2018-11-28
DI×AIの展示コーナー
RSNA 2018 AI
Hitachi Healthcare(日立製作所)のブースでは,メイン通路に面した中央に,AIを画像診断支援に活用するコンセプト“DI×AI(Diagnostic Imaging with AI)”を紹介するスポットを設けた。最新の開発状況を紹介するデモ展示と,ゲームを通して画像診断をAIでアシストした場合の効果を疑似体験する展示を行った。
日立がAIを用いた画像診断支援ソリューションの開発を始めた背景には,放射線科医を対象に行った日立の調査で,「ツールによるサポートが最も必要な業務は読影」との結果となったことがある。そこで,読影にスポットを当て,AIを活用した画像診断支援の研究開発をスタートさせた。AIによるアシストで,放射線科医の精神的負担の90%低減,効率性の40%向上を一つの目標として,取り組みが進められている。
日立のAIの技術的な特徴は,医師の知見を基にしたRule-based knowledgeと機械学習を融合した“Hybrid Learning”にある。ディープラーニングの課題であるブラックボックスや膨大なデータが必要といった点を,Rule-based knowledgeでカバーすることができる。これによりデータの少ない希少疾患などへの対応も可能になると考えられる。
会場でデモが行われたCT肺がんCAD(W.I.P.)は,読影ビューワも併せて開発が進められている。診断は最終的に医師が行うため,AIで検出した肺がんの候補を提示することで,医師の読影を支援する。診断を確定し,レポートに添付する画像を選択すると,病変の計測からレポート出力までAIがアシストし,一連のワークフローの時間を短縮できることが期待される。
また,脳動脈瘤CAD(W.I.P.)は単体のソフトウエアとしての提供を想定しており,PACSなどに実装することで,MRA画像から解析を行い,検出された動脈瘤の候補を元画像に重ねたり,MIP上に重ねて表示する。放射線科医は,読影する画像と出力された画像を並べて参照しながら読影することができる。
開発ロードマップとしては,CT肺がんCAD,脳動脈瘤CAD,白質解析,筋肉解析から進めており,将来的には乳腺超音波CADや認知症診断支援などへと領域を広げていく予定だ(すべてW.I.P.)。基本的に単体ソフトウエアとしての提供を想定しているため,他社との協力,コラボレーションを模索しながら開発が進められる。
AIサポートを疑似体験するコーナーでは,AIアシストでどのような効果があるかをイメージできるゲームが用意された。ゲームは,肺の横断像を模した複数のイラストの中から病変があるものを探すというもので,AIアシストの有無でゲームクリアまでにどれだけの時間差があるかを,楽しみながら体感できる。ブースでは,来場者が挑戦したゲームの結果(時間)が積算表示されており,AIサポートによる時間短縮の効果をわかりやすく伝えている。