2014-12-11
会場風景
一般社団法人日本画像医療システム工業会(以下,JIRA)は,2014年12月10日(水),日中友好会館(東京都文京区)にて,第4回「JIRA画像医療システム産業研究会」を開催した。本研究会は,「画像医療システム産業発展に向けて」をメインテーマとし,その方向性や課題などについて検討する場として毎年開催されている。今回は,11月25日より「医薬品,医療機器等法の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下,医薬品医療機器等法)」が施行されたことに関連し,「医療用ソフトウェアの現状と将来」をテーマに,基調講演,予防分野,診断分野,治療分野の4つの講演が組まれた。
研究会は,座長であるJIRAの和迩秀信政策企画会議議長・理事の進行の下,JIRAの小松研一会長による開催の挨拶から始まった。小松会長は,さまざまなヘルスケアの領域においてソフトウェアの進歩がかかせないものであるとし,医療用ソフトウェアの最先端を知ることで,医療機器産業全体の今後発展する方向性を議論していきたいと述べた。
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つづいて1人目の講演者として,公益財団法人医療機器センターの専務理事である中野壮陛氏が登壇し,基調講演「ソフトウェア規制に関する欧米動向と日本の状況」と題して,医薬品医療機器等法でソフトウェアが医療機器として規制対象になった経緯と,その際に参考になった欧米でのガイダンスや動向などについて説明した。中野氏は,医薬品医療機器等法を理解する上で,「医薬品医療機器等法の対象かどうか」「医薬品医療機器等法におけるソフトウェアの名称」「取り扱う企業のそれぞれの役割」「ソフトウェアの品質,有効性,安全性」が重要であると説明し,法律施行日から3か月の経過措置の間に,ビジネスとして取り組むべきかをきちんと検討することが肝要だと結んだ。
次に,2人目の講演者である東京大学医学部附属病院特任准教授の林 直人氏が,予防分野として「検診画像データベース構築と予防医学的研究」をテーマに,自身がかかわっている産学連携の業務を紹介した。林氏は検診業務や画像報告書システム,解答付き画像作成システム「CIRCUS」の構築を通して得た利用者である医師と開発者両方の視点から,検診画像データベース構築に必要なポイントとして「インフォームド・コンセント」「画像報告書の構造化」「二重読影」「多様なデータへの対処」「個人情報への対処」の5つを挙げた。
3人目の講演者は岐阜大学大学院医学系研究科教授の藤田広志氏が務め,診断分野として「CAD(コンピュータ支援診断システム)の最新動向と将来」を講演した。藤田氏はCADとは何かという基本的な概念や前週に開催されたRSNAでのことも含めたCADの最新情報について説明,そして,2014年3月末に成功裏に終了した「医用画像に基づく計算解剖学の創成と診断・治療支援への高度応用」,現在研究が進んでいる最先端研究である「医用画像に基づく計算解剖学の多元化と高度知能化診断・治療への展開」について触れ,充実したデータベースがあれば,今後乳がんなどを自動的に検出できるようになるかもしれないと期待を示した。
最後に千葉大学フロンティア医工学センター准教授の中村亮一氏が4人目の講演者として登壇し,治療分野「医用画像による外科医療の超可視化」を題材に,自身の外科治療支援システム研究の紹介をした。中村氏は画像医療システムを中心要素とした外科治療支援システムとして,悪性脳腫瘍や胎児内視鏡外科治療での手術ナビゲーションシステムや,それを応用した手術工程解析・評価システムのほか,心筋再生医療における筋芽細胞シートを移植するための心筋運動情報により制御される運動補償型手術ロボットなどを紹介した。中村氏は最後に,日本は画像診断システムに比べて治療用の産業参入が遅れている事実があり,今後治療の領域へもっと参入してほしいと産業界への要望を述べた。
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●問い合わせ先
一般社団法人 日本画像医療システム工業会
TEL 03-3816-3450
http://www.jira-net.or.jp