2014-5-29
挨拶を述べる山口氏
公益社団法人日本脳卒中協会とバイエル薬品(株)は,「心房細動による脳卒中を予防するプロジェクト」(呼称:TASK-AF: Take Action for StroKe prevention in Atrial Fibrillation)を共同事業として開始し,2014年5月28日(水)にステーションコンファレンス東京(東京都千代田区)にて記者説明会を開催した。説明会には,同プロジェクト実行委員会委員長である日本脳卒中協会理事長の山口武典氏と,日本脳卒中協会事務局長の中山博文氏,慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教授の岡村智教氏が出席し,プロジェクトの背景と概要を説明するとともに,具体的な提言を発表した。
わが国において脳卒中有病者数は年々増加しており,なかでも心房細動を主因とする心原性脳塞栓症は,梗塞が広範囲に及ぶため予後が悪く,患者・家族のQOL,および社会的・経済的負担が大きい。予防のためには心房細動を早期発見し,脳梗塞予防のための抗凝固療法を行うことが重要であるが,その推進にあたっては,一般市民や医療提供者の認知度の低さや,約半数に自覚症状がない心房細動の特徴,また治療のコントロールの難しさなどといった解決すべき課題がある。
そこで,自治体・保険者・医療提供者などの一体的な働きかけにより,心房細動の早期発見,適切な抗凝固療法の受療・継続に対する意識と行動の変容を促すことで,患者や家族への負担,社会的・経済的な負担を軽減することを目的に,TASK-AFが開始された。TASK-AFでは,まず現状と課題を踏まえた具体的な取り組み提案を行うため,提言書「脳卒中予防への提言―心原性脳塞栓症の制圧を目指すために―」をまとめ,今後は秋田県と京都市伏見区においてパイロットプログラムを展開し,その評価結果を基に2014年中(予定)に提言書の第2版を発行し,活動を全国へ展開してくという。
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提言の要旨は次の通りである。
提言1:心房細動の早期発見のために
(1)特定健康診断・後期高齢者健康診断での心電図検査の推進
(2)日常診療における心房細動のスクリーニングの促進
(3)心房細動の症状・脳梗塞予防の重要性,脈拍触診,心電図検査等に関する市民啓発
(4)心房細動の早期発見のための地域連携の推進
提言2:健康診断で心房細動を指摘された後の受診率向上のために
(1)心房細動患者への個別受診勧奨の実施
提言3:適切な抗凝固療法の推進のために
(1)適切な治療選択に向けた,かかりつけ医・循環器専門医間の医療連携の推進
(2)アドヒアランス向上に向けた,患者への情報提供の推進
なお,提言書はTASK-AFのWebサイト(http://task-af.jp )に全文が公開されている。
●問い合わせ先
「心房細動による脳卒中を予防するプロジェクト」事務局
(コスモ・ピーアール内)
TEL 03-5561-2915
FAX 03-5561-2912
Email:task-af@cosmopr.co.jp
www.task-af.jp