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第33回医療情報学連合大会(その2)
“未来”につながるディスカッションで盛り上がる

2013-11-29

オーガナイズドセッション5「より安全な地域医療情報連携に問われること」でのディスカッション

オーガナイズドセッション5
「より安全な地域医療情報連携に問われること」
でのディスカッション

第33回医療情報学連合大会(第14回日本医療情報学会学術大会)2日目の11月22日(金),午後からはA会場において,佐久間一郎氏(東京大学大学院工学系研究科医療福祉工学開発評価研究センター)による特別講演2が行われた。講演のテーマは,「Information Guided Surgeryのための手術ロボット技術」。座長は大会長である宮本正喜氏(兵庫県立医科大学医療情報学)が務めた。佐久間氏は,「da Vinci」に代表される 手術支援ロボットについて解説を行い,臨床応用が進んでいるがコストやサイズ,機能,画像誘導手術システムとの融合などの課題が残されていると説明。また,その有用性の評価についても十分ではなく,今後臨床研究による評価が必要だと述べた。一方,ロボットそのものの開発だけでなく,周辺デバイスの開発も重要であると言及。そのためにもより密接な医工連携が必要であるとまとめた。

佐久間一郎 氏(東京大学)

佐久間一郎 氏
(東京大学)

このほか,2日目午後のセッションとして注目を集めたものの1つに,日本医療機能評価機構認定病院患者安全推進協議会IT化・情報機器部会との共同企画であるワークショップ「病院情報システムに伴い発生したインシデントとその対策」がある。このワークショップでは,IT化・情報機器部会部会長の楠岡英雄氏(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター院長)らが座長を務め,同部会員が発表者となり,医療情報システムに起因するインシデント事例を取り上げ,参加者との意見交換を行う形式で進められた。

翌23日(土)は,早朝のセッションから立ち見が出るほど活発な最終日となった。G会場で行われた一般口演34「病院情報システム_システム更新・導入」では,愛媛大学の木村映善氏と川崎医科大学の宮原勅治氏が座長を務め,6題の発表が行われた。会場の外にあふれるほど混み合ったこのセッションでは,短期間,地方病院,ベンダー変更などのケースでどのようにシステム更新が行われたか,各発表者から報告された。また,B会場で行われたオーガナイズドセッション5「より安全な地域医療情報連携に問われること」では,宮本大会長と,兵庫県医師会副会長の足立光平氏が座長を務め,日本医師会認証局(日医HPKI)を利用しセキュアな環境を構築して,診療情報の共有を行っている岡山県の晴れやかネットの事例が取り上げられた。地域連携が進む中で,より重要となる個人認証のあり方をテーマにしたこのオーガナイズドセッションにも多くの参加者が詰めかけた。

産官学共同企画「地域連携と医療情報化政策」での石川氏の発表

産官学共同企画「地域連携と医療情報化政策」での
石川氏の発表

午後からA会場で行われた産官学共同企画「地域連携と医療情報化政策」では,厚生労働省政策統括官付情報政策担当参事官室の中安一幸氏が座長を務め,2題の発表があった。まず,国立長寿医療研究センター病院臨床研究推進部医療情報室長の渡辺 浩氏が2013年度JAHIS-IHE受託厚生労働省事業として取り組んだ,医療情報の交換のための規格策定に関する事業の概要を説明。ITを活用した地域連携を広めるためには,「誰のための仕組みか」と「連携させる中身」の2つを明確にすること,そしてオンラインサービスの請け負い手の存在が重要だと述べた。次いで登壇した日本医師会常任理事の石川広己氏は,地域連携における個人情報保護の重要性と日医HPKIについて発表した。この後,登壇した中安氏は,EHR普及のための政策として,目的,インフラ,プライバシーポリシー,セキュリティ,標準化,IDという項目を挙げて説明した。

岡田美保子学会長

岡田美保子学会長

産官学共同企画の後には,学会長講演が行われた。関西医科大学大学情報センター医療情報部門の仲野俊成氏が座長となり,岡田美保子学会長が「診療情報の蓄積—医療情報学としての課題と医療情報学会の役割」をテーマに講演した。この講演の中で岡田学会長は,日本医療情報学会の果たす役割について,学術研究,実践・実装,人材育成の3点を挙げ,それぞれの取り組みを説明した。

すべてのプログラムが終了した後,閉会式が行われた。この中で宮本大会長は,「これから始まるInnovation〜未来への挑戦〜」という大会テーマについて改めて触れ,「未来につながるディスカッションができたと思う」と大会を総括した。なお,次回,第34回医療情報学連合大会(第15回日本医療情報学会学術大会)は,2014年11月6日(木)〜8日(土)に幕張メッセ国際会議場(千葉県千葉市)で開かれる。大会長は千葉大学医学部附属病院企画情報部教授の高林克日己氏。大会テーマは「医療情報学が医生物学を造る〜医療情報学による医学の革新〜」である。

 

●問い合わせ先
第33回医療情報学連合大会事務局
TEL 090-1443-2708
FAX 0798-45-6734
E-mail jcmi33@hyo-med.ac.jp

 

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