2013-9-11
SILENT SCAN体感コーナー
GEヘルスケア・ジャパン(株)は2013年9月10日(火),世界初となる音のしないMRI検査を可能にする新技術「SILENT SCAN」を発表し,ホテルニューオータニ(東京都千代田区)にて記者発表会を開催した。SILENT SCANを搭載した「Discovery MR750w 3.0T」と「Optima MR450w 1.5T」の新バージョンを,9月18日(水)より販売する。
SILENT SCANは,従来のMRI検査時に発生する騒音を“発生させない”ことに成功した,世界初のMRI撮像技術で,検査環境音+3dB以下でのMRI検査を可能にする。従来のMRIでは,傾斜磁場コイルに流す電流の頻繁な切り換えによりコイルが振動し,さまざまな周波数の大きな音が発生することが避けられなかった。これに対し,SILENT SCANは,新しい信号収集法と画像再構成法を搭載した専用ソフトウエア「Silenz(サイレンツ)」を用いることで,頻繁な電流の切り換えがなく,音がほとんど発生しない撮像を実現。ハードウエア面でも,高速で高安定した電源システムと高速スイッチングが可能なRFコイルを採用し,ソフトウエア技術とハードウエア技術が融合することで,“静けさと安心感”を提供するMRI検査が可能となった。
従来装置と比較して,わずかな撮像時間の延長で同等の画像を得ることができる。現在は,頭部領域を対象とし,位置決め,T1強調,MRA(現時点では,Discovery MR750w 3.0Tのみ)で使用可能となっている。
騒音が発生しないことにより,被検者に安心感を与え,繰り返し検査を受ける抵抗感を低減し,さらに,小児や高齢者の検査をしやすくなることが期待される。SILENT SCANは,検査の快適性を追究したワイドボアMRI「Discovery MR750w 3.0T」と「Optima MR450w 1.5T」に付加的に搭載され,既存装置のバージョンアップにも対応する。
記者発表会では,はじめに同社代表取締役社長兼CEOの川上 潤氏が,同社の取り組みとSILENT SCANについてプレゼンテーションを行った。GEの創始者トーマス・エジソンの「世界がいま本当に必要としているものを創る」という精神を受け継ぎ,医療課題解決へのイノベーションづくりが同社の使命であると述べた川上氏は,高齢化の進む“課題先進国”であるわが国は,最もイノベーションをつくりやすい国であるとし,日本におけるhealthymaginationを紹介した。MRIにおいては,撮像技術の追究と患者へ優しさをコンセプトに開発が進められてきており,よりペイシェントフレンドリーなMRIをめざしてSILENT SCANに至ったと,開発の経緯を述べた上で,MRIの音の仕組みやSILENT SCANの技術などを概説した。
川上氏は,適応領域やシーケンスを広げるべく,SILENT SCANの開発を続けており,東京オリンピックが開催される2020年までに,完全にサイレントなMRIの提供をめざすとし,今回発表したSILENT SCANがその第一歩であると締めくくった。
続いて,社会福祉法人聖隷福祉事業団聖隷浜松病院放射線科部長の増井孝之氏が,「SILENT SCAN活用事例・反響,そして将来の可能性など」と題して,SILENT SCANの初期使用経験について報告した。同院では,8月下旬よりSILENT SCANを搭載したDiscovery MR750w 3.0Tが稼働している。増井氏は,実機を使用した経験から,SILENT SCANは音がしないだけでなく,画質が良いこともポイントであるとし,特にT1強調像の画質の高さを評価した。そして,T1強調,Gd造影T1強調の画像を供覧し,SILENT SCANを適用しても高コントラストの画像を得られることを示した。さらに,RFコイルの高速スイッチングによりTEを0にすることが可能で,信号均一性の高い画像を取得でき,特にMRAで高い有用性を発揮すると述べた。
今後の臨床応用では,特に高齢者,小児,健診者を対象に,静かな検査を実施できることが有望であるとし,なかでも鎮静が必要な小児などでは,SILENT SCANにより鎮静を軽減したり,または不要となる可能性もあることから,心身への負担軽減や安全性の向上に期待を示した。
発表のあとには,増井氏と川上氏によるトークセッションが行われ,臨床面での有用性や,医療現場とGEとのパートナーシップなどについての意見が交わされた。
また,会場には,SILENT SCANの有無での撮像音を聞き比べられる体感コーナーも設けられた。
●問い合わせ先
GEヘルスケア・ジャパン株式会社
コミュニケーション本部
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