2023-5-1
コニカミノルタジャパンブース
コニカミノルタは,今年,コニカの創業から150周年,医療用X線撮影用フィルムの開発・発売から90周年を迎える。この長い歴史の中で,時代のニーズに合わせたさまざまな価値を提供し続けてきた同社は,今回,「Feel the Scene, Feel the Value. 体感,新臨床風景。」をコンセプトに掲げ,同社製品が医療現場にもたらす価値を,実際に見て,触れて,体感できるブースを展開した。
ポータブルでのワイヤレス動画撮影を実現する「AeroDR TX m01」と,胸部X線画像診断支援AI「CXR Finding-i」を展示の柱として前面に配置。AeroDR TX m01のコーナーでは実機を3台展示し,ICU(集中治療室)や救急,病棟などにおける取り回しの良さを体験できるようにしたほか,本装置と組み合わせて使用するカセッテ型デジタルX線撮影装置「AeroDR fine motion」では,持ちやすさに配慮した「くぼみ設計」や抗菌性能などがアピールされた。また,取得したデータは,X線動画解析ワークステーション「KINOSIS」で解析処理を行うことにより,静止画では得ることのできない新たな価値が得られることが,実際の解析画像を提示して紹介された。
もう一方の展示の柱であるCXR Finding-iは,Deep Learningを用いて胸部X線画像の所見有無を事前学習した人工知能(AI)が,肺の結節影や浸潤影を検出して医師の読影を支援する。今回の展示では,導入された施設において医師が読影時に胸部AIを活用して効果があった有効所見を中心に情報提供された。
さらに,ワークフローを効率化する製品として,一般撮影のコーナーでは撮影前にコンソール上で写損画像を確認することができる新ワークフロー「RAD Link」,Women’s Healthのコーナーではマンモグラフィ・超音波併用検診に向けた新ワークフロー「CAD Navi(CAD navigated US screening)」などがアピールされた。このほか,ブース中央に設けられたメインステージでは,縦型の大画面に各製品の臨床使用におけるユーザーの声などが映し出され,多くの来場者が注目していた。
■ポータブル撮影に動画撮影という新たな価値を付加するAeroDR TX m01」×「AeroDR fine motion」×「KINOSIS」
■一般撮影の業務効率化や安全性向上に貢献する一般撮影の新ワークフロー「RAD Link」
■肺の結節影や浸潤影を検出する胸部X線画像診断支援AIソフトウエア「CXR Finding-i」
■Women’s Healthコーナーでは新ワークフロー「CAD Navi(CAD navigated US screening)」などをアピール
■ポータブル撮影に動画撮影という新たな価値を付加する「AeroDR TX m01」×「AeroDR fine motion」×「KINOSIS」
●回診用X線撮影装置「AeroDR TX m01」
今回の展示で最も注目されたAeroDR TX m01は,ICUや手術室,病棟のベッドサイドで,ワイヤレスでのX線動画撮影が行えることが最大の特長となっている。パルスX線の連続照射によってコマ撮りした画像を連続表示することで,肺や横隔膜などの構造物の動きを可視化できるほか,KINOSISの解析機能によって肺胞や肺血管など肺組織の挙動に伴う信号変化をとらえ,それをディスプレイ上に表示することで,肺換気や肺血流の可視化,定量化が期待されている。特にICUでは,CT撮影が困難な状況において,AeroDR TX m01とKINOSISで呼吸機能の評価が可能となることで,治療による換気状態の改善や,人工呼吸器の使用・不使用の判断などがより正確に行えるようになり,適切な治療や重症化の予防などに貢献する。
AeroDR TX m01は,操作性の面でも優れた機能を有しており,その一つが「アライメントサポート」機能である。X線を照射するX線管の角度と,X線を受光するカセッテ型DRのAeroDR fine motionの角度のズレ量が,X線管操作部のセカンドモニタに数値で表示されるため,毎回の撮影時に再現性の良いポジショニングが可能となる。また,X線管操作部は,ハンドグリップに触れることで電磁ブレーキが解除され,支柱やアーム,管球部分を一般撮影装置と同様に操作できるほか,ハンドグリップ上部のモーションコントロールスイッチを押し込むことで,ボディの各ホイールを独立して動かすことができ,狭いベッドサイドでも装置の微調整が容易に可能となる。
●カセッテ型デジタルX線撮影装置「AeroDR fine motion」
AeroDR fine motionは,動画撮影対応DRのフラッグシップモデルで,画素サイズ100μmの高解像能と,量子検出効率(DQE)56%(imR,1cycle/mm)の高DQEを誇る。バック板は全周のくぼみ設計によってつかみやすく,握力の弱い女性の診療放射線技師でも安全に取り扱い可能。カセッテカバー使用時でも,より確実に把持することができる。また,カーボンSMC(炭素繊維強化シート整形複合材料)を採用し,外装の材料に抗菌剤を練り込んでいるため,抗菌剤を塗布するよりも効果が長期間持続するほか,高濃度の消毒液にも耐えることができる。
●X線動画解析ワークステーション「KINOSIS」
