2012-4-24
GEヘルスケア・ジャパンブース
今年のGEヘルスケア・ジャパンは新製品ラッシュとなった。CTはITEM前に3製品が発表され,またMRIも今年2月に2製品を発売。そのほかX線撮影装置,血管撮影装置,核医学装置,ヘルスケアITといったほぼすべての製品カテゴリで新製品・サービスが登場した。その中でも,日本市場のニーズに基づいて開発された製品が世界でも展開されるようになっている。同社がIJFG(In Japan For Global)製品と位置づけるこれらの製品開発は,今後も強力に推進していくという。
ITEM初日の13日に取材に応じた代表取締役社長の川上 潤氏は,「『Silver to Gold』戦略に基づいて,超高齢社会の日本市場に適した製品を提供していきたい」と述べた。また,2012年度の診療報酬改定において,コンピューター断層撮影料で64列マルチスライスCTや3T MRIの項目が新設されたことについて,買い換え需要を期待しているとした上で,IJFG製品である「Brivo CT385」が,保険点数の下がった2列マルチスライスCTからのリプレース機器として最適だと説明。幅広いラインアップからユーザーに最適な製品を提供できる同社の強みを強調した。(4月13日取材)
●CT:64列の最上機種と高齢者の撮影に最適化したコンパクト16列CTが登場
CTでは,「Discovery CT750 HD FREEdom Edition」と「Brivo CT385」の展示を行った。Discovery CT750 HD FREEdom EditionはRSNA 2011(第97回北米放射線学会)でも展示された同社の最上位機種。「Motion FREEdom. Calcium FREEdom. Horizon FREE.」をコンセプトにしており,心臓の撮影機能を強化している。具体的には,モーションアーチファクトを抑える「SnapShot Freeze」やデュアルエナジーイメージング技術である「GSI(Gemstone Spectral Imaging)」などの機能を搭載。GSIは,心臓撮影用CTとしては初めての搭載となり,冠動脈の石灰化した箇所を分離したり,アーチファクトのない心筋画像が得られるようになる。
一方のBrivo CT385は,同社が進める「Silver to Gold」戦略に基づいて,高齢者などの被検者の検査が容易に行えることをコンセプトに開発された16列マルチスライスCT。IJFJ製品の1つと位置づけられる。また,診療所や中小規模病院など設置スペースの限られた施設でも導入しやすく設計されており,本体は173cm(高さ)×180cm(幅)×97cm(奥行き)とコンパクト。設置面積は10m2となっている。また,省電源設計も特長としており,シングルスライスCTと同じ40/30kVAの電源で使用できる。これにより,シングルスライスCTなどからの買い替え需要を見込む。最小スライス厚は,0.625mmで,ヘリカルピッチは1.75となっており,高速撮影が可能。検査時間の短縮化により,被検者の負担も軽減する。このほか「スマートポジション」機能により,OMライン(眼窩外耳道線)の位置決めのためのチルト操作が不要となり,被検者に負担をかけずに,容易なポジショニングを可能にした。さらに,ODM機能により,水晶体などの放射線感受性の高い臓器の被ばくを抑えている。
今回は実機が展示されなかったが,IJFG製品である「Optima CT660」もバージョンアップ版が発表されている。「FD(Future Definition:未来基準)」をコンセプトにした64列マルチスライスCT「Optima CT660 FD」は,全身を6秒で撮影することが可能である。
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●MRI:「Caring Design」を採用した被検者に優しい「Discovery MR750w 3.0T」
2012年2月に発表された最新鋭の3T MRIであるDiscovery MR750w 3.0Tが展示された。一目で新型とわかるガントリに木目調のパネルを施したDiscovery MR750w 3.0Tのデザインは,欧州GEヘルスケアによるもの。Caring Designと呼ばれるコンセプトをもとに開発され,ガントリの開口径を70cmとするなど,被検者に優しいMRIをめざしている。外観デザインには木目調のパネルのほか,LED照明を採用し,被検者の不安を和らげる配慮がなされている。また,テーブルストロークを長くすることで,頭部の撮像時にも足からガントリに入るフィートファーストを可能にしている。このテーブルには,低反発性素材を使った「ComfortPad」を採用しており,長時間の検査でも被検者の負担とならないようになっている。このほかにも,腹部コイルの軽量化を図り,頭部・頸椎の検査用のチルト台も装備している。
さらに,画質も進化している。新開発のRFコイル「GEM(Geometry Embracing Method)」を搭載し,形状の異なる3つのコイル素子をテーブルに配置した。また,0.27ppm@40cmDSVの磁場均一性を実現する新設計の静磁場マグネットと,位相比・振幅比のコントロールが可能なマルチドライブを搭載し,送信RF均一性により高画質化を図っている。
