2012-11-27
ガントリパネルが明るい木目調のOptima MR360 Advance
RSNA2012 [第1日目:11月25日(日)]
GE HealthcareのMRIのコーナーでは,同社が今回のサブテーマの1つとして掲げている“Patient Comfort”に沿うように,“Humanizing MR”の製品,技術を紹介した。
まず,新製品として発表したのが「Optima MR360 Advance」(日本国内薬事未承認)である。同社は,昨年のRSNA2011で,「Discovery MR750w 3.0T」と「Optima MR450w 1.5T」の2機種を発表したが,この装置は,そのコンセプトを継承するもの。従来機種の「Optima MR360 1.5T」から大きく進化し,まったくの新製品として今回お披露目された。従来機種から外観デザインを刷新し,“Caring Hand”と呼ばれる,被検者を包み込むようなガントリデザインに変更。ガントリにLED照明を配置して,被検者の圧迫を取り除くような仕様になっている。また,ガントリの側面パネルも,明るいベージュの木目調を採用。寝台も49cmまで下げることができ,容易に寝台に乗ることが可能となっている。
デザインだけでなく,性能・機能ともに従来機種よりも強化している。傾斜磁場を高めたほか,寝台内部に受信コイルを組み込んだ“Express Coil”も,“Express Coil 2”へと進化し,従来の8chから16chへと拡張された。このほか,GEのエラストグラフィ技術である“MR Touch”への対応も予定している。開発にあたっては,日本の医療現場からのニーズが数多く取り入れられており,日本発のMRI製品と言えよう。
また,装置だけでなく,検査環境にも“Humanizing MR”が生かされている。昨年のRSNA2011でも専用室で紹介された,MRI検査室の「Caring MR Suite」が今年のRSNA2012でも用意された。これは,検査室内の証明を自由に変更したり,天井に配置されたモニタに映像を放映したり,BGMを流すことにより,被検者の検査への不安を解消し,快適な検査環境の実現をめざすものである。
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さらに,快適な検査環境をめざした技術として,RSNA2012では,開発中の“Silent Scan”を専用室を設けて紹介した。従来のMRIでは,検査室の通常騒音が76dB,撮像時110dBであった(同社調べ)。しかし,このSilent Scanの技術を用いることにより,撮像時でも77dB程度と,通常の検査室の音量とほとんど変わらない撮像が可能になる。ブース内の専用室では,ミルウォーキーのGE Healthcareからライブ中継を行い,撮像時の静かな音を来場者に体験させていた。
このほか,GEでは,InSightec社の集束超音波治療(FUS)装置の新製品「ExAblate 2100」(日本国内薬事未承認)を展示した。日本国内では「ExAblate 2000」が,子宮筋腫のFUSに使用されている。今回(2012年),米国食品医薬品局(FDA)から骨転移の疼痛治療の認可を受けたことで,今後,このFUSによる疼痛治療が広まっていくことが期待される。