KINOSISは,単純X線撮影の世界にデジタルX線動画撮影という新たな価値をもたらし,臨床に大きなインパクトを与えた。通常の一般撮影と同様の撮影で動きの情報が得られるため,縦隔陰影や骨などとの重なりによって視認しづらい陰影の視認性が向上するなど,静止画にはない情報を提供することができる。さらに,さまざまな解析機能によって,肺換気や肺血流の評価が可能となった。呼吸に伴う肺野内の濃度変化を見ることで換気の状態を把握できるほか,換気不良な箇所まで把握することができる。また,肺血流の画像は,肺血流シンチグラフィとの良好な相関が示唆されるなど,徐々にエビデンスが蓄積されている。
さらに,胸部に加え,整形領域にもニーズが広がっている。今回の展示では,動態画像による手関節のすべり症の評価の例が紹介されるなど,動きの評価が可能となることで,新たな知見が得られていることがアピールされた。
■一般撮影の業務効率化や安全性向上に貢献する一般撮影の新ワークフロー「RAD Link」
RAD Linkは,同社の一般撮影コンソール「CS-7」と,放射線情報システム(RIS)「FINO.WorkManage」,一般撮影マネジメントシステム「RADInsight」,被ばく線量管理システム「FINO.XManage」を連携させることで一般撮影の業務の効率化を図り,医療安全にも貢献する新しいワークフローである。RISの画面にRADInsightを統合して表示することで,当該患者の過去画像に加えて写損画像,撮影条件を確認することが可能となっており,通常PACS画像の参照では見えない情報を取得することができる。RADInsightにおいて写損画像に対する写損理由やコメント付与,施設ごとに再撮影判断の指針となる基準画像の設定も可能なため,再撮影の減少や無駄な被ばくの低減,教育につなげることができる。RIS画面でMWM発行ボタンをクリックすると撮影コンソールが立ち上がるため,そのまま撮影に移行することが可能である。撮影後は次の患者データの呼び出しも容易に行え,さらにFINO.XManageとも連携しているため,検査終了後には蓄積された線量情報を用いて照射録の作成も可能となる。
■肺の結節影や浸潤影を検出する胸部X線画像診断支援AIソフトウエア「CXR Finding-i」
今回の展示の柱の一つであるCXR Finding-iは,Deep Learningを用いて胸部X線画像の所見有無を事前学習したAIが肺の結節影や浸潤影を検出するソフトウエアである。数十万以上の胸部X線画像を学習したAIが,未学習の画像に対して解析を行い,病変を疑う箇所を視覚的に見やすいシンプルな円形マークを表示することで,医師の読影や見落とし防止を支援する。読影後にCXR Finding-iで確認することで医師の確信度が向上するほか,ワークフローの改善にも貢献する。また,CXR Finding-iは,画像処理ゲートウェイ「Senciafinder」にインストールして使用することもできるため,以前から提供されている画像処理である「Bone Suppression処理(胸部骨減弱処理)」や「Temporal Subtraction処理(胸部経時差分処理)」と併用することもできる。Bone Suppression処理を用いて骨を減弱させることで,骨と重なって視認が困難であった病変の視認性が向上することから,ユーザーからはAIとの併用によって,より診断精度が向上すると評価されていることなども紹介された。
■Women’s Healthコーナーでは新ワークフロー「CAD Navi(CAD navigated US screening)」などをアピール
Women’s Healthコーナーでは,乳がんの早期発見から治療までのワークフローの効率化が大きなテーマとなった。CAD Naviは,マンモグラフィと超音波の併用検診にCADを用いることで,効率化と診断精度の向上を図ることをめざした新しいワークフローである。マンモグラフィ診断支援ソフトウエア「MGCAD-i」で病変候補を検出し,そのデータをマンモグラフィ医用画像管理システム「FINO.VITA.GX type MG」に取り込むことで,CADの結果を超音波のシェーマ上に反映させることができる。FINO.VITA.GX type MGのモバイルビューワ(オプション)を使用すれば,CAD結果を反映したシェーマをタブレット端末で参照しながら超音波検査を行うことができ,検査効率の向上はもとより,病変の見落とし防止の効果も期待される。
また,FINO.VITA.GX type MGは,MGCAD-iのほか,乳房構成解析ソフトウエア「Breast Density Assessment(Bda)」,統合画像診断レポートシステム「FINO. Report」(オプション)を,ユーザーの要望に合わせて一つの筐体にインストールすることができる。なかでもBdaは,日本乳がん検診精度管理中央機構(精中機構)のガイドラインに沿ったアルゴリズムで乳房構成を自動的に判定することができる。乳房構成分類を1(脂肪性)〜4(きわめて高濃度)に分類し数字でわかりやすく表示するほか,独自のバー表示によって,各分類の中でもどの程度の乳腺量であるかが視覚的にわかりやすくなっている(例:2に近い3,あるいは4に近い3など)。Bdaは,キヤノンメディカルシステムズ社やホロジック社など複数社のマンモグラフィに対応するほか,FINO.VITA.GX type MGとのパッケージでの提供以外にも,ゲートウェイに搭載したソフトウエアとしての提供も可能である。
●お問い合わせ先
社名:コニカミノルタジャパン株式会社
住所:〒105-0023 東京都港区芝浦1-1-1 浜松町ビル23F
TEL:03-6324-1080
URL:http://www.konicaminolta.jp/healthcare/index.html