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CT Colonographyシンポジウム2012 開催

2012-12-25

会場風景

会場風景

 CT Colonographyシンポジウム2012〔共催:消化管CT研究会,消化管CT技術研究会,エーザイ(株),エーディア(株)〕が2012年12月22日(土),エーザイ(株)本社(東京都文京区)にて開催された。2010年に,CT Colonographyを中心とした消化管検査に携わる医師や診療放射線技師が,意見交換やレベルアップを目的に「消化管CT研究会」と「消化管CT技術研究会」をそれぞれ発足して活動しているが,今回初めて合同でシンポジウムを開催した。2012年1月より大腸に対するCT撮影に診療報酬が適用され,CT Colonographyへの関心が高まるなか,医師や技師を中心に参加者は233名に上った。参加者への挙手による会場アンケートでは,大多数が今後CT Colonographyを始めようと考えていると答えたことからも,国内で今後,CT Colonographyが急速に普及していくことが推測される。

 プログラム委員の平野雄士氏(小樽掖済会病院)の開会挨拶に続き,エーザイ(株)とエーディア(株)より話題提供が行われ,エーディア(株)の市川 篤氏が,CTC用炭酸ガス送気装置「プロトCO2L」と「プロトCO2Lカテーテルセット」の紹介と添付文書の変更について報告するとともに,エーザイ(株)と共同で開設した,CT Colonographyの話題を中心とした学術情報を提供するサイト「大腸CT.com 」を紹介した。
 続いて,第1部技術編が,平野氏と小倉敏裕氏(群馬県立県民健康科学大学)を座長に行われた。
 講演1では,坂本 崇氏(済生会熊本病院)が「CTCの前処置法」を講演した。残便・残液を造影剤で標識して病変との鑑別を容易にするTagging Agentについて,等張液+ガストログラフィン(当日法),等張液+ガストログラフィン(前日法),高張液+バリウム(前日法)を比較したところ,2mm以上の病変に対する感度は,等張液+ガストログラフィン(前日法)が80%と最も高かったことや,残液に対するTagging効果はガストログラフィンが高く,残渣に対するTagging効果はバリウムが高いことを報告した。また,実際の検査では前日処置ができない被検者もいるため,当日法で前処置終了と撮影開始までの時間を延長する方法を検討し,150分程度の時間を空けると検査精度が向上したことを述べた。
 講演2では,鈴木雅裕氏(国立がん研究センター中央病院)が,「CTC検診の撮影法」と題して,CT Colonographyの撮影で重要となる腸管拡張について講演した。二酸化炭素自動送気装置が発売され,簡便に高い精度で腸管拡張をすることが可能になったが,適切な腸管拡張をするには,解剖を理解した上でガスの移動を想像することが大切であり,できるだけ鎮痙剤を使用することで良好な拡張を得られることや,過拡張では大腸の描出が困難になることを説明。腸管拡張時の腸管圧の変化を示したグラフを用いて,送気開始からスキャンまでのポイントについて説明した。
 続く講演3では,吉川秀司氏(大阪医科大学附属病院)が,「CTの被ばく低減技術について」を講演した。CTの被ばく低減技術として,無駄な被ばくの低減(CT-AEC)と画質を改善しての線量低減(逐次近似応用画像再構成)について,国内外での発表やファントム実験結果などを示しながら解説。適切な線量で検査ができるようにCTCのガイドライン作成を提言するとともに,あらためてALARAの原則の遵守を強調した。
 第1部最後となる講演4は,山崎通尋氏(山下病院)が,「CTCスクリーニング検査のピットフォール」と題して,同院の豊富な症例画像を示しながら,表示画像,検査方法,病変形態それぞれに起因するCT Colonographyのピットフォールについて解説した。各表示方法のメリット・デメリットを理解することの重要性や,前処置・腸管拡張・撮影プロトコールの注意点,解剖学的に注意を要する部分などを説明し,特に憩室内病変が一番のピットフォールになりやすいとして注意を促した。

【第1部 技術編】

座長 平野雄士 氏(小樽掖済会病院)

座長
平野雄士 氏
(小樽掖済会病院)

座長 小倉敏裕 氏(群馬県立県民健康科学大学)

座長
小倉敏裕 氏
(群馬県立県民健康科学大学)

坂本 崇 氏(済生会熊本病院)

坂本 崇 氏
(済生会熊本病院)

鈴木雅裕 氏 (国立がん研究センター中央病院)

鈴木雅裕 氏
(国立がん研究センター中央病院)

吉川秀司 氏(大阪医科大学附属病院)

吉川秀司 氏
(大阪医科大学附属病院)

山崎通尋 氏(山下病院)

