2014-12-16
恒例となった東京国際フォーラム
東芝メディカルシステムズ(株)は2014年12月14日(日),「画論 The Best Image 2014」を開催した。会場は,東京国際フォーラム(東京都千代田区)。1993年にスタートした画論は,同社の画像診断装置のユーザー施設から応募された診断・治療に役立つ画像,被検者に優しい検査,新しい検査法,画像処理技術を評価する場として歩んできた。今年で22回目を数え,同社の恒例行事でもある。この画論を通じて,ユーザーが創意工夫をしつつ施設間で切磋琢磨し,それが同社の技術開発にも結びついている。
今回,CT部門は,1〜32列部門,1〜32列(心血管)部門(優秀賞以上の該当なし),64〜160列部門,64〜160列(心血管)部門,Aquilion ONE部門,Aquilion ONE(心血管)部門が設けられ,22件の入賞作品があった。MR部門は,1.5テスラ以下MR部門,3テスラMR部門に分けられ,15件の入賞があった。超音波部門は,血管部門,心臓部門,表在部門,腹部部門の4部門で各5件合計20件の入賞があった。当日午前中には,CT,MR,超音波の各部門に分かれ,これらの入賞画像について,各施設の代表者,審査員がディスカッションした。
ディスカッション後には,ランチョンセミナーが設けられ,CT,MR,超音波の部門別に,RSNA 2014の展示内容などが報告された。それに引き続き,第一会場ではCTとMR,第二会場では超音波の特別講演が行われた。
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CTは,広島大学大学院医歯薬保健学研究院応用生命科学部門放射線診断学教授の粟井和夫氏が座長を務めた。演者は,一般財団法人大原綜合病院画像診断センターのセンター長である森谷浩史氏。「Aquilion ONE 最新のCT臨床動向」をテーマに,ADCT「Aquilion ONE/ViSION Edition」の新たなアプリケーションについて,特に動態イメージングに関するものを中心にその使用経験が報告された。森谷氏は呼吸器領域におけるAquilion ONE/ViSION Editionに新たに搭載される“4D気管支トラッキング”での定量解析を解説したほか,“ラングサブトラクション”についても説明し,高精度のレジストレーションが可能であり,臨床的有用性が高いと述べた。また,森谷氏は,NPSモデルを追加した新たな逐次近似応用再構成法である“AIDR 3D Enhanced”の解説もした。
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第一会場では,次いで杏林大学医学部放射線医学教室教授の似鳥俊明氏が座長を務め,MRの特別講演が行われた。神戸大学大学院医学研究科先端生体医用画像研究センターのセンター長を務める大野良治氏が,「Vantage Titan 3T 最新のMR臨床動向」をテーマに講演した。大野氏は,71cmのガントリ開口径を持つVantage Titan 3Tの特長を紹介した上で,whole body MR imagingでのPETとのフュージョン,computed DWIやFASE-DWIといったDWIの新たなシーケンスについて解説を行った。さらに,大野氏は,Vantage Titan 3TにおけるCESTやUTE-MRIの使用経験も報告した。
