2022-5-2
United Imaging Healthcare Japanブース
ITEM初出展となったUnited Imaging Healthcare Japanは,白を基調としたブースにMRI,PET/CT,スケールモデルではあるがCTを展示して,来場者からの関心を大いに集めた。United Imaging Healthcareは,2011年に設立され急成長を遂げている中国の医療機器メーカー。CT,MRI,PET/CTのほかに,DR,放射線治療装置などを手がけている。日本では,すでに日本核医学会学術総会でPET/CTの展示を行っており,藤田医科大学病院,総合南東北病院での稼働実績もある。また,海外では中国以外に,米国,欧州,東南アジア,中東,アフリカなど,ワールドワイドに事業を展開しており,北米放射線学会(RSNA)でも欧米の医療機器大手企業と肩を並べる規模のブースを出展しており,日本でも認知度は高まっている。日本法人は2020年1月に設立され,本格的に市場に参入した。現在,日本ではCT,MRI,PET/CTの販売を行っている。
今回のITEMでは,ブランドステートメント“Passion for Change”を掲げて,ハイエンドクラスのモダリティを来場者に紹介し,その技術力の高さで驚かせた。CTは,320列検出器640スライス,1回転で16cmを撮影する「uCT 960+」をスケールモデルで展示。MRIは,75cmのガントリ開口径を誇る3T装置「uMR OMEGA」を設置した。さらに,PET/CTでは,アキシャルFOVが194cmの半導体検出器搭載装置「uEXPLORER」を披露した。いずれも2022年の2〜3月にかけて発表したばかりの装置で,先行する医療機器大手企業の装置に引けをとらないスペックを有しており,新興企業としての勢いを来場者に印象づけた。
●日本での事業展開:ハイエンドからミドルクラスまで日本のユーザーのニーズに応える製品を展開
United Imaging Healthcareは2011年に中国で設立され,上海の本社・研究所のほか,深セン,武漢に研究開発と生産の拠点を持っている。また,米国ではテキサス州ヒューストンに北米事業の拠点を持つほか,マサチューセッツ州ボストンには人工知能(AI)の研究開発センターがある。そのほか,欧州,東南アジア,中東,アフリカに事業所を置き,瞬く間に世界的な医療機器メーカーに成長した。日本では,2017年に藤田医科大学病院(当時・藤田保健衛生大学病院)がPET/CT「uMI 510」を導入(2020年には「uMI 550」に更新し,uMI 510は藤田医科大学岡崎医療センターに移設された)。さらに,2019年には総合南東北病院でPET/CT「uMI 780」が稼働するなど,日本での認知度も上がってきた。そして,2020年1月には日本法人のUnited Imaging Healthcare Japanを設立。本格的に日本市場に参入した。初出展となったITEMについて,松本政浩社長は,ハイスペックなCT,MRI,PET/CTを展示して,まずはブランドイメージを定着させたいと意気込みを語った。すでに,CT,MRI,PET/CTいずれもハイエンドクラスからミドルクラスまで,日本のユーザーのニーズを満たす製品の薬機法承認を取得しているが,松本社長は,さらにポートフィリオの拡充を図っていくと述べた。そのためにも,早期にCT,MRIのショウサイトとなる導入施設をつくるとともに,サービス体制を強化して,将来的には日本市場でも医療機器大手企業と互角に渡り合える存在をめざすと強調。また,United Imaging Healthcareの強みは,開発のスピードの速さとAIのためのデータ量が多いことだとして,それを生かし日本市場のニーズに合った製品も展開したいと強調した。
●CT:AI技術により心臓CTで威力を発揮するハイエンドクラスuCT 960+を披露
ITEM 2022前の3月1日から国内販売を開始したのが,ハイエンドクラスのuCT 960+である。United Imaging Healthcare Japanが販売するCTとしては最初の機種となる。320列検出器で640スライス,16cmというワイドカバレッジ,0.25s/rotのガントリ回転速度を実現。1スキャン,1心拍で心臓を撮影できることから,同社では心臓CTを得意とする装置と位置づけている。
