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ITEM2023 フィリップス・ジャパン ブースレポート 最新の3T MRI装置「MR 7700」や高性能なコンパクト型超音波装置,アプリケーションなどを中心に「新しい価値の創造」をめざす

2023-4-28

フィリップス・ジャパンブース

フィリップス・ジャパンブース

フィリップス・ジャパンは,「See beyond to a new perspective on patient care~つながることで,新しい価値を創造し,確実性の高い医療へ~」をテーマに展示を行った。分子イメージングが可能な最新MRI装置「MR 7700」や2023年5月発売予定の超音波装置「Compact 5000 シリーズ」などの最新ラインアップ,人工知能(AI)を活用したアプリケーションなどが展示され,注目を集めた。また,AIとヘルスケアITを組み合わせ,放射線部門の効率化を実現する医用画像管理システムも紹介。アウトカムや患者満足度の向上,医療従事者の負担軽減など,フィリップスがめざす価値の実現に貢献するソリューション群をアピールした。

 

●MRI:多核種イメージングへの対応が可能な3Tの新製品「MR 7700」が登場
●CT:超高速撮影とスぺクトラルイメージングを両立する「Spectral CT 7500」を実機展示
●超音波:コンパクトかつ高性能な小型ポータブル装置「Compact 5000 シリーズ」を日本で初披露
●ヘルスケアIT:読影の質と効率化を両立する多くの機能をアピール
●Image Guided Therapy(IGT):「Japan Craft IQ」でユーザーに適した画像を実現

 

●MRI:多核種イメージングへの対応が可能な3Tの最新装置「MR 7700」が登場

MRI領域では,3Tの最新装置MR 7700がITEM初展示となったほか,1.5T「MR 5300」や高速イメージング「SmartSpeed」が紹介された。MR 7700は最先端の分子イメージングが可能な研究用システムで,プロトン(水素原子)に加え,カーボン,ナトリウムなどの多核種イメージングへの対応が可能となる(多核種用コイルは薬機法未承認)。また,MR 7700は,ボア内で投影された映像を観る「In-boreソリューション」も搭載可能である。In-boreソリューションは,フィリップスが以前からMRI装置に実装しているもので,頭部コイルのミラーで反射した映像と音楽により,検査中の患者をリラックスさせる。検査の残り時間の表示や息止めの合図も行うこともでき,患者負担をさらに軽減させる。

3Tの最新MRI装置「MR7700」

3Tの最新MRI装置「MR 7700」

 

ボア内で映像を見ることでリラックスできる「In-boreソリューション」

ボア内で映像を見ることでリラックスできる「In-boreソリューション」

 

ITEM2022でローンチしたMR 5300は,7Lという少ない液体ヘリウムで運用が可能な「BlueSealマグネット」により,世界的にヘリウムが高騰する中で高い評価を得ており,発売後の1年間で26台の受注があった。ブースでは,MR 5300に搭載されている「Breezeコイル」などが展示された。

軽くてフレキシブルな「Breezeコイル」

軽くてフレキシブルな「Breezeコイル」

 

スピードとImage Qualityを追求する高速イメージングSmartSpeedは,圧縮センシング技術「Compressed SENSE」のアルゴリズムにAIを融合した「One-Go Physics driven」というノイズ低減を行っている。その結果,スキャン時間を最大設定倍速32倍にすることが可能となり,加えて最大2048マトリクスの高分解能画像を時間内に撮像可能になった。また,基本シーケンスの97%に適応可能な汎用性の高さもポイントである。

高速イメージング「SmartSpeed」

高速イメージング「SmartSpeed」

 

●CT:超高速撮影とスぺクトラルイメージングを両立する「Spectral CT 7500」を実機展示

CT領域では,超高速撮影とスぺクトラルイメージングを同時に実現するフラッグシップCT「Spectral CT 7500」の実機展示と,64列/128スライスの「Incisive CT」の「CT Smart Workflow」を紹介した。Spectral CT 7500は,開口径が80cmに拡大し,検査寝台は従来の約1.4倍の体重に対応,幅広い体型の患者に対応する。加えて,同社製品では最も低い床上43cmまで下げることができ,車椅子患者の移動がスムーズに行える。また,体軸方向に8cmの二層検出器「NanoPanel Prism」を搭載,撮影後に自由にスぺクトラルイメージングを利用できる。従来のdual energy撮影と異なり,1回の撮影でスペクトラル画像が取得できることから,低被ばくと造影剤量の低減が実現する。さらに,従来の140kVp/120kVpに加え,新たに100kVpでのスペクトラルイメージングにも対応したことで,小児検査でのスペクトラルイメージングも可能になった。ブースでは,新生児へのスペクトラルイメージング撮影例や,わずかな造影剤でTAVI術前検査において,アクセスルート用の広範囲な撮影を行った症例などが紹介された。

超高速撮影とスぺクトラルイメージングを同時に実現する「Spectral CT 7500」

超高速撮影とスぺクトラルイメージングを同時に実現する「Spectral CT 7500」

 

「Spectral CT 7500」が提供する価値

「Spectral CT 7500」が提供する価値

 

