2013-6-28
Accent MRIペースメーカシステム
(左端がアクティベータ装置)
セント・ジュード・メディカル(株)は2013年6月27日(木),7月から日本国内での販売を開始する条件付きMRI対応ペースメーカシステム「Accent MRI
」のプレス向け技術説明会を本社(東京都港区)にて開催した。
Accent MRIは,1.5T MRIでの全身スキャンに対応可能であることに加え,ワイヤレス通信機能を搭載し,アクティベータ装置のボタン操作だけで,検査時に容易にデバイスパラメータの切り替えができることが大きな特徴である。本年6月に厚生労働省の承認を受け,7月1日よりデュアルチェンバー,8月1日よりシングルチェンバーの販売を開始する。なお,全身スキャン対応のシングルチェンバータイプは日本初となる。
Accent MRIは,7月4日(木)〜6日(土)に開催される第28回日本不整脈学会学術大会での展示紹介を予定している。
説明会では,はじめにセント・ジュード・メディカル(米国)アジア シニア・バイス・プレジデントで同社代表取締役社長のウィリアム・フィリップス氏が,「ひとりでも多くの患者様がMRI検査を受けられるために」と題してプレゼンテーションを行い,MRI対応ペースメーカ開発の背景やAccent MRIの特徴について説明した。
続いて,シーメンス・ジャパン(株)イメージ&セラピー事業本部MRビジネスマネージメント部部長の井村千明氏が,「MR装置と検査,市場について」として,MRI検査について,また,国内における装置の稼働状況や検査状況,MRIの技術進歩について解説した。
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最後に,日本大学医学部内科学系循環器内科分野助教の中井俊子氏が,「MRI対応ペースメーカの有用性〜臨床医の立場から〜」と題した講演を行った。日本国内においてMRI検査は,一般診療所でも数多く行われているほどニーズの高い検査であり,特に整形外科領域での重要性が高い。しかし,従来のペースメーカを植込んでいる患者はMRI検査を受けられないため,確定診断ができずに,適切な治療を受けられないという状況があった。中井氏は,Accent MRIは,一長一短であったこれまでのMRI対応ペースメーカの長所を併せ持つ製品であるとし,臨床におけるメリットについて説明した。MRI対応ペースメーカ植込み患者は,MRI検査時にはデバイスパラメータを検査モードに変更する必要がある。これは,あくまで検査を安全に行うための一時的なモードであり,やむを得ず非生理的な設定にすることもあるため,検査の直前直後に速やかにモードを切り替えることが望まれる。中井氏は,他社製品ではプログラマーによるモード変更が必要であるのに対し,Accent MRIはアクティベータ装置のボタン操作のみで容易に変更が可能である点を評価した。また,万が一通常モードに戻すことを忘れた場合にも,遠隔モニタリングシステム「Merlin.net」により,医療者へアラートが通知されるという。
なお,同大附属病院では,MRI対応ペースメーカの必要性を認識し,現在はすべての症例で採用しているが,国内全体としては半分程度の採用にとどまっていることから,中井氏はMRI対応ペースメーカを採用する重要性の周知に今後も努めていくと述べた。
●問い合わせ先
セント・ジュード・メディカル(株)
http://www.sjm.co.jp/