2013-12-4
「MVCD-4127 HB」
RSNA 2013 [第3日:12月3日(火)]
Barco Inc(バルコ)ブースでは,画像の院内での流れをイメージし,各ポイントで用いられるディスプレイを紹介した。
新製品の「MVCD-4127 HB(height brightness)」(FDA未承認)は,27インチ4MPカラーのワイドモニタ。検査室のコンソールやビューワとしての利用を想定したカスタムモニタで,画像が発生するモダリティ近傍で用いられるディスプレイとして展示された。
放射線科での読影用ディスプレイとしては,2つのファミリーが展示された。上位ラインの「Coronis」ファミリーとして,新製品の21.3インチのモノクロモニタ「Coronis 3MP LED」が展示された。バックライトにLEDを採用し,高輝度・長寿命を実現。さらに,常時1秒に3回パネルの状態をチェックし,異常が発生すると即座に自動で補正をかける表示画面輝度センサー“I-Guard”(特許技術)を搭載するとともに,1ドットごとに補正をかけて色ムラ・輝度ムラを補正する“PPU”技術を実装し,長期間にわたり高画質を維持できる。
また,従来の高輝度ディスプレイは,その構造上筐体が厚くなっていたが,Coronis 3MP LEDは,LED採用により筐体を薄型に設計でき,スタンド部分もフラットなデザインで,読影室のスペースの有効活用に貢献する。
スタンダードクラスの高輝度ディスプレイである「Nio」ファミリーからは,「Nio Color 3MP LED」と「Nio Color 2MP LED」(FDA未承認)を展示。新開発の高コントラスト液晶パネルを採用し,バックライトにLEDを用いることで長寿命化を図っている。筐体,スタンドが薄くコンパクトであり,ディスプレイには低反射コーティングを施したガラスカバーが標準で実装され,衝撃に強く傷が付きにくい。キャリブレーションのためのフロントセンサーも搭載されている。 なお,Nio Color 2MP LEDは,世界に先駆けて2013年12月より日本で出荷が開始される。視野角が非常に広いことも特長で,日本国内でのニーズに応える製品として,今後注力して展開していくという。
|
|
「Coronis Fusion 6MP DL LED」は,LEDバックライト,ワイドタイプのディスプレイ。バルコが初めて発売したこの仕様は,発売後7年間に渡り,高画質と機能性が高く評価され,現在40か国において累計1万3500台の出荷実績を誇る。この実績を受け,2013年,市場調査会社FROST&SULLIVANから,診断用ディスプレイ部門でBest Practices Awardの表彰を受けた。 また,2013年からは新バージョンのLEDを搭載し,製品寿命が5年間もしくは30000時間と,カラーディスプレイとしては非常に長い寿命を実現している。ワイドディスプレイでありながら,視野角が広いことで視野端のコントラスト低減が抑えられ,読影医の疲労感低下につながる。また,カラーディスプレイとしては非常に高い500カンデラ(ULT OFF時,ULT ONの場合,450カンデラ)を実現している。
マンモグラフィ用ディスプレイとしては,最上位の「Mammo Tomosynthesis 5MP」とワイドタイプの上位ライン「Coronis Fusion 10MP」,「Nio 5MP」を展示した。
Mammo Tomosynthesis 5MPは従来製品と異なり,Rapidframeという特殊技術を用いることで,トモシンセシスような動きのある画像もブレがなく,きれいに表示する。微小石灰化などは高輝度の方がくっきりと画像を表示できるため,常用輝度で1000カンデラのバックライトを使用している。さらにボタン1つで一時的に2100カンデラまで輝度を上げることができ,さらに視認性向上を図ることができる。また,ユニークな機能として,簡易シャウカステンモードを備え,フィルムを液晶ディスプレイ前面にクリップし,その領域を2100カンデラの明るさで参照することができる。Nio 5MPは,縦2800ドットと解像度が高く,縦に長いMLOの読影にも適したタイプで,日本国内においては,バルコのマンモグラフィ用ディスプレイのなかで最も多く出荷されている。
診療科での参照用ディスプレイとしては,コストパフォーマンスの高い「EONIS 22"」と新製品の「EONIS 24"」を展示した。
EONIS 24"は,解像度が横1920ドット×縦1200ドットで,LEDバックライト搭載,DICOM階調に対応しており,診察室などでのクリニカルレビューや患者説明での使用に適している。 ともに,通常のブラックバージョンとホワイトバージョンがある。抗菌仕様の筐体とガラスパネルにより清掃が容易なホワイトバージョンは,歯科やオペ室,救急での使用に適している。EONIS 24"のホワイトバージョンはプロトタイプで,2014年春のリリースを予定している。
ブースの一角では,デジタルオペ室を想定したソリューション「Nexxis」も展示された。Nexxisは,さまざまな画像ソース(内視鏡,カメラなど)を集約して参照したいという要望に対し,多様な画像データをIPベースに変換し,モニタに画像を表示する技術をもつ。このようなソリューションは,従来は画像を圧縮する必要があったが,Nexxisでは画像を圧縮せずに遅延なく表示できる。また,画像のレイアウトは,ドラック&ドロップだけで自由なレイアウトが可能。 新製品の58インチ,LEDバックライト搭載の8MPカラー「MDSC-8258 RL」などとともに展示された。多様な検査を受ける患者の情報を一元的に提供・表示することが求められており,そのニーズに応えるソリューションとして提案している。
院内画像が最終的に利用されるシーンとして,ベッドサイドモニタが展示された。海外ではテレビに加え,PACS画像などの表示のためにパソコン機能を有するモニタへのニーズが増えてきている。そこで,バルコでは端末本体とソフトウエアを開発し,病院側と患者の双方向コミュニケーションが可能なベッドサイドモニタ用ソフトウエア「CARECONNEX-185A」を発売した。なお,日本国内においては,テレビとパソコンが独立して動作する必要があるため,日本国内向けには専用ハードウエア「NANA」を開発中で,2014年初めのリリースを予定している。
またバルコでは,このような画像の一連の流れに対して,常に画像品質を担保することがメーカーの責任であると考え,ディスプレイ製品に標準で画像品質管理のソリューション「MediCal QAWeb」を提供している。インターネット経由でバルコのサーバへ接続することで,院内すべてのバルコ社製モニタの品質管理が容易に可能で,40か国,3000病院以上で導入されている。
日本国内では,外部サーバではなく,サーバを院内において院内端末を管理する方法で利用されている。