2017-5-11
JVCケンウッドブース
JVCケンウッドは,従来の青を基調としたデザインを変更し,JVCのイメージカラーでもある赤を大きく取り入れたブースを設置した。これまでの「TOTOKU」ブランドから「JVC」へブランドを統一し,プロダクト表記もすべてJVC製に変更して展示を行った。主力製品である読影用モニターについては,従来製品の「i2シリーズ」に加えて,新開発の「i3シリーズ」を参考展示した。また,研究段階の製品についても数多く紹介し,8K解像度の内視鏡カメラシステムや超小型の4K解像度カメラをはじめ,光ディスク技術を生かしたエクソソーム検出・計数技術の概要をVRヘッドマウントディスプレイで体験できる展示など,JVCブランド移行後の多角的な製品展開をアピールした。
●JVCブランドの新製品「i3シリーズ」など医用画像表示用モニターの豊富ラインアップをアピール
JVCケンウッドは,2013年7月に東京特殊電線(TOTOKU)の医用画像表示機器等の事業を継承後も,「TOTOKU」ブランドで事業を展開してきたが,今後はすべて「JVC」ブランドに切り替わる。その第一弾の新製品ラインとなるのが,「i3シリーズ」である。
今回,参考出展された「i3シリーズ」は,デザイン・機能を一新した次世代のPACSモニターである。人感センサー,輝度センサー,周囲光センサーなど,読影に求められる各種センサーを備え,複数台のモニターを数珠つなぎで接続できる“デイジーチェーン”にも対応する。また,読影に集中できるよう表示面のフラット感を重視した新デザインの筐体を採用した。さらに,キーボードを収めやすい新設計の形状と相まって,デスク上での省スペース化が図られている。
また,5MPの21.3型カラー液晶モニター「CCL550 i2」は,マルチモダリティ画像表示にも対応し,FDAからブレストトモシンセシスとデジタルマンモグラフィ表示用モニターとして認定されたほか,日本乳がん検診精度管理中央機構からもマンモグラフィ診断適合ディスプレイとして認定されている。カラー画像はガンマ値2.2で,モノクロ画像はDICOM Part14準拠で表示するなど,カラー/モノクロを自動で判別して,最適な輝度・階調での表示へ切り替える“ダイナミックガンマ機能“を搭載する。また,レポートやカルテの閲覧など,画面上に白色部分が多い場合は自動で輝度を下げる“オートテキストモード機能”を備え,読影医の目の負担を軽減する。
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●視線計測装置GazefinderによるX線胸部画像読影時の視線計測デモンストレーション
昨年のITEM2016に続き,視線計測装置「Gazefinder(ゲイズファインダー)NP-100」が展示された。Gazefinderは,画面下部にセットされた近赤外線LEDとステレオカメラにより,画面に対するユーザーの視線を計測する装置。この装置を利用してベテランの読影医がX線胸部画像のどこを見ているかを解析し,検査の質の向上に役立てる研究が行われている。また,視線の計測は,人の興味や脳の働きとの関連性を可視化し,定量的な計測を行う手段として注目されており,認知症や視覚認知などの研究や,乳幼児の社会性発達の度合いを測る健診に導入されている。
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●光ディスクを応用してエクソソームを検出・計数する新技術を展示
JVCケンウッドとシスメックス(株)の共同研究として,血液中のエクソソームとその中に含まれるマイクロRNAなどを,バイオマーカーとして利用する研究も展示された。エクソソームとその中に含まれるマイクロRNAは,さまざまな疾患の病態,進行度合いによって量や種類が大きく変化する性質があり,疾患の診断に有用であるといわれている。JVCケンウッドは,DVD・Blu-rayの開発で蓄積した光ディスクの技術を応用して,疾患特異的なエクソソームの検出・計数を可能にする技術を開発し,さらに,シスメックスが持つ遺伝子やタンパク質などの高感度測定技術と合わせることで,がんなどの早期発見につながる診断機器の開発を進めている。
展示では,エクソソームがディスクに捕捉されるナノレベルの世界を,VRヘッドマウントディスプレイで“実体験”できるコーナーを設けて来場者にアピールした。
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●超高解像度で手術を支援する8K内視鏡システムと超小型4K解像度カメラ
参考出品となる硬性内視鏡向け8Kカメラシステムは,カイロス(株),シャープ(株),(一社)メディカル・イメージング・コンソーシアム(MIC)との共同開発によって実現したソリューションで,HD撮影の16倍となる3300万画素を超える高精細・高解像度の映像を実現した。これにより,患部全体を俯瞰する場合でも詳細な画像が確認でき,HDサイズでは表示が難しかった11-0(直径0.010〜0.019mm)の縫合糸も鮮明に描写する。また,癒着した臓器の境界がより鮮明となることで,切除範囲の精度を向上し,内視鏡視下手術のさらなる低侵襲化と安全性の向上を可能にする。今後は,薬機法の承認をめざすとともに,カメラヘッド部分の小型・軽量化を図り,手術時の操作性を向上させる予定だ。また,手術機器向けに開発された,4K解像度対応の超小型カメラも展示した。こちらも現在は,薬機法未承認となっている。
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●お問い合わせ先
株式会社JVCケンウッド
住所:〒221-0022 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3-12
TEL:045-450-1890
URL:http://www.jvckenwood.com/