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第二会場で行われた超音波の特別講演は,川崎医科大学検査診断学内視鏡超音波部門教授の畠 二郎氏を座長に,兵庫医科大学超音波センター・内科肝胆膵科教授の飯島尋子氏が「Aplio Platinum Seriesが変える! 肝疾患診療の最前線」をテーマに登壇した。飯島氏は,豊富なデータに基づいた分析と症例画像を提示し,SMIとShear waveを中心に肝疾患診療における最新のトレンドについて紹介した。その中で,自らの学生時代の超音波診断について「霧の中で胆石を見つけるようなもの」だった,と超音波診断装置の確実な進歩について評し,今後も侵襲性がなく,客観性に富む,超音波で病態を知ることができ,組織の状態が見られる患者の役に立つ装置を開発していってほしいと語った。
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特別講演の後には,第一会場で,CT,MR,超音波の各部門の上位入賞者の発表と表彰式が行われた。各部門の最優秀賞,優秀賞,テクニカル賞(CT部門),最優秀技術賞(MR部門),特別賞(超音波部門)が発表され,同社代表取締役社長の瀧口登志夫氏から,各施設の代表者に表彰状が授与された。
表彰式後に挨拶に立った瀧口氏は,臨床現場の努力や熱意を,研究開発に生かしたいと述べ,Angio CTなどRSNAで発表した新しい新製品・技術を紹介した。さらに,瀧口氏は,東芝が100年前の1914年にX線管の開発に着手し医療機器事業に進出したことに触れ,次の100年に向けて,“Made for Life”のスローガンの下,より良い製品を世に送り出したいと述べ,2014年の画論を締めくくった。
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【受賞施設】
〈CT部門〉
●1〜32列部門
【最優秀賞】
医療法人財団報徳会西湘病院
「頭蓋内類上皮腫」
【優秀賞】
松戸市立福祉医療センター東松戸病院
「石灰化を伴った両側腎動脈瘤」
【テクニカル賞】
社会医療法人杏嶺会一宮西病院
「左下葉腫瘤」
●1〜32列(心血管)部門
優秀賞以上の該当なし
●64〜160列部門
【最優秀賞】
医療法人慈愛会梶浦病院
「胸腺腫」
【優秀賞】
岩手医科大学附属病院
「左尿管癌(膀胱内浸潤)」
自治医科大学附属さいたま医療センター
「原発性アルデステロン症疑い」
社会医療法人ジャパンメディカルアライアンス海老名総合病院
「鼓膜穿孔(左)」
JA岐阜厚生連揖斐厚生病院
「座位における肘関節骨折の撮像」
【テクニカル賞】
社会医療法人北海道恵愛会札幌南三条病院
「肺動静脈分離3D画像(右下葉肺がん)」
●64〜160列(心血管)部門
【最優秀賞】
該当なし
【優秀賞】
公益社団法人地域医療振興協会横須賀市立市民病院
「下肢静脈瘤」
特定医療法人神戸健康共和会東神戸病院
「術前3D-CT Angiographyが有用であった胃癌症例」
【テクニカル賞】
社会医療法人社団カレスサッポロ北光記念病院
「狭心症疑い」
●Aquilion ONE部門
【最優秀賞・テクニカル賞】
地方独立行政法人佐賀県医療センター好生館
「破裂頭蓋頸椎移行部硬膜動静脈痩」
【優秀賞・テクニカル賞】
磐田市立総合病院
「左中大脳動脈瘤クリッピング術後」
【優秀賞】
社会福祉法人函館厚生院函館中央病院
「脊椎破裂骨折」
横須賀市立うわまち病院
「人工骨頭挿入後の直腸癌患者に対するチルトヘリカルの有用性」
慶應義塾大学医学部
「下腹壁動脈穿通枝皮弁を用いた乳房再建術の術前計画CT」
医療法人社団清風会五日市記念病院
「未破裂右内頸動脈瘤の術前」
●Aquilion ONE(心血管)部門
【最優秀賞・テクニカル賞】
公立大学法人和歌山県立医科大学
「第4指固有掌側指動脈部動静脈奇形および総掌側指動脈瘤」
【最優秀賞】
一般財団法人厚生会仙台厚生病院
「ステントを伴う高度石灰化に対する変則subtraction CTA」
【優秀賞】
社会福祉法人函館厚生院函館五稜郭病院
「肺腫瘤性病変」
