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第4回消化管先進画像診断研究会(GAIA)が開催
ー大腸CTとカプセル内視鏡に関する最新情報を共有

2014-3-13

満席となった会場

満席となった会場

第4回消化管先進画像診断研究会(Gastrointestinal Advanced Imaging Academy:GAIA)が2014年3月9日(日),仙台サンプラザ(仙台市)を会場に開催された。GAIAは,大腸3D-CTの日本初の大規模多施設共同臨床試験 Japanese National CT colonography Trial(JANCT)を実施した主要メンバーが集まり,医師や診療放射線技師を対象に完全オープンの研究会として2012年に設立された(消化管先進画像診断研究会と堀井薬品工業(株)の共催)。今回は「『大腸ー最新の画像診断』話題の先進画像の導入に向けて!!」をテーマにプログラムが組まれ,当番世話人を福島県立医科大学会津医療センター小腸大腸肛門科の遠藤俊吾氏が務めた。参加者は220名に上った。

代表世話人:永田浩一 氏(亀田京橋クリニック)

代表世話人:永田浩一 氏
(亀田京橋クリニック)

当番世話人:遠藤俊吾 氏(福島県立医科大学会津医療センター)

当番世話人:遠藤俊吾 氏
(福島県立医科大学会津医療センター)

 

 

開会に先立ってモーニングセミナーが行われ,早朝から多くの参加者が集まった。松本啓志氏(川崎医科大学食道・胃腸内科)の司会のもと,木島茂喜氏(自治医科大学放射線科)による「消化管のMRI診断」と題した講演が行われた。木島氏は,直腸,小腸,上部消化管(胃)のMRI診断を取り上げ,同院の症例画像を供覧しながら解説した。消化管の中では早くからMRI診断が応用されてきた直腸がん局所診断については,T2強調画像と拡散強調画像で評価できるとし,ピットフォール回避のためにADCmapを併せて確認することが必要であることなどを紹介した。

司会:松本啓志 氏(川崎医科大学)

司会:松本啓志 氏
(川崎医科大学)

木島茂喜 氏(自治医科大学)

木島茂喜 氏
(自治医科大学)

 

 

モーニングセミナーの後,当番世話人の遠藤氏による開会挨拶が行われた。遠藤氏は,大腸CT,カプセル内視鏡について,実践に向けての参考となるようにプログラムを企画したとし,読影に関しては診療放射線技師に読影補助が求められつつある状況を受け,読影のための知識をコ・メディカルにも身につけてほしいと述べた。また,多施設共同研究に関する話題もあることから,そういった研究に参加してノウハウを学ぶ機会を作ってほしいと参加者を激励した。
続く第1部では,野崎良一氏(大腸肛門病センター高野病院内科)の司会のもと,消化管先進画像診断研究会の代表世話人を務める永田浩一氏(亀田京橋クリニック)が「大腸CT検査の低線量化と精度検証」と題して基調講演を行った。まず永田氏は,日本は大腸内視鏡の先進国でありながら,世界に比べて大腸がん死亡率が高いことを示し,その背景に3割に満たない検診受診率があることを説明。日本における大腸CTに関する2つの大規模多施設共同臨床試験の結果からその精度を示し,タギングの実施や,読影に3D Fly Throughを活用することで,大腸CTが大腸検査のオプションとなりうるとした。また低線量化については,従来からある自動露出機構(AEC)に加え,近年実用化されている逐次近似画像再構成法が有効であるとし,臨床試験データなどからその有用性を紹介した。

司会:野崎良一 氏(大腸肛門病センター高野病院)

司会:野崎良一 氏
(大腸肛門病センター高野病院)

永田浩一 氏(亀田京橋クリニック)

永田浩一 氏
(亀田京橋クリニック)

 

 

