2014-8-4
代表世話人:立石敏樹 氏
(国立病院機構仙台医療センター)
3D PACS研究会は2014年7月27日(日),新宿マインズタワーにあるトレンドマイクロ(株)の会議室を会場に,「夏季セミナー2014」を開催した。ネットワーク型3Dワークステーションを中心とした医療施設内の3D配信環境を主なテーマとして取り上げてきた同研究会であるが,今回は,医療現場でも注目を集め,今後普及していくことが予想される3Dプリンタをはじめとした最新トピックスを盛り込んだ内容となった。プログラムは,その3Dプリンタを取り上げた「3Dセミナー」のほか,「基礎セミナー」「ランチョンセミナー」「情報セミナー」「医療安全セミナー」で構成された。
代表世話人である立石敏樹氏(国立病院機構仙台医療センター)の挨拶に続き行われた3Dセミナーでは,牛尾哲敏氏(滋賀医科大学医学部附属病院)が座長を務め,2題の講演があった。まず,(株)ファソテックの安楽武志氏が,「Bio-Texture Modeling技術と医療分野における3次元臓器モデルの活用」と題して講演した。安楽氏は,同社の事業概要を紹介した上で,3Dプリンタ事業参入の経緯と医療分野への進出について解説。医療分野での3Dプリンタ利用について,術前シミュレーションなどに用いる高額な臨床モデル,医学教育などで活用される低コストのトレーニングモデルがあることを説明した。次いで,インフォコム(株)の高柳亮太郎氏が,「インフォコムが提案する整形外科領域画像ソリューション2D,3D画像処理と3Dプリンターの運用例について」をテーマに登壇。独立行政法人科学技術振興機構の復興促進プログラムとして取り組んだ整形外科領域のインプラント手術支援のための「iRad-OT」と「JointVision」を組み合わせた3Dプリンタ使用の研究を紹介した。
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続く,基礎セミナーでは,金沢 勉氏(新潟大学医歯学総合病院)が座長を務めた。EIZO(株)の兎子尾宏之氏が,カラーマネジメントについての講演をした。兎子尾氏は,色の三原色や色空間などのカラーマネジメントの基礎知識を解説した上で,モニタの特性などを説明。他業界におけるモニタのキャリブレーション事例を紹介し,3D画像などの医用画像のカラーマネジメントについて述べた。
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この後,ランチョンセミナーとして,国立病院機構災害医療センターの武田聡司氏が講演を行った。テーマは「国際緊急援助隊医療チームにおけるX線撮影システムの概要」。座長は,小西英一郎 氏(国立病院機構千葉東病院)が務めた。武田氏は,DMATや国際緊急援助隊(JDR)の概要を紹介したほか,JDRがこれまで使用してきた可搬型のX線撮影システムを説明した。現在のシステムはキヤノン社製FPDの「CXDI-70C」を採用している。講演では,2013年に発生した台風30号によって被害を受けたフィリピンにおけるJDRの活動とこのシステムを実際に使用した経験を紹介した。武田氏は,これまでの経験を通じて,災害医療専用のX線撮影システムを確保するのが難しいため,日常業務で使用でき,災害医療にも対応できるシステムが求められると述べた。
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次いで,3D PACS研究会顧問の津坂昌利氏(名古屋大学)が座長を務め,情報セミナーが設けられた。先にトレンドマイクロの松山征嗣氏が登壇し,「薬事法改正と医療機器のセキュリティ」をテーマに講演した。松山氏は,まず医療施設内の情報セキュリティについて触れ,部門システム端末のウイルス対策が遅れていると指摘。現行の薬事法では,セキュリティ対策が難しいことを説明した。その上で,昨年公布され,今秋施行される医薬品医療機器等法について,それを取り巻く動向を紹介。新たに薬事承認の対象となる単体プログラムや法改正後の情報セキュリティの方向性を解説した。続いて,リマージュジャパン(株)の杉原弘恭氏が講演を行った。テーマは,「企業内,院内ビデオプラットフォームQUMUソリューション〜社内Youtube,院内Youtube構築の有用性と職員教育」。杉原氏は,同社が展開するビデオ配信システム「QUMU」を活用したeラーニングついて,他業界の事例を紹介した上で,医療施設での活用方法を提案した。
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プログラム最後の医療安全セミナーでは,金沢氏が座長を務め,2題の講演が行われた。先に行われた「Radimetrics(X線検査線量管理システム)について」では,日本メドラッド(株)の川上典一氏が,7月に国内発表されたばかりのRadimetricsを紹介した。同システムは,CTや血管撮影装置,一般撮影装置など,医療施設内の各装置から発生するX線線量を一元管理できる。閾値を基準とした“累積線量トラッキング機能”など,X線線量のデータをビジュアルでわかりやすく示すことで,放射線部門におけるX線線量のマネジメントに寄与する。次いで,登壇した(株)メディカルクリエイトの廣田 悟氏は,「RISにおける造影剤安全管理」をテーマに講演した。廣田氏は,RISに搭載したeGFR値による造影剤の投与判定や造影剤副作用の履歴管理などの機能について解説した。
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会場では,機器展示も行われ,参加者と出展者が談笑する様子が見受けられた。研究会の最後には,津坂氏が挨拶し,今年12月に次回セミナーの開催を予定しているなど,今後の活動スケジュールを説明して,今回のセミナーを終了した。
●機器展示
インフォコム,EIZO,キヤノンライフケアソリューションズ,シーメンス・ジャパン,テラリコン・インコーポレイテッド,トレンドマイクロ,フィリップスエレクトロニクスジャパン,伏見製薬,メディカルクリエイト,日本メドラッド,リマージュジャパン
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●問い合わせ先
キヤノンライフケアソリューションズ株式会社
医画像機器営業本部:赤木
TEL 03-3814-4953