一般財団法人厚生会仙台厚生病院
「VSP に対する Amplatzer Septal Occluder 留置術前CT」
〈MR部門〉
●1.5テスラ以下MR部門
【最優秀賞】
医療法人顕正会蓮田病院
「下肢ASO」
【最優秀技術賞】
金沢医科大学病院
「HCC肝細胞相呼吸同期撮像(90°プリパルス併用呼吸同期 Quick3Ds)
【優秀賞】
医療法人社団千栄会高瀬クリニック
「早期血栓による冠動脈MRA閉塞の偽陰性所見」
医療法人社団千栄会高瀬クリニック
「非造影MRA による心臓・胸部大動脈同時評価」
医療法人社団三喜会横浜新緑総合病院
「DWI-PWI ミスマッチ」
学校法人順天堂大学医学部附属浦安病院
「生後1ヵ月乳児の髄膜瘤 meningocele」
社会福祉法人恩賜財団済生会千葉県済生会習志野病院
「脊柱管狭窄症術後」
社会福祉法人恩賜財団済生会千葉県済生会習志野病院
「副腎腫瘍(原発性アルドステロン症)術前検査」
医療法人社団CVIC心臓画像クリニック飯田橋
「MRIによる心臓周囲脂肪測定およびOMIによるものと思われる左室心筋内脂肪変性の描出」
日本赤十字社岐阜赤十字病院
「骨盤臓器脱」
●3TテスラMR部門
【最優秀賞】
自治医科大学附属さいたま医療センター
「肺動静脈奇形コイル塞栓後再疎通疑い」
【最優秀技術賞】
医療法人住友別子病院
「乳房再建術深下腹壁穿通枝皮弁法」
【優秀賞】
社会福祉法人北海道社会事業協会帯広病院
「骨盤静脈瘤の血行動態解析」
社会医療法人社団慈生会等潤病院
「神経鞘腫」
社会医療法人共愛会戸畑共立病院
「右小脳静脈性血管腫」
〈超音波部門〉
●心臓部門
【最優秀賞】
山口大学医学部附属病院
「Lö ffler's endocarditis」
【優秀賞】
国立循環器病研究センター
「成人左冠動脈肺動脈起始(BWG症候群)」
医療法人医仁会武田総合病院
「Lö ffler's endocarditis」
独立行政法人労働者健康福祉機構大阪労災病院
「心室中隔解離を伴ったたこつぼ型心筋症」
京都大学医学部附属病院
「診断に苦慮したtraumatic TRの1症例」
●血管部門
【最優秀賞】
東邦大学医療センター大橋病院
「腹腔内出血」
【特別賞】
公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院
「EVAR後のType5エンドリーク」
【優秀賞】
医療法人社団聖嶺会立川記念病院
「カラー Mmode法による下肢静脈瘤評価法」
東邦大学医療センター大橋病院
「左前腕部外傷性仮性動脈瘤」
兵庫県立尼崎病院
「左内頸静脈血栓」
●腹部部門
【最優秀賞】
藤枝市立総合病院
「限局性結節性過形成(Focal Nodular Hyperplasia)」
【特別賞】
神戸大学医学部附属病院
「術中超音波胆道造影が有用であった肝門部胆管癌の1例」
【優秀賞】
JA秋田厚生連秋田厚生医療センター
「胃GISTの肝転移巣破裂」
東邦大学医療センター大森病院
「胆嚢(仮性)動脈瘤」
医療法人豊田会刈谷豊田総合病院
「超音波での治癒過程の観察が有用であった深堀り胃潰瘍の一例」
●表在部門
【最優秀賞】
地方独立行政法人りんくう総合医療センター
「乳腺 髄様癌」
【特別賞】
東邦大学医療センター大森病院
「ソナゾイド造影超音波で明瞭に病変を捉えられた乳癌の一症例」
【優秀賞】
東京大学大学院医学系研究科
「仙骨部にポケットを形成した褥瘡」
帝京大学医学部附属病院
「採血による肘部正中神経損傷」
社会医療法人天神会新古賀病院
「左精索捻転の一例」
●問い合わせ先
東芝メディカルシステムズ株式会社
「画論ザ・ベストイメージ」事務局
TEL 0287-26-5300
http://www.toshiba-medical.co.jp/