2021-4-14
シーメンスヘルスケア(株)とコニカミノルタジャパン(株)は,AI技術を活用した診断や診療を誰もが受けられる世の中の実現を目指し,医療サービス分野における提携を本格的に開始する。2020年6月に発表したシーメンスヘルスケアの胸部CT画像AI解析受託サービスをコニカミノルタジャパンの医療機関向けICTサービス「infomity(インフォミティ)」でも新メニューとして4月より提供する。
今回本格的なサービスの開始により,診療所を中心に多くの施設が使用しているコニカミノルタジャパンの「infomity」と,中規模・大規模病院を中心に導入が進んでいるシーメンスヘルスケアの「teamplay digital health platform(チームプレイ・デジタル・ヘルス・プラットフォーム)」の両プラットフォーム上で,シーメンスヘルスケアのAI画像解析ソフトウェアを活用した診断支援サービスを使用できることになる。
●「infomity」と「teamplay digital health platform」のコラボレーションから生まれる価値
AI技術を活用し大量の画像解析を行いたい施設にはシーメンスヘルスケアの「teamplay digital health platform」を,必要に応じて手軽にAI技術による診断支援を利用したい施設にはコニカミノルタジャパンの「informity」を使用できる。両社の医療プラットフォームの特長をつなぐことで,より多くの医療施設で広くAI技術を活用する機会を創出する。また,本サービスは,胸部CT画像から,肺・心臓・大動脈・胸椎の定量的な解析結果を提供するが,これは,スクリーニングが主となる診療所では,主訴以外の胸部解析情報も得られるため,これまで以上に質の高い診断結果を提供することが可能となり,医療全体の質の向上につながると考えている。
また,中規模・大規模病院においては,定量的なデータによる診断の質の向上に加え,3Dビジュアルデータによるインフォームドコンセントへの活用が期待できる。これまで以上に質の高いコミュニケーションが生まれることで,人々のクオリティオブライフの向上に貢献できると考えている。
●シーメンスヘルスケアのAI画像解析ソフトウェア「AI-Rad Companion Chest CT(エーアイ・ラド・コンパニオン・チェスト・シーティー)」
「AI-Rad Companion Chest CT」は,胸部全体のCT画像から肺や心臓,大動脈などの複数部位を一度に解析できるAI画像診断支援ソフトウェアで,ディープラーニング(深層学習)技術を用いて肺結節の検出や測定,大動脈の直径の測定などを自動で行いレポートを生成する。 「AI-Rad Companion Chest CT」による主なレポート項目は,肺結節検出,肺実質の計測・表示,心臓容積,冠動脈カルシウム計測,大動脈計測,胸椎骨計測,肺密度計測の7項目。
AI-Rad Companionについて,京都桂病院 放射線科 診断部 部長の山岡利成 医師は,以下のように述べている。
「胸部の主たる臓器の重要チェック項目を一度に解析できることが最大のメリットです。当院では,高齢の悪性腫瘍患者の術前に石灰化スコアリングの計測が実施されることが多いのですが,AI-Rad Companionを用いることで,転移検索目的で実施された胸部単純C Tからある程度の層別化が実施できるため,心電図同期C T検査を省略できる可能性があります。大動脈の計測では,検査ごとに診断医が変わることもあり,測定部位や測定方向の再現性には限界がありますが,自動的にセグメンテーションし,規定の部位で測定されることで,再現性の高い結果が得られ,より正確な経過観察ができると期待されます。肺結節の測定,気腫の定量評価,胸椎測定については,検診領域での活用が期待されます。CT肺がんドックを実施されている施設であれば,他施設との差別化を図る上で,解析項目の多い本ソフトは非常に魅力的です。解析結果が3D画像で表示される点も,結果説明をわかりやすく受検者に伝える上で大きなメリットです」
●問い合わせ先
コニカミノルタジャパン(株)ヘルスケアカンパニー
TEL 03-6324-1080
https://www.konicaminolta.jp/healthcare