2023-4-28
アトックスブース
2回目の出展となるアトックスは,2022年1月から販売を開始した世界初のヘルメット型PET「Vrain」を展示。独創的な設計で,高画質,省スペースを実現している最新PETの技術を来場者にアピールした。Vrainの撮像部はユニークなヘルメット型をしており,被検者は着座姿勢で検査を受けることが可能。TOF-PETでの高い時間分解能と,コンパクトな設計で設置面積も少なく,スペース効率の良さもセールスポイントである。
同社は,原子力発電所などの保守管理を行ってきたが,国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(量研,QST)とVrainを共同で開発。医療機器事業に本格的に参入した。
●54個の検出器を直径28cmの半球型に配置し,高感度,低コストを実現
Vrainの最大の特徴とも言えるのが,ヘルメットのような形状をしたガントリだ。直径28cmの半球型で,54個の検出器を配置。検出器を近接させることで,高感度でありながら一般的なリング型装置よりも検出器数を1/4〜1/5程度に減らすことができた。これにより,製造コストも抑えている。検出器には,半導体光電子増倍器(Silicon Photomultipliers)を採用。この半導体検出器により,TOF時間分解能は,245psという世界トップクラスを実現し,高画質画像を提供する。
●コンパクト設計で,省スペース設置が可能
さらに,Vrainは,着座姿勢で検査を受けられることもアドバンテージである。寝台上で仰臥位になることなく検査を受けられるので,被検者の負担を軽減できる。また,寝台を不要としたことで,省スペース化した。装置本体の寸法は,945mm(W)×2150mm(D)×1820mm(H)で,コンソールとワークステーションを設置する操作室と合わせた設置面積も抑えられる。
PET/CTではなくPET専用装置としたことで,コンパクト化が図れただけでなく,被検者の被ばく低減にもつながっている。コンソールでは,容易な操作手順で,PACS内のCTやMR画像とのフュージョン画像も作成でき,自動で高精度な位置合わせが可能である。
●認知症の早期診断・治療への貢献にも期待
頭部専用PETであるVrainは,現在はてんかんや脳腫瘍がターゲットになっているが,それに加え,今後は認知症の診断・治療にも貢献する装置として期待される。日本では,超高齢者社会の進展とともに,アルツハイマー型認知症をはじめとした認知症患者の増加が見込まれており,その治療には早期診断・介入が重要となる。Vrainは,優れた時間分解能と感度により脳神経の描出能が高いことから,治療開始時期の判断や治療効果判定などでの適用が想定される。
●コンパクトな68Ge/68Gaジェネレータ「Galli Eo」
アトックスのブースでは,このほかにもIRE ELiT社の研究用68Ge/68Gaジェネレータ「Galli Eo」なども紹介した。本体サイズ210mm(W)×220mm(D)×230mm(H)のコンパクト設計で,大型の設備が不要で,68Ge/68Gaを製造できる。
●お問い合わせ先
社名:株式会社アトックス
住所:東京都港区芝4丁目11番3号
TEL:03-6758-9004
URL:https://www.atox.co.jp/