2015-12-2
スペクトラルCT装置
「IQon Spectral CT」
RSNA 2015[第1日目:11月29日]
Philips Healthcare(フィリップス)は,昨年のRSNA2014で発表したスペクトラルCT装置「IQon Spectral CT」(日本国内医薬品医療機器等法未承認)を展示。2層検出器を搭載し,レトロスペクティブにスペクトラル解析が可能な同装置は,海外でリサーチ機としての出荷がスタートしており,今回,その有用性を示す臨床画像とともに紹介された。
IQon Spectral CTは,64列/128スライスの装置で,iCTシリーズと同じ0.27秒/回転の性能を持つ。異なる素材を用いた検出器を2層に重ねることで,上層で低エネルギー,下層で高エネルギーに分解してデータを取得することができ,これらのデータから通常画像を再構成する。デュアルエナジーCTは他社でも開発されているが,2層検出器方式のメリットは,事前のプロトコール設定が不要で,従来の撮影プロトコールと被ばく線量でスペクトラル解析が可能な点である。一般的に,CT検査で所見が見つかった時には,超音波やMRIなどほかのモダリティ検査を追加して確定診断をするが,IQon Spectral CTでは,所見が見つかってからスペクトラル解析を行うことが可能なため,症例によってはCTだけで確定診断を行えると期待される。また,特殊な撮影法ではないため,従来の被ばく低減技術をすべて利用できることも,大きな利点である。
臨床例として紹介された造影CT検査で卵巣に高信号が認められた症例では,そのままの画像では水と造影剤の区別がつかないが,レトロスペクティブにスペクトラル解析を行うことで,水と造影剤の鑑別が可能となり,嚢胞であるとの確定診断が可能であった。実際に臨床機を導入している施設では,従来の検査プロトコールで撮影を行っており,今後さらに症例が積み重ねられ,その有用性が示されるだろう。
また,フィリップスでは2015年に逐次近似画像再構成技術「IMR」の画像コンテストを初めて行い,パネルにて最優秀賞の画像が紹介された。日本国内からも多数応募され,ファイナリスト10作品に北海道大学病院と愛媛大学が入賞した。
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