科大学。国立高度専門医療センター3施設とは,2015年3月までに研究内容を具体化して,共同研究を開始する。
国立がん研究センターとの共同研究では,がんのメディカル・ゲノムセンター機能に必要となるゲノム情報と電子カルテシステムなどの診療情報の統合に取り組む。2016年度末までにゲノム医療を実施する体制のプロトタイプを整備し,がんに対するゲノム医療に必要となる情報基盤を構築し,予防・先制医療などに役立てる。
国立循環器病研究センターとは,循環器疾患の対策として,食事や運動などの生活習慣のビッグデータを解析し,患者の行動変容を促すための介入方法や効果判定方法を開発する。ウェアラブルやセンシング技術を用いたデータ収集とデータベースの構築,解析システムの開発を,2018年度末までに行うとしている。
国立長寿医療研究センターとの共同研究では,認知症の早期発見システムの構築をめざす。対象者の医学的情報と日常生活情報を収集し,ビッグデータの解析を行うことで,認知症の予兆などを予測し,早期診断,治療に役立てる。2018年度までに開発をめざすという。
東京医科歯科大学との間では,ゲノムなど生物の体内にある分子の網羅的情報(オミックス)を統合したデータベースの基盤整備や解析技法の確立に取り組む。また,オミックスを基盤とした次世代医療システムの情報収集方法と情報構築方法の研究も行う。2014年度末までにプロトタイプを開発し,臨床情報,オミックス,生活習慣情報を効果的に収集する手法などを確立する。
同日には,ホテルオークラ東京(東京都港区)で記者発表会が行われた。富士通からは山本正巳代表取締役社長,合田博文特命顧問・未来医療開発センター長が出席。また,医療研究機関からは,国立がん研究センターの堀田知光理事長,国立循環器病研究センターの橋本信夫理事長,国立長寿医療研究センターの鳥羽研二理事長,東京医科歯科大学難治疾患研究所生命情報科学の田中 博教授が出席した。山本社長は,富士通はスーパーコンピュータなどの高い技術力があり,クラウドやセキュリティなど,研究開発に必要となる技術を自社で提供できることに加え,電子カルテシステムなど医療分野でユーザーの期待に応える製品を提供してきたと挨拶。健康長寿社会の実現に向け,技術で貢献していくという姿勢を示した。さらに,合田特命顧問は,2013年に設立された未来医療開発センターについて説明した上で,心臓シミュレータやIT創薬などこれまでの成果を紹介。今回の共同研究により新たな医療情報活用基盤を構築して,その有効性を検証し,日本人の代表的な疾患を克服することで,健康長寿社会を実現したいと述べた。
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