心臓CT用のアプリケーションも充実している。“CardioAssist”は,被検者の心拍数に応じて最適なゲーティングパラメータを推奨する。また,“CardioXphase”は,冠動脈の動きを解析して,自動的に最適なフェーズで再構成する。検査後1分程度で解析を完了するなど,高速処理が可能である。“CardioCapture”は,AI技術を用いて冠動脈の動きを追跡,抽出して,モーションアーチファクトを低減。心臓CTの時間分解能を25msにすることができ,高心拍や不整脈の被検者の検査に有効である。さらに,“CardioAdapt”は,不安定な拍動や不整脈をチェックして,正常な心拍時に撮影する。これらのアプリケーションに加えて,3Dカメラを用いた“uAI Vision”により,撮影部位がアイソセンタになるよう自動位置決めを行え,ワークフローの効率化に加え,高精度の画質を得られるようにする。加えて,ガントリ開口径が82cmと広いことも,検査の適用拡大につながる特長と言える。
同社のCTは,スケールモデルを展示したuCT 960+のほか,40列検出器80スライス,ガントリ回転速度0.5s/rotの「uCT 550」,40列検出器80スライス,ガントリ回転速度0.75s/rotの「uCT 528」,20列検出器40スライス,0.75s/rotの「uCT 520」を展開。施設のニーズに応じ最適な機種を提供できる。
●MRI:ハイエンドモデルとなるガントリ開口径75cmのワイドボア3T装置uMR OMEGAを展示
2022年2月1日に発表したのが,ハイエンドクラスの3T MRIであるuMR OMEGAだ。ガントリ開口径75cmというワイドボア設計でありながら,最大傾斜磁場強度45mT/m,スリューレート200T/m/sという傾斜磁場システムにより高い磁場均一性を実現。安定して高画質画像を取得することが可能である。また,最大FOVが60cm×60cm×50cmと広いことも特長だ。寝台の耐荷重は約310kgで体格の大きな被検者の検査も対応するほか,ガントリ内部の「スターライトシステム」により被検者に心理的な負担を軽減する。
さらに,uMR OMEGAは高速撮像技術“uCS 2.0”を採用している。uCS 2.0は2D,3D,4D画像の高速撮像技術。圧縮センシング(compressed sensing:CS)を応用した独自のものであり,短時間で高画質画像を得られる。頭部検査の場合,従来の高速撮像法よりも23%の撮像時間短縮が可能だ。
同社のMRIはuMR OMEGAのほかに,現時点でガントリ開口径70cmの3T装置「uMR 780」と1.5T装置「uMR 570」を国内で展開している。uMR 780は,“ACS(AI-Assisted Compressed Sensing)”により,さらなる撮像時間の短縮を実現する。
●PET/CT:194cmのアキシャルFOVを持つ半導体検出器搭載uEXPLORERをアピール
多くの関心を集めたUnited Imaging Healthcare Japanのブースの中でも,一際来場者の目を引いたのが194cmという他を圧倒するアキシャルFOVを有するuEXPLORERである。同社は,CT,MRIに先駆けて日本市場でPET/CTを展開してきたが,uEXPLORERは研究用途を想定しており,新たな知見をもたらす装置として期待を寄せている。194cmのアキシャルFOVにより寝台を移動させることなく全身の撮像が可能。PETの検出器には,半導体検出器(SiPM)を採用している。また,2.76mm×2.76mmのLYSOシンチレータによって2.9mmの優れた空間分解能を実現。高い定量精度を有するほか,小さな病変の検出能も向上する。さらに,176cps/kBqという高感度を有している。一方,CTも80列検出器160スライス,ガントリ回転速度0.3s/rotと,ハイスペックにしたことにより,低線量かつ高速撮影で高画質画像を提供できる。これらの優れたハードウエア性能によって全身のダイナミック撮像を行え,parametric imagingによる定量評価などが可能となる。
なお,PET/CTは,uEXPLORER以外にuMI550,uMI780を販売している。
●お問い合わせ先
社名:United Imaging Healthcare Japan 株式会社
住所:東京都千代田区麹町1-7-2 相互半蔵門ビル 3F
TEL:03-6868-3324
URL:http://www.united-imaging-jp.com/