2024-12-3
AI読影支援をシームレスに統合した
「BlueSeal XE」(薬機法未承認)
Philips(フィリップス)は,他社に先駆けて2018年にわずか7Lの液体ヘリウムで超電導状態を維持する「Ingenia Ambition」を発表したヘリウムフリーMRIのリーディングカンパニーである。以後,1.5T装置については「BlueSealマグネット」を採用したヘリウムフリーMRIとする方針をとっており,これまでに世界で1500台以上,日本国内で100台以上のヘリウムフリーMRIをインストールしている。最新モデルとして今回発表したのが,マグネットの名前を製品名に冠した「BlueSeal XE」(薬機法未承認)である。大きな特徴が,臨床への導入が広まりつつあるAI読影支援アプリケーションをMRIに初めて統合したことだ。撮像後に対象となるデータをクラウド型AI読影アプリケーション「Smart Reading」で自動解析し,MRコンソールやPACSで解析結果レポートを閲覧できる。ゼロクリックでの画像解析が可能で,データ増大や医療従事者不足といった課題を抱える医療現場を支援する。まずは,アルツハイマー病薬の副作用である浮腫や微小出血を検出し重症度スコアを提供する「Icobrain ARIA」と,PI-RADSに基づいたマルチパラメトリックMRIで前立腺のセグメンテーションと前立腺がん検出を行う「QP-Prostate」を利用でき(いずれも薬機法未承認),今後対応アプリケーションを拡大していく予定。クラウド型であるため,定期的に改訂されるPI-RADSなどの最新情報に基づいた最新アプリケーションを利用できる。また,MRIと統合していることで,シーケンスや撮像条件が解析に適さない場合にはスキャン時にアラートが出るため,後になって解析できなかったということがなくなることもメリットだ。
また,MRI消費電力低減機能が強化され,「PowerSave+」としてBlueSeal XEに搭載される。スキャン待機からスタンバイモードに迅速に移行することで約46%の電気代削減につながる。スタンバイモードから60秒未満で復帰するため,日常検査でストレスなく活用することができる。
他にも新製品として,軽量かつ柔軟で患者の負担を軽減する「Smart Fitコイル」に膝用の「Smart Fit Knee 3.0T」(薬機法未承認)が加わったことがアナウンスされた。さまざまな体格の患者の膝にフィットし密着するように流線型デザインが採用されており,他のSmart Fitコイル同様に非常に軽量なためポジショニングの負担軽減にもつながる。