64列/128スライスのIncisive CTは,AIを活用したCT Smart Workflowにより,検査準備から診断,インターベンションに至る幅広い領域を効率化し,ワークフローを大きく改善した。AIアルゴリズムを用いた「Precise Image」や心臓専用モーションフリー画像再構成機能「Precise Cardiac」,インターベンションサポート機能「Precise Intervention」,AIカメラによる位置決め機能「Precise Position」などが搭載され,このうちPrecise Imageは,最大80%の線量低減,最大85%のノイズ低減,最大60%の低コントラスト検出能の改善を同時に実現する。ブースでは,Precise Imageを用いた脳梗塞症例が供覧されたほか,操作室を再現したVirtual gantryコーナーでは,AIカメラを用いたPrecise Positionのデモンストレーションが行われた。

AIカメラによる位置決め機能「Precise Position」

AIカメラによる位置決め機能「Precise Position」

 

●超音波:コンパクトかつ高性能な小型ポータブル装置「Compact 5000 シリーズ」を日本で初披露

超音波領域では,小型ポータブル装置Compact 5000 シリーズが2023年5月に発売されるのに先駆けて参考展示された。Compact 5000 シリーズは,コンパクトでありつつ,循環器や腹部,血管,表在,整形外科など幅広い領域で診断に必要な高画質が得られるため,病棟から検査室への移動を不要にし,時間やコスト,患者負担を軽減する。また,オプションのバッテリーを装着することで,最大2.5時間の連続スキャンが可能である。既存の「EPIQ」や「Affiniti」シリーズのトランスデューサと互換性があり,かつ直感的な操作性を共有するほか,両シリーズに搭載されている「AutoStrain」を実装し,GLS解析などをベッドサイドで簡便かつ再現性高く行うことを可能にした。2022年11月のRSNA2022で展示され,国内では初披露となった。また,携帯型装置「Lumify」を用いた,医療従事者同士の遠隔環境でのコミュニケーションが可能な「Reacts」も紹介された。

5月に発売予定の小型ポータブル超音波装置「Compact 5000 シリーズ」(参考展示)

5月に発売予定の小型ポータブル超音波装置「Compact 5000 シリーズ」(参考展示)

 

既存製品と同じく直感的な操作が可能。また,コントロールパネルの凹凸を減らし,清掃がしやすい

既存製品と同じく直感的な操作が可能。また,コントロールパネルの凹凸を減らし,清掃がしやすい

 

パネルを閉じて移動し,到着後は素早い起動が可能

パネルを閉じて移動し,到着後は素早い起動が可能

 

●ヘルスケアIT:読影の質と効率化を両立する多くの機能をアピール

ヘルスケアIT領域では,医用画像管理システム「Vue PACS」,マルチモダリティ解析ワークステーション「IntelliSpace Portal」などのソリューションが紹介された。Vue PACSは,直感的なMIP・MPR作成機能やリアルタイム3D機能などを内蔵するほか,自動レジストレーション機能やブックマーク機能など,読影を効率化する多くの機能を搭載する。さらに,読影の順序や割り当てを緊急度やサブスペシャリティなどを基に自動制御する「ワークフローオーケストレーター」により,読影の質と効率の両立をサポートする。
IntelliSpace Portalは,70 以上の解析アプリケーションを搭載するが,そのうちの一つである「Cardiac MR Analysis」は,LV & RV Function にAI 技術を搭載,心筋内膜や外膜を数十秒で自動トレースする。バックグラウンドでの解析も可能で,ワークフローを大幅に向上させる。さらに,装置のコンソール画面をリモートで共有し,遠隔から画像診断を支援する「Command Center」のコンセプトなども紹介された。

「ワークフローオーケストレーター」で読影の優先順位をつけ,読影の質と効率を両立

「ワークフローオーケストレーター」で読影の優先順位をつけ,読影の質と効率を両立

 

「IntelliSpace Portal」に搭載の「Cardiac MR Analysis」

「IntelliSpace Portal」に搭載の「Cardiac MR Analysis」

 

「Command Center」のコンセプト

「Command Center」のコンセプト

 

●Image Guided Therapy(IGT):「Japan Craft IQ」でユーザーに適した画像を実現

Image Guided Therapy(IGT)領域では,血管撮影装置「Azurion」のシミュレータやワークステーションのほか,同社のIGT領域の装置に搭載されている「Clarity IQ technology」が紹介された。2012年に発表されたClarity IQ technologyは,パワフルイメージプロセッシングとフレキシブルデジタルパイプライン,多彩な臨床パラメータによるファインチューンの3つで構成され,高画質,低被ばくを実現する。特に,多彩な臨床パラメータは医療施設や診療科ごとのニーズに即した画像処理の調整を可能にし,日本では,独自の設定に基づく「Japan Craft IQ」を提供していることがアピールされた。

血管撮影装置「Azurion」のワークステーション

血管撮影装置「Azurion」のワークステーション

 

●お問い合わせ先
社名:株式会社フィリップス・ジャパン
住所:東京都港区港南2-13-37 フィリップスビル
TEL:0120-556-494
URL:www.philips.co.jp/healthcare