2012-4-24
ザイオソフト/アミンブース
ザイオソフト/アミンは,「画像解析における定量化をめざして~マルチクリニカル・マルチモダリティ・マルチフュージョン」をテーマに,黒を基調とした落ち着いたデザインで高精細な処理画像が映えるブースとなっていた。
展示のハイライトは,ザイオソフトの開発したスーパーコンピューティング技術によって,従来の三次元+時間の四次元の概念を超えた超四次元画像を提供する「PhyZiodynamics」を,プレゼンテーションやワークステーションによる臨床画像とともに紹介した。PhyZiodynamicsは,RSNAでは2010年から発表し,来場者から高い関心と評価を得てきたが,ITEMでは今年初めて大々的にアピールされた。初日の13日には,ランチョンセミナー「New Horizon of 4D Imaging ~超四次元画像PhyZiodynamics テクノロジーによる定量解析の可能性」を開催し,小林泰之氏(聖マリアンナ医科大学)と長尾充展氏(九州大学大学院)がPhyZiodynamicsの特徴と心臓領域での応用について報告した(詳細はインナービジョン6月号目次裏企画で紹介予定)。
また,ziostation2では,最新バージョンで追加される“MRトラクトグラフィ”,“CT/MR血流解析”,“D.E.デコンポジション”などの機能や,次バージョン以降で搭載予定の“MRストレイン解析(W.I.P.)”などを中心に紹介した。展示では,診療科,モダリティなどを“マルチ”に展開する3D画像についてタッチ式モニタやパネルによって,臨床画像を中心に数多く紹介した。(4月13日取材)
●PhyZiodynamics:スーパーコンピューティング技術が可能にする超四次元画像
PhyZiodynamicsは,ザイオソフトが独自に開発したスーパーコンピューティング技術によって,単なる連続した三次元画像データから構成された四次元を超えた“超四次元”の画像再構成を可能にする新しい画像処理技術である。PhyZiodynamicsでは,主として“Interpolation”,“Registration”,“Tracking”の3つの処理を高度に実行することで,なめらかでノイズの少ない四次元画像を再構成する。これによって,心臓での心筋や血流などの動態観察,動的な形態画像と機能画像などの合成が可能になるほか,継続性のないボクセルを認識して計算時の重み付けを減らすことで,ノイズリダクション効果が期待できる。これらの技術は,すでにziostation2の基幹技術として利用されており,CT肝臓解析の自動抽出,MR心機能解析の心壁境界線の自動トレースなどに用いられている。PhyZiodynamicsは,日米の複数の医療機関で評価・研究がスタートしており,国内では10以上の大学,基幹病院で画像の評価,検討が行われている。アメリカでは,マサチューセッツ総合病院(MGH)やクリーブランドクリニックなどとの共同研究が始まっている。
ブースでは,プレゼンテーションコーナーでPhyZiodynamics技術のポイントをわかりやすく説明したほか,実機でも機能情報をフュージョンした心臓動態画像などを展示した。
|
|
●ziostation2:PhyZiodynamicsの要素技術を生かしたMRストレイン解析など新機能を中心に紹介
“定量化”と“マルチクリニカル・マルチモダリティ・マルチフュージョン”をテーマにしたザイオソフトのブースの中核となったのが,3D画像処理ワークステーション「ziostation2」である。まもなくリリースされる最新バージョン2.1の機能を含めて,さまざまなアプリケーションが紹介された。
展示では,複数のモダリティのフュージョンによってさまざまな診療科に効果的な情報を提供するziostation2のメリットを紹介するため,タッチ式モニタでは診療科別に提供可能なアプリケーションと,その具体的な症例データを参照できるようにした。また,パネルでも,ziostation2によって作成された領域ごとの3D画像などの画像ギャラリーによって,多くの症例画像を紹介した。
ziostation2のアプリケーションとしては,MR/SPECT心臓フュージョンなどマルチモダリティの画像合成機能のほか,カテーテルアブレーション手術の術前シミュレーションに利用する“アブレーション計測”,冠動脈の心筋への支配領域を判定する“CT冠動脈支配領域解析”,PhyZiodynamicsの技術を応用して,設定したROIを自動追跡して解析が行える“MRフロー解析”,今後日本でも導入が期待される経カテーテル的大動脈置換術(TAVI)をPhyZiodynamicsの技術を応用してサポートする“TAVI術前プランニング”など,多くのアプリケーションを実機でも展示した(これらはW.I.P.)。
◆Txマッピング
異なるTEで撮像されたデータを利用して,任意に設定したROI内の緩和時間を測定しマッピングするアプリケーションソフトウエアである。T2値やT2*値を測定することで,組織状態の判別に利用できる。TEの時間と信号値の関係をグラフ表示することが可能である。
◆MRトラクトグラフィ
MRトラクトグラフィは,トラクトグラフィとCTやMRAなどマルチモダリティの画像とのフュージョンを可能にした。トラクトグラフィでは,シンプルな操作で任意の神経線維を描出でき,任意の位置や形状にROIを設定して,観察したい神経線維のみを抽出できる。MPR断面との合成表示や,CT,MRAとのマルチモダリティ・フュージョンが可能で,神経線維と腫瘍や血管などとの位置関係の把握や,手術シミュレーションなどでの活用が期待される。
◆CT血流解析
今回紹介した血流解析は,頭部以外にも体幹部に対応しており,MRにも対応したソフトウエアも用意されている。また,CTではボリュームによる評価も可能としたソフトウエアも用意されている。
豊富なアルゴリズムを搭載し,撮影部位など血流モデルによる使い分けや用途に合わせた選択ができる。アルゴリズムは,standard SVD,block-circulant SVD,Single Compartment法,Maximum Slope法は標準で搭載し,その他の解析方法も準備されているという。
お問い合わせ先:
ザイオソフト株式会社 / アミン株式会社
TEL 03‐5427-1903
http://www.zio.co.jp/