第2部は「大腸CTのABC」のテーマで,前処置から読影までの基本について,4名が講演した。司会は,本田徹郎氏(長崎県上五島病院内科)と池原貴志子氏(山陽病院外科)が務めた。
1題目は,「前処置のABC」と題して加藤貴司氏(北海道消化器科病院内科)が登壇した。大腸検査に関するアンケート結果から,大腸内視鏡,大腸CTともに前処置を大きな負担と考える被検者が多いことを説明した加藤氏は,大腸CTにおいてはタギングを用いることで,精度の向上に加え,前処置を軽減でき受容性が向上するとし,タギングの重要性を強調した。
次に,歌野健一氏(福島県立医科大学会津医療センター小腸大腸肛門科・放射線科)が,「前処置軽減のための工夫」と題して発表した。同センターでは,積極的に大腸CTを実施しており,歌野氏は受容性を上げるための前処置法の検討や,低用量腸管洗浄剤による前処置の実施状況などを紹介した。
3題目に,「ガス注入・撮影のABC」と題して,藤原正則氏(亀田メディカルセンター幕張診療放射線部)が講演した。藤原氏は,大腸3D-CTの成功のカギとなるガス注入と撮影体位・条件について,それぞれのポイントを紹介。ガス注入では,自動注入器を用いつつ被検者の体型などに配慮して工夫すること,また撮影では,2体位撮影を基本とし,被ばく低減に努める必要性を述べた。
最後に,木島茂喜氏が「読影のABC」をテーマに講演した。大腸CTは,仮想大腸内視鏡画像と通常の2D画像を組み合わせて読影することにしており,読影法として,3D primary法と2D primary法を説明した。そして,読影の習熟に175例の症例経験が必要であるとする海外の報告を紹介するとともに,具体的な読影方法について,画像を示しながら注意点を含めて解説した。

司会:本田徹郎 氏(長崎県上五島病院)

司会:本田徹郎 氏
(長崎県上五島病院)

司会:池原貴志子 氏(山陽病院)

司会:池原貴志子 氏
(山陽病院)

加藤貴司 氏(北海道消化器科病院)

加藤貴司 氏
(北海道消化器科病院)

 

歌野健一 氏(福島県立医科大学会津医療センター)

歌野健一 氏
(福島県立医科大学会津医療センター)

藤原正則 氏(亀田メディカルセンター幕張)

藤原正則 氏
(亀田メディカルセンター幕張)

木島茂喜 氏(自治医科大学)

木島茂喜 氏
(自治医科大学)

 

第3部の「大腸CT検査ワークステーションを学ぶ・操る」は,歌野健一氏と高林 健氏(北海道消化器科病院放射線科)の司会進行のもと,前後半に分けて実施された。前半は「各社のWSの実際」と題し,各社のワークステーションを用いて,研究会参加者の代表が実際にワークステーションを操作しながら,実症例の読影からレポート作成までの操作を行った。後半は,各社によるプレゼンテーションが行われ,発表順にテラリコン・インコーポレイテッド,(株)AZE,アミン(株)/ザイオソフト(株),シーメンス・ジャパン(株),GEヘルスケア・ジャパン(株)が,それぞれのワークステーションの特長を紹介した。

第4部「カプセル内視鏡」(ギブン・イメージング(株)提供)では,平山眞章氏(KKR札幌医療センター斗南病院内科)の司会のもと,3題の発表が行われた。
最初に,松田知己氏(仙台厚生病院消化器内視鏡センター消化器内科)が「大腸カプセル内視鏡の使用経験」と題して発表した。同施設では,2013年11月よりカプセル内視鏡システムを導入しており,これまで検討してきた前処置からカプセルの体外排出までの負担を軽減するプロトコールを説明した。今後の課題として,前処置の工夫と他モダリティとの比較で有用性を確立することを挙げた。
2題目に,角川康夫氏(国立がん研究センター中央病院消化管内視鏡科)が「大腸カプセル内視鏡の現状と今後の展望」を講演。2014年1月に保険収載された第2世代の大腸カプセル内視鏡「PillCam COLON 2」の概要を説明し,実際の画像を示しながら読影のポイントを紹介。検査自体に苦痛がなく比較的受容性が高いと考えられる内視鏡カプセルが,精密検査に進むための1.5次検診に活用できると期待を示した。
最後に,根本大樹氏(福島県立医科大学会津医療センター小腸大腸肛門科)が「カプセル内視鏡と小腸内視鏡による小腸疾患の診断」をテーマに講演した。根本氏は,小腸内視鏡の適用や禁忌,診断能などを概説し,同センターにおける経験を報告。また,小腸内視鏡と小腸カプセル内視鏡の画像を提示し,それぞれの特徴を説明した。

司会:高林 健 氏(北海道消化器科病院)

司会:高林 健 氏
(北海道消化器科病院)

司会:平山眞章 氏(KKR札幌医療センター斗南病院)

司会:平山眞章 氏
(KKR札幌医療センター斗南病院)

松田知己 氏(仙台厚生病院消化器内視鏡センター)

松田知己 氏
(仙台厚生病院消化器内視鏡センター)

 

角川康夫 氏(国立がん研究センター中央病院)

角川康夫 氏
(国立がん研究センター中央病院)

根本大樹 氏(福島県立医科大学会津医療センター)

