2015-12-2
多くの来場者が体験したIn-bore Experience
RSNA 2015[第1日目:11月29日]
MRIとしては,国内でも導入が始まりつつある「In-bore Experience」が,主力システムである「Ingenia」とともに展示された。In-bore Experienceは,映像と音楽で検査中の受診者の緊張を和らげ,快適な空間を提供することを目的にしたMRソリューションで,受診者は,頭部コイルに設置された鏡で壁面に映し出される映像を見ながら,また,ヘッドフォンで音楽を聴きながら,時間を要するMRI検査を受けることができる。今回,新しく壁面に映される映像の下部に,スキャンの残り時間を示すスライダーバーを表示できるようにし,受診者の心理的負担の軽減にさらに貢献する。このソリューションにより,特に小児においては体動を低減することができ,画質向上にも貢献する。
また,診断能を高めるアプリケーションとして,脳神経領域に特化した発表を行った(すべてW.I.P.)。“Multi-Band SENSE”は,従来は1回の励起で1スライスしか撮像できなかったものを,2以上の複数スライスを撮像することで,SENSEを超える高速撮像を実現する。2スライス撮像で撮像時間は半分となり,fMRIや拡散テンソルなど,長い時間がかかっていた特殊な撮像も,臨床で使いやすくなることが期待される。
“CINEMA”では,非造影で非侵襲的に脳血管の動態イメージを得ることができる。これまで,非造影で動態イメージを作成するには,複数回撮像して再構成する必要があったが,CINEMAでは1回の撮像で,短時間にアンギオライクイメージを得ることができる。
“Black Blood”は,従来の同法よりも血管内の血液信号を高精度に抑制することができるため,細い血管でも血管壁を描出することができ,プラークイメージングや動脈瘤の診断において,有用な画像を提供する。
神経鞘を描出する“Neurography”は,空間分解能が非常に高く,広範囲を高いSNRでカバーできることが特長で,細かい病変の拾い上げもできることから,原因不明の痛みなどの診断ができる可能性がある。
また,金属インプラントを埋め込む患者が増加傾向であることから,安全にMRIを施行するための新技術“ScanWise Implant”が発表された。撮像前のガイダンス画面で,静磁場強度や局所的な発熱量(SAR)を入力設定するだけで,設定したSARなどの上限値を超えないように撮像シーケンスが自動的にカスタマイズされる。また,撮像中もリアルタイムに監視し,パラメータの最適化が行われる。これまでは,検査を担当する診療放射線技師にスキルや経験年数が求められてきたが,ScanWise Implantにより容易に安全な検査を実施することができる。2016年度にIngeniaシリーズに実装する予定で,既設装置へのアップグレードパスも用意している。
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