アプリケーションでは,新たに「IDEAL-IQ」と「3D ASL」を搭載した。IDEAL-IQはMRIでは初となる肝臓などの脂肪含有率をマッピングする。3D ASLは頭部の非造影パーフュージョン撮像のアプリケーションである。
このほか,注目されるMRエラストグラフィ技術である「MR-touch」が紹介された。Active DriverとPassive Driverという装置(日本国内薬事未承認)を組み合わせて振動を与えることで,肝臓での振動の伝搬を画像化するものである。
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●血管撮影装置:ガイド機能を強化した「INNOVA」新シリーズ
ITEMに先立ち「INNOVA」の新シリーズを市場に投入してきた。新シリーズはFPDサイズ別に3機種。20cm×20cmの冠動脈,頸部,下肢用の「InnovaIGS520」,30cm×30cmの全身用の「InnovaIGS530」,40cm×40cmの頭腹部用の「InnovaIGS540」である。このうちITEM会場にはInnovaIGS530が展示された。InnovaIGS530は,従来機種「Innova 3100IQ Pro」の後継機種と位置づけられる。IGSとはImage Guided Systemの略語で,インターベンションにおける手技を支援するアプリケーションを強化している。
このアプリケーションとしては,手技中のテーブルの動きなどに連動して,CTやMRIの3D画像と透視画像を高精度にフュージョンして表示する「Innova Vision」がある。操作コンソールの「InnovaCentral」との組み合わせにより,3D画像の透過度を調整しながら手技を支援する。また,肝がんのインターベンションでは,栄養血管をカラー表示する「FlightPlan for Liver」がある。心臓領域では,CTの画像からロードマップを作成し,心電同期しながら透視画像とフュージョン表示して,不整脈治療を支援する「EP Vision」がある。
このほか,血管撮影装置における線量管理サービスである「Innova Dose Report」(リリース予定)についても,モニタやパネルで紹介された。同社のリモートメンテナンス「InSite」を用いて,オンライン上で装置のデータを収集して解析し,その結果を線量レポートとして施設側へ伝える。
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●X線撮影装置:ハチのように自由自在に動き回るワイヤレスFPD搭載の移動型装置が登場
同社初のワイヤレスFPD「FlashPad」を搭載した最新の回診車「SuperBee XR220 digital」もお目見えした。展示コーナーには,「SuperBee」のキャラクターであるハチを飾り付け,ハチのように小さくても,素早く自由自在に動き回り,確実に仕事をする「愛嬌のある働き者」の装置として紹介された。装置の寸法は, 194 cm(高さ)×56cm(幅)× 123.5 cm(奥行き)で,重量は453kgとなっている。スタンバイモードからの起動がスピーディで,緊急撮影時に威力を発揮する。
この装置と組み合わされるFlashPadは,58cm(縦)×45.2cm(横)×2.4cm(厚さ)のサイズ。重さは4.5kgとなっている。最大の特長は,日本国内で販売されるワイヤレスFPDとして,通信方式に初めてultra wide band(UWB)方式を採用したこと。他社のワイヤレスFPDと異なり,Wi-Fi通信での相互干渉によるエラーがなく,高速のデータ通信を高い信頼性で行える。
SuperBeeシリーズは展示されたこの装置のほか,デジタルに拡張できるアナログモデル「SuperBee XR200 digital ready」とアナログモデル「SuperBee XR285 analog」がラインナップされており,施設の用途に応じて最適な装置を選択できる。
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●核医学:短時間で安全に作業できるPETの薬剤合成装置を披露
核医学のコーナーでは,SPECT/CT「Discovery NM/CT 670」「Discovery NM/CT 670 Pro」のスケールモデルや,半導体検出器搭載の心臓専用SPECT「Discovery NM 530c」の検出器のモックアップが展示された。Discovery NM/CT 670は,新開発のElite NXT検出器を採用して大幅なノイズ低減を図り,高画質化を図ったほか,多軸同時駆動による検査時間の短縮を実現する。CTには,16列の「BrightSpeed」を用いており,被検者の体型に応じてX線量を自動調整する「3D mA Modulation」などの低被ばく技術を採用している。上位機種にあたるDiscovery NM/CT 670 Proは,逐次近似法を用いた同社の画像再構成法である「ASiR」を搭載。被ばく低減を図りながら高画質を実現している。ITEM前には,SPECT装置として「Discovery NM630」が発表されている。