根本大樹 氏
(福島県立医科大学会津医療センター)

 

 

続く第5部は,「東北における大腸CTの現状」をテーマに,野崎良一氏と歌野健一氏の司会進行のもと,東北地方4施設からの報告が行われた。
最初に,国立病院機構仙台医療センター放射線科の立石敏樹氏が,「当院の装置を生かしたCT Colonography検査について」と題して発表した。立石氏は,同センターにおける大腸CTによる検査・検診の運用の実際を報告し,使用CTの特徴を生かして,Dual Energyによるelectric cleaningを残渣対策に実施していることを紹介した。
次に,北福島医療センター放射線技術科の松井大樹氏が「東北における大腸CTの現状〜当院の現状と問題点〜」をテーマに発表。前処置と腸管拡張について取り上げ,タギングについては使用する薬剤の飲用方法の検討やタギング結果を紹介した。腸管拡張にあたっては,病変部位を事前に把握しておくことや,触知,送気の値の確認をしながら送気することが必要であるとした。
3題目に,山形県立河北病院放射線部の今野雅彦氏が「河北病院のちょっとした工夫〜前処置:緩下剤の服用時間の変更〜」を発表した。同院では大腸CT開始当初,残渣が多く読影困難な症例が続いたことから,緩下剤の服用時間を就寝前から15時に早めたところ,良好な結果が得られたことを報告。塩分摂取量が多いという地域性も関係すると考えられることから,地域の特殊性を考慮した前処置が必要であると述べた。
最後に,青森県公立野辺地病院放射線科の君成田章太郎氏が「当院における大腸CTの現状」と題して講演した。同院では2012年5月より,ブラウン変法を採用した大腸CT検診を実施しており,送気に関しては検討の結果,右側臥位,仰臥位,腹臥位の順に体位変換して一定量ずつ送気する方法により,良好な拡張が得られていると報告。腸管拡張の成功例と失敗例の画像を示し,送気のポイントを説明した。

立石敏樹 氏(国立病院機構仙台医療センター)

立石敏樹 氏
(国立病院機構仙台医療センター)

松井大樹 氏(北福島医療センター)

松井大樹 氏
(北福島医療センター)

 

 

今野雅彦 氏(山形県立河北病院)

今野雅彦 氏
(山形県立河北病院)

君成田章太郎 氏(青森県公立野辺地病院)

君成田章太郎 氏
(青森県公立野辺地病院)

 

 

プログラム最後となる第6部の「大腸CT検査のQ&A」では,事前・当日受け付けした研究会参加者からの質問に対し,講師が答える形のセッションが行われた。永田浩一氏と歌野健一氏が司会を務め,講師として平山眞章氏,加藤貴司氏,安田貴明氏(長崎県上五島病院放射線科),高林 健氏,藤原正則氏が登壇し,参加者から寄せられた質問について解説した。
最後に,次回の当番世話人を務める加藤貴司氏が閉会の挨拶に立ち,研究会で得た知識を施設に持ち帰り,現場で生かしてほしいと述べ,参加への感謝で締めくくった。
次回の第5回消化管先進画像診断研究会は2014年9月14日(日),札幌すみれホテル(札幌市)で開催予定である。

第6部の司会と講師:右から永田氏,歌野氏,平山氏,加藤氏

第6部の司会と講師:
右から永田氏,歌野氏,平山氏,加藤氏

第6部の講師:右から安田氏,藤原氏,高林氏

第6部の講師:右から安田氏,藤原氏,高林氏

 

なお,会場では第3部でワークステーションを紹介したメーカー5社によるデモンストレーションコーナーが設けられたほか,出展協賛各社による大腸CT,カプセル内視鏡の関連製品の展示が行われた。出展企業は五十音順に次のとおり。エーディア(株),(株)根本杏林堂,(株)日立メディコ,ギブン・イメージング(株),東芝メディカルシステムズ(株),日本メドラッド(株),堀井薬品工業(株)。

実症例の読影を解説する第3部の会場風景

実症例の読影を解説する第3部の会場風景

WSのデモンストレーションコーナー

WSのデモンストレーションコーナー

 

ホワイエでの大腸CT,カプセル内視鏡の関連製品展示

ホワイエでの大腸CT,カプセル内視鏡の関連製品展示

 

●問い合わせ先
消化管先進画像診断研究会 代表世話人
永田浩一(亀田京橋クリニック) 
E-mail:gaia.med@live.jp
TEL 03-3273-2027 / FAX 03-3527-9100

 

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