2019-4-13
シーメンスヘルスケアブース
今回のシーメンスヘルスケアの展示テーマは,“We enable you to deliver high-value care.”。価値の高いケアを実現するための製品や技術を発表し,会場内は常に多くの来場者で賑わっていた。放射線診療でも人工知能(AI)の応用が関心を集めているが,同社も1990年代からAI技術の開発を進めてきた。ブース内では,その成果と言える診断・検査を支援する技術を複数披露した。また,価値の高いケアを実現する画像診断装置の新製品も登場した。
その中でも,特に力を入れてPRしていたのが,3月に発表したばかりの3T MRI「MAGNETOM Lumina」と1.5T MRI「MAGNETOM Altea」である。両機種ともにプレミアムクラスの研究用3T装置「MAGNETOM Vida」に搭載されている“BioMatrix Technology”を採用したハイエンドクラス装置。BioMatrix Technologyは,被検者の体格などの生理的特性に応じて最適な撮像を行うための技術の総称。ワンタッチでのポジショニングを可能にする“BioMatrix Select & Go”,寝台に内蔵されたセンサで呼吸同期を行う“BioMatrix Tuners”,被検者固有の局所磁場を補正する“Coilshim”,2D撮像においてスライスごとに最適なシミングを行う“SliceAdjust”などがある。さらに両機種は,高速撮像を行うためのアプリケーションパッケージ“Turbo Suite”も採用した。多断面同時励起・データ取得を行う“SMS(Simultaneous Multi-Slice)”や圧縮センシングなどのアプリケーションにより,従来比で頭部MRI検査を34%,膝関節MRI検査を50%短縮する。ブース内では,オプションとして,ガントリ内で被検者が映像と音声を視聴できる“Innovision”も展示した。
ヘルスケアITでは,医療クラウドサービス「teamplay」でAIのアルゴリズムや他社のアプリケーションを利用できるようになる「teamplay Cloud platform」が注目を浴びた。なかでも,大きなトピックなのが,胸部CT画像から心臓や肺,大血管の病変検出や計測などを行うAIアルゴリズム“AI-Rad Companion”を用いた「AI画像解析受託サービス」である。このサービスは胸部CT画像をteamplayを介して同社に送信すると,エンジニアがAI-Rad Companionを用いて解析して,その解析結果レポートをユーザーに返すというものである。6月をめどに期間限定のトライアルサービスとして提供する予定である。また,ヘルスケアIT関連では,医用画像解析ソリューション「syngo.via」のアプリケーションである“Cinematic VRT”のデモンストレーションも行われた。従来のVR画像よりも質感・陰影をリアルに再現し,診断はもとより術前シミュレーションや患者説明などにおいて有用な画像再構成技術である。このCinematic VRTは,同社のPACS「syngo.plaza 3D+」でも使用できる。このほか,遠隔撮影支援システム「syngo Virtual Cockpit」もPRした。このシステムは,モダリティ共有画面,チャットシステム,IPカメラで構成され,撮影業務を遠隔でサポートする。これにより,患者満足度の向上や人材不足解消,検査の標準化,教育,コストダウンを図ることができる。
CTでは,前回のITEMで発表されたAIアルゴリズム搭載の「FAST 3D Camera」が新たにハイエンドクラスの「SOMATOM Drive」に対応したことを発表。実際の展示も行った。FAST 3D Cameraは,CT装置の天井に取り付ける。検査時には,FAST 3D Cameraで被検者の体格,位置などを読み取ることで,自動的にCT撮影部位が中心になるように寝台が移動。正確なポジショニングが可能になり,被ばく低減と検査時間の短縮が可能になる。また,CTは,タブレット操作が可能な「SOMATOM go.Top」も展示された。
X線関連では,2018年に発表した血管撮影装置「Artis zee i BA Twin」を紹介した。会場内には,脳神経外科領域,腹部領域のインターベンションに対応したバイプレーンタイプの「Artis zee i BA Twin」を展示した。Artis zee i BA Twinは,16ビットの入出力に対応した“HDR(High Dynamic Range)フラットディテクタ”に対応。コントラスト分解能が向上し,高画質の3D画像を提供する。同じく2018年に発表した外科用X線撮影装置の「Cios Spin」も展示した。高精細な3D画像を撮影できるコーンビームCT技術“Retina 3D”を採用。アプリケーションとして,金属アーチファクトを低減する“MAR”,スクリューの自動検出を行う“Screw Scout”,2Dガイディング機能の“Target Pointer”を搭載している。
このほか,核医学装置では,PET/CTの「Biograph Vision」を展示した。SiPM半導体検出器を採用し,214psのtime-of-flight (TOF)時間分解能を実現。クリスタルのサイズを3.2mm×3.2mmにして空間分解能を向上している。
●お問い合わせ先
社名:シーメンスヘルスケア株式会社
住所:品川区大崎1-11-1 ゲートシティ大崎ウエストタワー
TEL:0120-041-387
URL:https://www.siemens-healthineers.com/jp/