2018-11-27
Hitachi HealthcareのCTエリア
RSNA 2018 CT
Hitachi Healthcare(日立製作所)のCTエリアでは,ITEM2018で発表した64列マルチスライスCT「SCENARIA View」がRSNA初展示となった。ITEMでの発表後,国内のリファレンスサイトで稼働が始まっており,SCENARIA View に初めて実装された逐次近似処理“IPV(Iterative Progressive reconstruction with Visual modeling)”の臨床画像が併せて展示された。
IPVは,従来の逐次近似処理で用いられているObjectモデルとStatisticalモデルに加え,周波数特性を踏まえたPhysicsモデルを組み合わせた画像処理が特徴の画像処理方法である。3つのモデルを組み合わせることで,FBPと比べてノイズを最大90%低減,被ばくを最大83%低減,最大2倍の低コントラスト検出能を実現しながら,周波数特性をFBPに近づけることで自然な質感を保った画像を生成することができる。臨床においては,腎機能が低下した被検者に対する少量造影剤・低管電圧撮影でノイズが増加することが課題となっていたが,IPV処理を行うことでノイズを低減した視認性の高い画像を得ることができる。また,被ばく低減の観点からも,ルーチンで低管電圧撮影が行えるメリットは高い。
SCENARIA Viewのもう一つの特徴として,ワークフローを向上させた“SynergyDrive”が挙げられる。SynergyDriveは,“AutoPose”機能によるスキャン範囲の自動設定や高速画像再構成,複数検査の並行処理により,被検者の入室から退室までの検査時間を短縮する。また,ハードウエアは,800mmの大開口径ガントリを搭載し,被検者へのアクセスの良さを実現している。寝台の横スライド機能“IntelliCenter”も左右それぞれに100mm(計200mm)稼働することで,四肢や心臓などを視野中心に配置することができる。画像処理機構をガントリ内に組み込んだことで,ガントリ,寝台,コンソールのコンパクトな3ユニット構成も特徴だ。寝台の耐荷重250kgは,日本国内のニーズに対しては十分すぎるほどのスペックであるが,近年は訪日客も増加し救急を受診することもあるため,有効性を発揮する場面も出てくるだろう。このようなケースでは,日本語を含めた11か国語に対応し,自動ガイダンス機能が実装されている点も安心できる。
このほか,CTは64列/128スライス「Supria Grande」(米国販売名「Supria True64」)を展示し,シリーズの16列/32スライス「Supria Advance」(米国販売名「Supria Plus」)とともに紹介した。Supriaシリーズのリリースを開始した2013年8月から5年が経過し,全世界でシリーズ合計2043台が出荷されている(2018年9月末時点)。