2024-5-17
ザイオソフト/アミンブース
ザイオソフトは,2022年に登場した次世代ワークステーション「Ziostation REVORAS」に加えて,新たに同社のコア技術である4Dイメージングの「PhyZiodynamics」を進化させた「PhyZio/dynamics2.0」を初お披露目した。PhyZio/dynamics2.0は,同社の持つ先進のコンピューティング技術をベースに,4Dでの画像処理,画像解析の可能性をさらに広げて臨床現場の課題を解決する技術だ。ブースでは,PhyZio/dynamics2.0を適用した新しいアプリケーションとして,「CTストレイン解析」「2Dモーション解析」(いずれもW.I.P.)の機能などをいち早く紹介したほか,高速でより精細な動態解析や計測が可能なことをアピールした。また,Ziostation REVORASについても,臨床現場からの要望に応えて術前シミュレーションのアプリケーションとして,新たに搭載された「膵切除解析」「腎切除解析」の機能を紹介した。
●処理速度や精度を向上した新たな4Dエンジン「PhyZio/dynamics2.0」をお披露目
2013年に上市されたPhyZiodynamicsは,同社独自のコンピューティング技術を用いて,3Dデータに対して画像補完や位置合わせの処理を行うことで,連続する複数の位相画像を補完した詳細な動態画像の観察やノイズ低減,任意のボクセルや断面の動きをとらえたダイナミック計測,部位の動きの変化量を算出して4D画像上にオーバーレイする4Dモーション解析などを実現した。今回発表されたPhyZio/dynamics2.0は,そのコンセプトを継承しつつ,新たな計算アルゴリズムを採用することで処理の高速化を図った。これによって,高速かつ再現性の高い動態解析が可能になり,臨床でのさらなる活用も期待される。ブースでは,PhyZio/dynamics2.0によって従来の画像補完やモーション解析の精度が向上することを説明したほか,新しいアプリケーションとして「CT心筋ストレイン解析」「2Dモーション解析」(いずれもW.I.P.)について紹介した。
CT心筋ストレイン解析は,PhyZio/dynamics2.0のモーショントラッキング技術によって,CTデータでの心筋ストレイン評価を可能にするアプリケーションだ。CT心筋ストレイン解析では,データをオープンすると内膜側,外膜側の左室心筋輪郭線を自動抽出し,心筋の歪みや動きの解析とポーラーマップ表示を行う。そのほかセグメントごとの解析結果のグラフ表示も可能だ。現在,ストレインの解析は超音波やMRIで行われることが多いが,CTデータを利用することで解析の客観性や再現性の向上,金属デバイスが留置された患者への対応が期待される。
2Dモーション解析は,4Dデータから作成した任意断面(2D+時間軸)で動態解析やダイナミック計測を行い,観察を可能とするアプリケーションだ。PhyZio/dynamics2.0によって,より短時間で簡単にマルチフェーズ,ノイズ除去,ダイナミック計測,モーション解析を用いた動態解析が可能となった。これによって,より臨床での活用の機会が広がることが期待される。そのほか,すでに販売している「MR心筋ストレイン解析」にもPhyZio/dynamics2.0の技術が活用されている。
●シンプルな操作性で高度な処理を可能にする「Ziostation REVORAS」の新アプリケーションをアピール
次世代のワークステーションとして2022年に発売されたZiostation REVORASは,同社が培ってきた画像処理技術をさらに磨き上げ,より精度の高い画像をシンプルな操作で提供できるように機能を強化している。今回の展示では,術前プランニング・シミュレーションのアプリケーションとして,新たに「膵切除解析」と「腎切除解析」が加わったことを紹介した。近年,腹腔鏡手術やロボット手術の進展で,手術のシミュレーション画像として3D画像作成のニーズが高まっている。診療放射線技師だけでなく,執刀する臨床医が直接画像を作成し,操作するケースも多くなっていることから,Ziostation REVORASもさまざまな領域で手術支援のアプリケーションを強化させている。
〈膵切除解析〉
膵切除解析では,膵臓周囲の解剖組織を自動抽出して手術計画の立案をサポートできる。動脈相,門脈相を自動で位置合わせし,データオープンと同時に手術に必要な膵実質,動脈,門脈、静脈,脾臓を自動抽出する。これによって,術前の画像作成の時間が短縮され,術前のシミュレーションを支援する。また,膵頭十二指腸切除(PD),膵体尾部切除(DP)など術式によって,必要な臓器を表示し,個人差の大きい門脈系も3Dで容易に確認できる。抽出精度が向上しており術者の修正の手間を省き,ユーザーインターフェイスや修正ツールなどもより簡単に使えるよう工夫されているのが特長だ。
〈腎切除解析〉
腎切除解析についても自動抽出の精度が向上しており,動脈,静脈に加えて尿管も自動抽出でき腎臓の切除体積測定も可能で,画像作成にかかる時間を短縮して術前プランニングをサポートする。早期相と後期相の非剛体位置合わせ,術前に必要な臓器の自動抽出,切除マージンの設定や腎動脈の支配領域に基づいた阻血領域の同定も可能になっている。また,腎腫瘍の解剖学的特徴を定量化して手術の難易度を推測する指標であるR.E.N.A.L. Nephrometry Scoreが,腫瘍抽出シミュレーションを行うと自動計測されスコアを算出できる。切除するマージンを自由に設定したり,切離面と血管の位置関係や切除範囲に基づく阻血領域の同定など,臨床に即した機能を提供する。
〈MR骨分離〉
Ziostation REVORASの3D解析には,新たにMR骨分離が追加された。MR骨分離は,MR画像での3D作成時に抽出点と除外点を指定するだけで簡単に骨の分離ができ,より効率的な3D画像処理が可能になった。これにより画像作成におけるワークフロー改善への寄与が期待される。
●PhyZio/dynamics2.0をテーマにしたランチョンセミナーを開催
2024年4月14日(日)には,学会共催ランチョンセミナー29「PhyZio/dynamics2.0がもたらす4Dイメージングの進化」が,真鍋徳子氏(自治医科大学総合医学第一講座放射線科)を座長として行われた。最初に,下宮大和氏(ザイオソフト株式会社 マーケティング部)が「動態解析のパラダイムシフト PhyZiodynamicsのさらなる進化」を講演。下宮氏は,新たに登場したPhyZio/dynamics2.0について,循環器領域を中心に技術的な特長と4D解析を可能にするアプリケーションの概要を解説した。続いて,長尾充展氏(東京女子医科大学画像診断学・核医学教室)が「僕たちのMuse, Ziostation REVORAS!」と題して講演した。長尾氏は,Ziostation2からZiostation REVORAS,PhyZiodynamicsからPhyZio/dynamics2.0へとアップデートされた心臓の動態解析の進化について,CTストレイン,冠動脈フロー,structural heart disease(SHD)など臨床例を含めて概説した。
(講演内容はZioVisionのセミナーレポートとして,インナービジョン誌2024年7月号およびインナビネットのザイオソフトスペシャルに掲載予定)
●お問い合わせ先
社名:ザイオソフト株式会社/アミン株式会社
TEL:03‐5427-1921
URL:https://www.zio.co.jp/