また,Discovery NM 530cは,「Alcyone Technology」による高画質,短時間撮影を可能にした装置。半導体検出器を採用しており,高いエネルギー分解能や散乱線の影響を受けにくい集束コリメーションによって,高画質を実現している。検出器を回転させないデータ収集方式のため,ユニークな外観となっている。
さらにPETでは,今注目されている「治療効果判定」へのPET利用にフォーカス。「定量 PET」(SUV精度の向上)をテーマとし,「Discovery PET/CT 600」シリーズ,「Discovery PET/CT 690」シリーズ,そしてその後継機となるPET/CT装置(日本国内薬事未承認)のモックアップが展示された。特にこの後継機種では,従来の呼吸同期技術であるMotion Match(4D-PET&CT吸収補正)に加え,「Q.Freeze」という,Motion Match画像を非線形加算処理する新技術が発表されている。この機能では,集積部の動きの影響を抑えつつカウントをリカバーしSNRを改善,SUV精度も向上させており,しかもstaticと同等の短時間収集が見込まれるため,従来普及のボトルネックとなっていた呼吸同期PET収集時間の長さを解決し,日常ルーチンプロトコールへ組み込めるようになる。肺野・上腹部といった呼吸性移動のある部位で,画質とSUV値の向上が期待されるという。また「Advantage Workstation」に搭載された新バージョンの「PET VCAR」は,PERCISTだけでなくRECISTにも対応し,治療の効果判定をサポート,日常の読影ワークフローを向上させている。
核医学関連では,ITEM直前に発表されたPETの薬剤合成装置である「FASTlab」も披露された。合成用試薬がセットされたカセットを取り付けるだけで,60秒で準備が完了,合成時間も25分以内と大幅に短縮している。さらに,洗浄プログラムの見直しにより,カセットの残存放射能量を従来の1割程度に低減している。
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●超音波診断装置:安全な穿刺を支援する「Needle Tracking」機能をPR
超音波診断装置では,最上位機種「LOGIQ E9」の「Volume Navigation」機能を用いたNeedle Tracking機能が紹介された。Volume Navigationは,CTやMRIの画像を連動させながら並べて表示して,治療や効果判定の安全性を高めながら高精度で手技を行うことが可能となる,穿刺や造影検査を支援する機能である。Needle Trackingは,磁気ポジションセンサーを内蔵したNeedleを使用して,針先の位置とその進む方向を超音波画像上に表示するものである。これにより,奥行き方向の針先のズレを確認できるようになるなど,安全に目的部位への穿刺ができる。
●ヘルスケアIT:クラウドサービスやタブレット向けPACS,ネットワーク型ワークステーションを紹介
今回のITEMでは,PACSのクラウド化が大きなトピックとなっていたが,昨年からサービスを手がけてきたのが,同社である。「医知の蔵」はソフトバンクテレコム社と協業して手がけるデータホスティングサービスで,昨2011年から行ってきた深谷赤十字病院でのパイロット運用を終え,本格的な運用を開始。サービスを提供する医療機関数も今年中にさらに増えるとしている。深谷赤十字病院の例では,短期と長期にデータをわけ,短期は病院に,長期はデータセンターへ保管している。今後は施設間でのデータ共有などのサービスも検討している。
また,iPadやiPhoneなどのタブレットやスマートフォンで画像を参照できるモバイルPACS「CRMA」が発表された。同社のPACS「Centricity」の画像データをインターネット回線があれば世界中で参照できるようになる。これにより,施設内では手術室内で術中に画像を参照するといった利用が考えられる。施設外では,診断医が不在の場合の遠隔読影などのユースケースが想定されている。端末はシンクライアントとして運用するので,セキュリティも確保している。
一方,ワークステーション関係では,「Dexus」という画像解析のコンセプトが紹介された。これは「Advantage Workstation」「AW Server」とCentricityを用いて,施設内外各所で高度な画像処理を行うというもの。AW Serverにより,高機能のスタンドアロン型ワークステーションを用いず,容易に3D画像を作成できる。3D画像が手術シミュレーション,患者説明などで利用される機会が増えており,このDexusによって,さらに活用の場面が広がっていくと期待される。
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お問い合わせ先:
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