2018-11-29
21台の端末で“Clinical Collaboration Platform”などの
機能を説明
RSNA 2018 ヘルスケアIT
Carestream Health(ケアストリームヘルス)は,日本国内での事業をヘルスケアITソリューションに集約して,PACS,レポート,放射線情報システム(RIS),アーカイブサービス(VNA,クラウド)などを提供している。RSNA2018で展示された多くの製品の中から,ヘルスケアITに関連する最新の製品情報に焦点をあててレポートする。
同社では,ヘルスケアITの統合プラットフォームとして“Clinical Collaboration Platform(CCP)”を展開している。CCPは,画像診断用ビューワの「Vue PACS Client」,レポートシステムの「Vue Reporting」,参照用のユニバーサルビューワ「Vue Motion」,統合アーカイブ(VNA)である「Vue Archive」などを一体もしくはモジュールとして提供するソリューションである。RSNA2018のブースでは21台の端末で,各言語に対応するスタッフやシステムを用意してワールドワイドの来場者を迎えていた。
CCPで提供されるモジュールは,現在,クライアントインストールタイプからHTMLベースのWebアプリケーションへの移行を進めている。Vue PACSはもちろん,レポートを含めて臨床対応のアプリケーションはすべてWebアプリケーション化され,サーバサイドで稼働するようになる。現在のクライアントタイプと同等の機能を提供することはもちろん,開発中の人工知能(AI)の統合も含めて,さらなる機能の向上を図り,2020年初めごろをめどにリリースの予定とのことだ。
CCPの一つの特徴が,画像検査を統合的に管理して効率的な読影ワークフローの提供する“ワークフローオーケストレーター”である。米国では2017年にリリースされ,すでに複数の医療機関を運営するヘルスケアグループで運用が始まっている。日本でもITEM2018で国内の展開がアナウンスされ,2018年5月にリリースされたCCPの最新バージョンに搭載されている。ワークフローオーケストレーターでは,検査の種別ごとの優先順位や読影医師の専門領域などを登録することで,優先度の高い検査から医師の専門性を考慮したワークリストを自動的に作成して,効率的かつ質の高い読影ワークフローをサポートする。ヘルスケアグループの中で,複数施設の画像検査を複数の放射線科医が読影する場合に,SLA(Service Level Agreement,品質保証)を設定によって個人の読影件数や時間などを管理でき,医師1人当たりの生産性や効率性を最適化することが可能であり,米国の導入施設の統計では実際に効果が表れていることのことだ。日本では,医療保険制度や病院運営の形態が異なるため,グループ間での読影支援を行うような運用は少ないが,複数の関連病院を持つ大規模グループ施設などでの運用が想定されるほか,今後,マンパワー不足や検査件数の増大が予測される中で,ますますその必要性が高まるソリューションだと言えるだろう。
また,新機能として“Patient Jacket”(W.I.P.)を紹介した。Patient Jacketは,読影時に必要な患者情報を一覧で表示するシステムで,患者ごとに検査経過のタイムラインビューやオーダ情報,検査結果などを一括して参照できる。タイムラインは,過去の検査の状況(内容や時期)が一目で把握できるようにわかりやすくデザインされている。また,オーダ情報や検査結果,サムネイル画像はタブ表示にして,一画面で多くの情報が確認できるように工夫されているのが特徴だ。