2022-7-21
富士フイルムメディカル,
富士フイルムメディカルITソリューションズ,
富士フイルムヘルスケアシステムズ3社合同でブースを構成
富士フイルムメディカルは,今回の国際モダンホスピタルショウ2022でも前回と同様に,富士フイルムメディカルITソリューションズ,富士フイルムヘルスケアシステムズの3社合同による出展を行った。富士フイルムの医療AI技術である“REiLI”を活用した画像解析や診断支援機能を中心に,電子カルテからPACS,部門システム,モダリティまでを連携して,医療の質や安全性の向上,さらには効率化によって,医療機関の働き方改革を支援できることを大きくアピールした。
●AIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer」
画像診断ワークフローを支援するAIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer」は,胸部領域を中心に“臓器セグメンテーション”,“コンピュータ支援診断”,“ワークフローの効率化”をコンセプトに開発が進められてきた。胸部CT画像での画像診断支援では,肺結節の自動検出とその経時的変化の比較,性状分析をグラフ表示や所見文候補を自動作成することで読影を支援する。そのほか,“肋骨骨折検出プログラム”では,臓器認識に基づいて骨折部位の検出,肋骨の自動ラベリングなどが行えることを紹介した。また,胸部領域だけでなく,腹部の肝臓領域,膵臓領域の自動抽出,頭部の高吸収域/低吸収域を強調するSAIフィルタなど,AI解析の対象が全身臓器に拡大していることをアピールした。
●医療クラウドサービス“SAI viewer画像解析クラウド”
医療クラウドサービス“SAI viewer画像解析クラウド”は,SYNAPSE SAI viewerにも搭載されている画像解析機能をクラウドで利用可能にするものだ。現在提供されているのは,“肺結節検出サービス”“肋骨骨折検出サービス”“頭部高吸収/低吸収強調サービス”“胸部X線CADサービス(CXR-AID)”の4つのサービス。利用回数(1件単位)に応じた従量料金制で,運用としては指定した条件にあった画像を自動でサーバにアップロードする方法と,解析したい画像を選択して手動で送信する方法がある。「SYNAPSE」が導入されていれば,簡単に低コストで読影システムに画像解析サービスを追加できる。
●地域医療連携サービス「C@RNA Connect」
C@RNA Connectは,地域のクリニックと紹介検査を行う医療機関を連携して,検査予約,読影結果の報告,画像の閲覧などの機能を提供するシステムで20年以上の実績を持つ。C@RNAデータセンターを介してクリニックと医療機関を結び,Web上での空き時間を確認しながらのオンライン検査予約,診療科の医師の顔写真とプロフィールなどを表示したオンライン診療予約などの機能があり,クリニック側では患者と情報を共有しながら紹介を行うことができる。そのほか,医療機関側ではオーダリング連携,レポート連携などの拡張が可能で(オプション),院内のシステムと連携した運用が可能になる。クリニック側ではインターネット回線やPCなど基本的なインフラがあれば低コストでスタートでき,医療機関側には紹介・逆紹介率や検査件数の向上などが期待できる。
●統合診療支援プラットフォーム「CITA Clinical Finder」
統合診療支援プラットフォーム「CITA Clinical Finder」は,電子カルテや放射線画像,内視鏡など各システムのデータを集約して一覧表示し,医療の質や安全性の向上と効率的な働き方を支援する。CITA Clinical Finderでは,タイムラインビューやサムネイルビューなどで患者情報を直感的に参照できる“統合診療支援ポータル”や“クリニカルフロー”,“レポート既読管理”“スキャン・ファイリング”などの機能を搭載する。今回,ブースでは患者ポータルに新たに追加された入院ビューの機能を紹介した。入院ビューでは,タイムラインを表示期間を区切ってコンパクトにすることで,詳細データを画面を切り替えることなく表示でき,素早くデータを探して参照が可能になった。また,診療文書作成支援システム「Yahgee」と連携して,タブレット端末上で電子サインを可能にするソリューションも紹介した。
●画像診断ワークステーション「C@RNACORE」
C@RNACOREは,画像サーバとビューワを兼ねたクリニック向けの画像診断ワークステーションだ。画面は検査リスト,検査種別ごとのサムネイル表示,画像表示の3つのエリアで構成され,シンプルな操作性で直感的に画像情報を扱うことができる。また,X線撮影装置の制御機能も搭載されており,1台で撮影装置のコントロールからPACSまでの機能を実現できる。C@RNACOREでは,オプションとして胸部X線画像病変検出ソフトウェア「CXR-AID」を搭載した「EX-Mobile」を利用できる。C@RNACOREに外付けすることで,撮影された胸部X線画像に対して結節・腫瘤影,気胸などの候補領域を検出してヒートマップとして提示することが可能だ。
●クラウド型電子カルテサービス「Open-Karte Cloud」
富士フイルムヘルスケアシステムズの「Open-Karte Cloud」は,有床診療所から中小規模病院向けのクラウド型電子カルテシステムだ。Webブラウザを使用しクライアントには特別なソフトウエアをインストールせず利用できる。ガイドラインに準拠した堅牢なデータセンターで情報を管理するほか,院内にバックアップ用のサブサーバを設置し,万が一のトラブル時にも対応できる。また,患者の情報を時系列に表示して診療プロセスを俯瞰できる“診療カレンダー機能”や,見たい情報に容易にアクセスできる“アシストビュー機能”など,ユーザーに優しく使いやすいデザインが特徴だ。
〈電子カルテとの連携機能をデモンストレーション〉
C@RNACOREは,電子カルテシステムやCR,DR,内視鏡システムなどとの接続が可能なことも特徴だ。特に電子カルテシステムとの連携に関しては,富士フイルムヘルスケアシステムズのクリニック向けの製品である「Hi-SEED W3 EX」「Hi-SEED Cloud」と連携した運用についてデモンストレーションした。Hi-SEED W3 EXからのオーダ情報を受けてC@RNACOREで撮影を行い,ビューワ上での計測(心胸郭比)の結果が電子カルテに反映される一連の流れを紹介した。