山崎通尋 氏
(山下病院)

 

 午後は,第2部臨床編のプログラムからスタートし,小林広幸氏(福岡山王病院)を座長に,3名の演者による教育講演が行われた。
 最初に,教育講演1「消化器科から見た大腸疾患とCTC」が行われ,山野泰穂氏(秋田赤十字病院)と,竹内 健氏(東邦大学医療センター佐倉病院)が講演した。
 大腸がんについて講演した山野氏は,大腸内視鏡検査のメリットともに,その被検者受容性の低さや,処理能力の限界について述べ,これらの克服にCT Colonographyを用いることが期待されるとした。多くのメリットがあるが,生検・処置は不可能なCT Colonographyには,治療可能な大腸がんを現状よりも指摘することで大腸がん死亡率を減少させることや,被検者に画像としてわかりやすく提示することで内視鏡検査へ誘導し,早期がん・がん予備群を発見するといった可能性があるとし,これまでの検診から精査への戦略を変更し,大腸がんを効率的に拾い上げ,内視鏡と共存光栄していく検査であると述べた。
 続いて,大腸炎症性疾患について講演した竹内氏は,炎症性腸疾患(IBD)は,病変の形状や発症箇所により潰瘍性大腸炎やクローン病の鑑別診断が可能であり,内視鏡をはじめとした画像診断が重要であることを説明。CT Colonographyは,病変を内視鏡などと同様に描出でき,慢性疾患であるIBDの病勢のモニターも可能なため,IBD検査に有用であると述べるとともに,課題である被ばく低減に努め,的確な読影方法の習得が必要であるとした。
 教育講演2として,飯沼 元氏(国立がん研究センター中央病院)が,「スクリーニングにおけるCT Colonography診断の読影の実際」と題して,CT Colonography診断の基礎について講演するとともに,ザイオソフト社,AZE社,GEヘルスケア・ジャパン社,テラリコン社のワークステーションを用いて読影のノウハウを解説した。ワークステーションを用いた診断は,正常構造と病変を見極めることであり,その判断には読影者個人の症例経験が大きく影響するため,ハンズオンセミナーなどで経験を積むことの必要性を強調した。

【第2部 臨床編】

座長 小林広幸 氏(福岡山王病院)

座長
小林広幸 氏
(福岡山王病院)

山野泰穂 氏(秋田赤十字病院)

山野泰穂 氏
(秋田赤十字病院)

竹内 健 氏(東邦大学医療センター佐倉病院)

竹内 健 氏
(東邦大学医療センター佐倉病院)

飯沼 元 氏(国立がん研究センター中央病院)

飯沼 元 氏
(国立がん研究センター中央病院)

 

 第3部のパネルディスカッションは,山野氏が座長を務め,「CT Colonography:大腸画像診断における今後の展開」と題して,飯沼氏,尾田 恭氏(尾田胃腸内科・内科),平野氏,松木 充氏(近畿大学),山崎氏,渡辺憲治氏(大阪市立大学)が,放射線科医や臨床医,技師など各立場から,活発に意見を交わした。CT Colonographyの普及のための前処置法の標準化や,被ばくのリスクとベネフィットのバランスを考えた検査間隔の検討についての意見や,読影能力の研鑽の必要性をあらためて確認するなど,1時間のパネルディスカッションは最後まで盛り上がりを見せた。

【第3部 パネルディスカッション】

座長 山野泰穂 氏(秋田赤十字病院)

パネラー
飯沼 元 氏(国立がん研究センター中央病院)
平野雄士 氏(小樽掖済会病院)
山崎通尋 氏(山下病院)

尾田 恭 氏(尾田胃腸内科・内科)

尾田 恭 氏
(尾田胃腸内科・内科)

松木 充 氏(近畿大学)

松木 充 氏
(近畿大学)

渡辺憲治 氏(大阪市立大学)

渡辺憲治 氏
(大阪市立大学)

 

 会場ロビーでは,協賛企業の機器展示が行われるとともに,翌23日(日)には,ワークステーション実機を用いた消化管CT研究会ハンズオン・トレーニングセミナーも開催された。

【機器展示】

エーザイ株式会社

エーザイ株式会社

エーディア株式会社

エーディア株式会社

アミン株式会社/ザイオソフト株式会社

アミン株式会社/ザイオソフト株式会社

株式会社AZE

株式会社AZE

GEヘルスケア・ジャパン株式会社

GEヘルスケア・ジャパン株式会社

 

 

●問い合わせ先
消化管CT研究会ホームページ
http://gi-3dct.kenkyuukai.jp/
消化管CT技術研究会ホームページ
http://gict-tec.com

 

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