2012-4-12
JRCの恒例となった,「CTコロノグラフィ トレーニングコース」─画像ワークステーションを用いたハンズオンによる診断法の実際─が,12日(木)の10時から18時まで,パシフィコ横浜アネックスホールF205+206で開催された。今回で5回目となるが,2012年1月から,下部消化管に対するCT撮影(CT colonography)に診療報酬*が適用されたことで,従来とはまったく異なる状況下での開催となった。
*16列以上のマルチスライスCTを使用し,直腸用チューブを用いて二酸化炭素を注入してCT撮影を行い,三次元画像処理を行った場合,600点の加算を算定できる。
診療報酬収載を受け,GEヘルスケア・ジャパンと東芝メディカルシステムズが相次いでエーディア(エーザイ子会社)とCTC用炭酸ガス送気装置の売買契約を締結したことを発表。CTCの撮影から診断までをパッケージとして展開していく方針を示した。今後, CTコロノグラフィの普及に弾みがつくことは間違いない状況である。
このタイミングで開催される今回のトレーニングコースは,100名の募集に対して応募が殺到し,画像ワークステーションを使うハンズオンは今回,1台のワークステーションを2名で使用するところを3名での使用にしたという。
今回,使用する画像ワークステーションは,Ziosoft社のziostation2,インフィニットテクノロジー社のXelis Colon,AZE社のAZE VirtualPlace,GEヘルスケア・ジャパン社のAWVS4(COLON VCAR EC),東芝メディカルシステムズ社の専用ワークステーション,フィリップスエレクトロニクスジャパン社のVirtual Colonoscopyの6社・40台で,一昨年の4社を上回った。司会進行は例年通り,今井 裕氏(東海大学)と飯沼 元氏(国立がん研究センター中央病院)が務めた。
今井 裕氏の開会の挨拶に始まったトレーニングコースは,参加6社からのプレゼンテーションおよびハンズオンの操作説明が行われた。今回からの参加となる東芝,フィリップス,そしてGEのモダリティメーカーは,いずれもCTとWS,PACSなどのネットワークをトータルで包括的に開発し,シナジー効果をねらっていく方向性をアピールした。CTから撮影画像をWSに転送すると同時に,自動的に画像処理を行い,短時間化とスループットの向上を図るという。かつ,CTの被ばく低減を徹底的に推し進めていくということや,東芝は読影環境・ワークフローの確立も行っていくとした。
一方,WSベンダー3社は,見落としのない検査を目標とする画質の向上,VGP法などの展開画像や表示法の開発など,精度・操作性などを中心にアピールした。
6社によるハンズオンの操作説明風景
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続いて,平野雄士氏(小樽掖済会病院)が,「CTCにおける撮影法と被ばく低減について」と題して講演した。CTCの普及に伴い,安全管理をしっかりと行うこと,最大限の被ばく低減を図る努力を行うことが重要だと述べた。
ランチョンセミナー(エーザイ株式会社/エーディア株式会社)の「大腸癌死亡抑制のために内視鏡医ができること,CTCに期待すること」(司会:森 宣氏・大分大学,演者:尾田 恭氏・尾田胃腸内科)をはさんで,International Lectureが企画された。演者は,中国からのJiang Jun氏(Cancer Institute and Hospital, Chinese Academy of Medical Sciences, China)と韓国からのSeong Ho Park氏(University of Ulsan College of Medicine, ASAN Medical Center, Korea )。中国のJiang氏は国立がん研究センターでCTCの研修を受けた後,帰国。術前のCTCですでに3千例以上の経験があるという。中国でも肺がん,大腸がんなどの悪性腫瘍が増えているとのことで,CTCへの期待も大きいようだ。
ランチョンセミナー
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International Lectures
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その後,実機を用いたハンズオントレーニングが18時まで行われ,参加者は熱心に操作や読影に取り組んでいた。
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