2018-11-28
AIを中心としたシーメンスの
Digitalizing Healthcareの概要
RSNA 2018 AI
Siemens healthineers(シーメンス)は今回のRSNAで人工知能(AI)に注力していく姿勢を明確に打ち出した。これまでもCTの自動ポジショニング機能“FAST 3D Camera”など,AIを用いた技術を展開していたが,2018年はさらに一歩踏み込んで,AIによる診断支援や診断から治療,その後のフォローアップまでの意思決定をサポートする新たなサービスを開始することを発表した。AIによる診断支援サービスは“AI-Rad Companion”,AIによるデシジョンサポートを行うサービスは“AI-Pathway Companion”(共にFDA未承認,日本国内薬機法未承認)で,シーメンスのクラウドサービス「teamplay」として提供される予定である。
AI-Rad Companionは,胸部CTにおける機能などが紹介された。AIにより肺の結節や陰影の検出を行うことはもちろん,胸部CT画像から得られる心臓の自動セグメンテーション,カルシウムスコア計測,大動脈の計測など,画像に含まれるすべての情報を解析して,その結果をユーザーに返す。ユーザーのPACSはベンダーを問わず,解析結果を参照できる。また,レポートの作成やリスクファクタの色分け表示なども自動で行われる。これらをクラウドサービスで提供することで,“マルチオーガン(多様な器官)”の“マルチリーディング(多様な解析)”を“マルチベンダー(多様なベンダー)”システムで参照することが可能で,ユーザーの利便性の高いサービスとなっている。
もう1つのサービスAI-Pathway Companionは,多くの疾患に対応したデシジョンサポートを行う。CTやMRIなどの放射線部門の検査画像だけでなく,電子カルテシステムや検体検査システム,病理検査システムなどのデータを組み合わせて,診断から治療までの方針を示していく。AI-Pathway Companionは,疾患の診療ガイドラインを学習しており,ユーザーはガイドラインを参照することも可能である。ブース内では前立腺がんに対する意思決定支援のデモンストレーションを行った。MR画像を自動で解析をしてPI-RADSのスコアを出したり,電子カルテシステムなどのデータを解析したりして,リスクファクタやステージを示す。また,医療のAIで問題となっているブラックボックス化についても,AIが行う解析をマインドマップのように可視化している。
このほか,シーメンスはノースビルディング(ホールB)のMachine Learning Showcaseにもブースを出しており,AIへの本気度がうかがえた。同社のAI開発は,これまで4400件の共同研究,500の特許,2900のAI開発者との協力,そして3億5000件の症例画像を収集しているという。今後もシーメンスのAI戦略から目を離すことができない。